2040年には65歳以上の一人暮らしの人口は900万人近くになるという。5人に1人が認知症であるといわれているので、約180万人が65歳以上の一人暮らし認知症患者の人口になる。
180万人の一人暮らし認知症高齢者のお金の管理はだれがやるのだろうか?
介護や医療は大丈夫なのだろうか?
もし将来、あなたが180万人の1人だったらどうしますか?
「いやいや、既婚者で子どもが2人いるから関係ないよ」といってられますか?
子どもは独立して遠方に行くかもしれません。配偶者が先に逝ってしまうかもしれません。
180万人の1人にならないと言う保証はありますか?
資産管理に関して、1人暮らし高齢者にはどんな支援制度やサービスがあるのか?
その制度・サービスで問題がないのか?
問題があるとしたら、どのように改善していくべきなのか?
などを見ていきます。
65歳以上の一人暮らし人口
2015年現在、65歳以上で一人暮らし人口は593万人、総人口に占める割合は4.7%、2040年推計で65歳以上で一人暮らし人口は896万人、総人口に占める割合は8.1%です。
25年間で約300万人に増加すると予測されています。
支援制度活用シミュレーション
成年後見制度とは認知症などで意思決定が不十分な人の意思を尊重しながら、保護する制度です。
以下の記事が参考になります。
まだ元気な65歳の時点で、親族や友人・知人または専門職の中から、将来意思決定が怪しくなったときのための後見人(お金の管理や契約行為の支援者)がいないか検討します。
75歳で物忘れが多くなってきたので「任意後見契約」を後見人と結びます。
この時点では契約しただけで実行はされません。
また日常生活にも支援が必要であれば、地域社会福祉協議会が実施している「日常生活自立支援事業」をおこないます。
80歳で老人福祉施設に入居するタイミングで、任意後見制度か法定後見制度を実施します。
任意後見制度の実施手順
任意後見制度の実施までの細かい手順を時系列で記載してみました。
支援してくれる人を見つける
2つに分けるとわかりやすいです。
1つは肉体的に自立できなくなった時です。
例えば、「在宅で介護サービスを利用しながら、いてい以上の状況になったら老人介護施設に入所する。」といったことを大雑把でも決めておくことです。
もう1つは精神的に自立できなくなった時、つまり意思決定ができなくなった時です。
近くに支援してくれる子・親族がいるのか、いないのかで大きく変わってきます。
成年後見制度を活用するか決定
金銭トラブルの心配がなければ成年後見制度を活用する必要はないと思います。
また専門職に依頼する場合は、仕事として実施されるので、基本的に成年後見制度を活用することになるでしょう。
成年後見任制度を利用すると決めた場合、任意後見制度は認知症などで意思決定ができなくなると利用できません。
意思決定ができる段階でないと利用できないので、任意後見制度を考えている場合、早めの準備が必要です。
後見人(受任者)を依頼
ここからは任意後見制度を利用すると仮定して話を進めていきます。
まずは任意後見制度について理解することが前提になります。
その上で話しをしますが、後見人は将来意思決定ができなくなった時に支援してもらえる人のことです。
後見制度が実行されてから後見人といい、それ以前は受任者といいます。
子、親族が後見人になることが多いですが、弁護士・司法書士などの専門職の人でも後見人になれます。
近くに親族がいない一人暮らしの人は、専門職になると思います。
専門職はどうしても型苦しくなり、依頼するのも尻込みするかもしれません。
そんな頼れる人が見つからない場合は成年後見センターリーガルサポートで探してみて下さい。
地域の司法書士などが登録されています。顔見知りの人もいるかも知れません。
任意後見契約の文案を公証役場に提出して契約書を作成
「任意後見契約」は任意後見契約に関する法律に基づき契約するものです。
本人、受任者、親族、関係者で相談にして文案を決めていきます。
文案を公証役場に提出して、それを基に公証人が公正証書を作成します。
公正証書の謄本がもらえます。また公証役場で登記をしてくれます。
下記は司法書士を対象にした書籍のため少し専門的ではありますが、実務経験に基づき書かれているため参考になります。
監督人選任の申立てと選任
監督人とは資産管理などの契約書に記載されている事務が適正におこなわれているか監査し、家庭裁判所に報告する役目があります。
監査人選任の申立ておこない、家庭裁判所が選任します。
原則、専門家が選任されます。
監査人の選任によって契約の効力が発生します。