若いときは1歳でも長生きしたいと漠然と思っていました。
60歳を超える頃から、老後はどうなるのか徐々に心配になっています。
長生きはしたいけれど、長生きすればいいってもんじゃない。
100歳を超えて苦痛まみれで、生きていたくない。
寿命が延びればいいというものではない。
健康である期間を長くしたい。
寝たきりなどで自立できない期間を極力短くしたい。
健康である期間のことを健康寿命といいます。これは世界保健機構(WHO)が提唱した言葉です。
健康寿命は重要であることはわかりますが、健康と不健康を簡単に線引きして区別できないのではないか?
以前より健康寿命はどのように計算しているのかと疑問に思っていました。
このような健康寿命についてのいくつかの疑問点を解明していきます。
健康寿命に関する疑問点
- 健康寿命はどのように計算しているのか?
- 平均寿命と健康寿命の差は縮まっているのか?
- 健康寿命を伸ばす以上に平均寿命と健康寿命の差を縮める方が重要ではないのか?
以上3点について掘り下げていきます。
健康寿命はどのように計算しているのか?
健康寿命の計算方法
健康寿命とは介護の必要がなく健康的に日常生活が送れる期間のことです。
全国から無作為抽出による厚生労働省国民生活基礎調査の健康票の集計を基にしています。
年齢別の死亡率と年齢別の「健康・不健康」の割合を基礎数値として計算します。
健康票 質問5
「あなたは現在,健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか」
- ある
- ない
回答「ある」は不健康、「ない」は健康として5歳単位の年齢階級に分けて算出しています。
健康票 補問5-1(質問5の回答が1の場合)
「それはどのようなことに影響がありますか」
- 日常生活活動(起床、衣服着脱、食事、入浴など)
- 外出(時間や作業量などが制限されている)
- 仕事、家事、学業(時間や作業量などが制限されている)
- 運動(スポーツを含む)
- その他
回答「ある」は不健康、「ない」は健康として5歳単位の年齢階級に分けて算出しています。
問題点
この質問を見て疑問が湧いてきました。
調査票を記入時に「健康上の問題あり」とした人が回復したらどうなるのだろうか?
風邪を引いていて、「健康上の問題あり」とチェックしたが、後日全快して健康になったようなケースです。
そのような人も不健康になってしまうのでしょうね。私の不健康なイメージは寝たきりの人ですが。
健康になることが困難な人のことだと思うのですが。
風邪で不健康にチェックした人を含めているのであれば、健康寿命は私のイメージしたものとは大きく異なります。
平均寿命と健康寿命の差は縮まっているのか?
平均寿命、健康寿命の年次推移
男性 | 平均寿命 | 健康寿命 | 差 (不健康期間) | 差の差 |
2001年 | 78.07歳 | 69.40歳 | 8.67歳 | ー |
2004年 | 78.64歳 | 69.47歳 | 9.17歳 | 0.50歳 |
2007年 | 79.19歳 | 70.33歳 | 8.86歳 | -0.31歳 |
2010年 | 79.55歳 | 70.42歳 | 9.13歳 | 0.27歳 |
2013年 | 80.21歳 | 71.19歳 | 9.02歳 | -0.11歳 |
2016年 | 80.98歳 | 72.14歳 | 8.84歳 | -0.18歳 |
2020年 | 81.41歳 | 72.68歳 | 8.73歳 | -0.11歳 |
女性 | 平均寿命 | 健康寿命 | 差 (不健康期間) | 差の差 |
2001年 | 84.93歳 | 72.65歳 | 12.28歳 | ー |
2004年 | 85.59歳 | 72.69歳 | 12.90歳 | 0.62歳 |
2007年 | 85.99歳 | 73.36歳 | 12.63歳 | -0.27歳 |
2010年 | 86.30歳 | 73.62歳 | 12.68歳 | 0.05歳 |
2013年 | 86.61歳 | 74.21歳 | 12.40歳 | -0.28歳 |
2016年 | 87.14歳 | 74.79歳 | 12.35歳 | -0.05歳 |
2020年 | 87.45歳 | 75.38歳 | 12.07歳 | -0.28歳 |
資料:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/xls/01-01-02-06.xls
統計表から見えてくるもの
不健康期間を2001年と2020年を比較してみると、女性は0.21歳縮まっていますが、男性は0.06歳広がっています。
2010年以降、不健康期間は男女とも縮まっています。
ハッキリした結論は出せませんが、直近10年間不健康期間は縮小傾向にあるが、今後ともこの傾向が続くとはかぎらないと思います。
健康寿命を伸ばす以上に不健康期間を縮める方が重要ではないのか?
不健康期間を縮めるには単に健康寿命が伸びるだけではダメです。
平均寿命の伸び以上に健康寿命の伸びが大きくないと、不健康期間が縮まることはありません。
方策としては以下の2つ
- 不健康者を健康者にする方策
- 健康者を不健康者にしない方策
不健康者を健康者にする方策
「不健康者を健康者にする方策」については、例えば認知症の治療薬が開発されたなど医療の技術進歩によるところが大きい。今後とも発展することを期待するものです。
また人口呼吸器の設置などの延命治療をどうするかを曖昧にしないことも重要である。
延命治療については下記の記事が参考になります。
健康者を不健康者にしない方策
これは健康寿命を伸ばす方策のことです。具体的には下記の3つです。
- 生活習慣病の予防
- 認知症の予防
- 怪我の予防
詳細は色々なところで書かれていますので、そちらを参考にしていただくことにしてここでは省略します。
まとめ
- 健康である期間のことを健康寿命といいます。
- 不健康者が健康者になった場合も不健康者にカウントされる。
- 不健康期間は最近10年は縮小傾向にあるが、今後ともこの傾向が続くとはかぎらない。
- 健康寿命を伸ばす以上に不健康期間を縮める方が重要