耕作放棄地にしないために、相続した農地を「自然に戻す」ことを考えよう。

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5年前に田舎に住んでいた父から相続した農地を所有しています。
私は都内で生活しているため、田舎の営農グループに耕作をお願いしていました。

先日、「高齢になったため来年からは、耕作できないので農地を返す。」と連絡がありました。
山際にある農地で何もしないと雑草が生茂り、荒れ放題になるのが心配です。
どうすればよいでしょうか?

耕作放棄地になりそうな案件ですね。
国や地方自治体も耕作放棄地対策として、あの手この手を使って農地を復旧する施策を実施していますが、あまり芳しくないようです。

長年、市役所で農業政策に携わってきた者としては、使わなくなった農地は徐々に自然に戻すしかないと考えています。

「自然に戻す」という考えに至った経緯を説明します。
農地の処分に困っている方の参考になれば幸いです。

目次

「自然に戻す」ことはいけないことなのか?

農地を縮小することを前提にことを進めるのは、消極的に見えるので議論しにくいです。
「自然に戻す」ことは消極的なことかもしれないが、管理をしない、耕作放棄地を作るような無責任なことは全く違う考え方です。

国や地方自治体はどんな手を打っているのか?

国(農林水産省)は以前より耕作放棄地は再生する方針ですから、「自然に戻す」など検討はしていないと思っていました。

が、「自然に戻す」とまでは至っていませんが、「森林化」について検討はしているみたいです。

図1は農林水産省に設置された「長期的な土地利用の在り方に関する検討会」から抜粋したものです。

図1

簡単に説明します。
利用しなくなった農地は、担い手農業者や新規就農者に賃貸して、集積・集約化することが基本原則。

しかし、中山間地などにあって条件が不利な農地など、維持管理することが困難な農地の場合は、放牧地や鳥獣緩衝帯として利用することも検討する。
それでも農地として維持管理が困難な場合は森林地とすることも検討する。

ここで注意することは、これは国(農林水産省)の方針ではありません。検討会の検討事項のレベルです。
(現段階で検討会でも決定された事項ではありません。)

平たく言えば「先々、二進も三進も行かなくなったら森林化も考えていかなければいけませんね」ということです。

国が所有してくれる法律が公布されました

2021年4月28日に「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が公布されました。

仕方なしに相続した宅地、田畑、山林などが国に帰属できる法律ですが、しかし要件がきびしく簡単に帰属できません。
要件は以下のとおりです。

  • 所有権以外の権利設定がない。
  • トラブっていない。
  • 建物・工作物がない。
  • 境界がハッキリしている。

更地になっていて、しっかり管理している土地でないと帰属できません。

「自然に戻す」ことと「国庫への帰属」の両方をにらんで今後の対応を考えていくべきでしょう。

「自然に戻す」とは

もともと土地は、自然のままであったものを、人間が使いやすいように、林地、農地、宅地などに人工的に変えたものです。

使わなくなったら、もともとの状態「自然に戻す」のが自然ではないかといった思いから述べたものです。

図1で「計画なき放置」は ❌ になっていますが、「計画あり放置」はどうでしょうか。
これが「自然に戻す」ということです。

針葉樹の人工林ではなく、できるだけ自然に近い広葉樹の森林に誘導するのはどうでしょうか。

地域との話し合い

「自然に戻す」のは所有者ひとりで、できるものではありません。隣接所有者や耕作者だけではなく、地域の関係者との話し合いが必須です。

いきなり「自然に戻す」はなかなか地域の同意は得られないかもしれません。

図1は現段階の常識的な考え方なのでしょう。図1のステップバイステップで説明していく必要があります。

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