「免許返納」はいつかやってきます。今からなにができるのか?

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最近、高齢者のブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違い事故逆走事故がよく発生しています。
そのような事故を起こさないために何をすべきか?

高齢者になると年々、できないことが増えていきます。
不慮の事故や急病がないかぎり、運転免許証の返納は遅かれ早かれ、いつかやってきます。
そのときになって慌てないために、今からなにをすべきか?考えてみましょう。

また、「都会では公共交通網が整備されていて車がなくても、あまり困らないが、地方では車がないと買い物や病院へ行くにも不便でとても免許を返納することなどできない」という声をよく聞きます。

そのことも含めて「免許返納」はどうあるべきか考えていきます。

当面は老化防止対策と自家用車に安全装置を設置すること
免許返納後は別の移動手段の検討、生活拠点の変更、在宅医療サービスの充実です。

目次

状況

令和2年版警察庁運転免許統計       
運転免許
保有者数
申請取
消件数
65歳
以上
70歳
以上
75歳
以上
80歳
以上
85歳
以上
201181,215,26672,73569,80561,84137,19923,1098,471
201281,487,846117,613111,852101,03665,14735,43213,522
201381,860,012137,937131,595121,21187,01448,84015,721
201482,076,223208,414197,552172,70196,58158,77320,762
201582,150,008285,514270,159231,233123,91375,20527,696
201682,205,911345,313327,629276,614162,341103,42239,991
201782,255,195423,800404,817355,910253,937156,06665,532
201882,314,924421,190406,517375,791292,089181,68269,323
201982,158,428601,022575,559515,324350,428226,46688,562
202081,989,887552,381525,942469,477297,452190,08374,699

単位:件

65歳以上でみると、2011年に7万件弱あった取消件数が、2020年には52万件強と約7.5倍に増加しています。

高齢化が影響しているとはいえ、急激な伸びです。
テレビなどで報道された悲惨な事故が、影響しているのは間違いないと思います。

2020年はコロナ感染症の影響で運転する機会が減り、免許返納は控える傾向にあったものと考えられます。
今後コロナが収まってくれば、再度増加するものと考えられます。

道路交通法の改正

高齢者の免許返納に関して、関係法規である「道路交通法」がどのように改正されたか見ていきます。

1997年改正

運転免許の自主返納制度導入
75歳以上の高齢者講習制度導入

2001年改正

運転経歴証明書制度導入

2007年改正

75歳以上の認知機能検査制度導入
臨時適性検査制度導入

2015年改正

臨時認知機能検査制度、臨時高齢者講習制度導入
認知症診療義務範囲拡大

2020年改正

75歳以上の運転技能検査制度導入

高齢者の事故増加に伴って自主返納から免許不交付へと強化されています。

「車がないと生活ができない」という理由では免許を保持できなくなってきています。

高齢者の外出の目的

平成27年全国都市交通特性調査によると粗々ですが、高齢者の外出の目的の1位が買い物、2位が食事、3位が通院です。

買い物は2から3日に1回、食事は1週間に1回、通院は2週間に1回といったところです。

家に閉じこもることの是非を別にすれば、食事と買物は宅配サービスで相当のところはカバーできるのではないか。

免許返納で一番困るのは病院へ行けないことかもしれません。

一般的な対策

一般的な対策は免許返納のためだけではなく、いかに老化防止を遅らせることができるのかです。

人間だれでも年を取れば老化していくのは宿命です。少しでも遅らせることが、免許返納を遅らせるだけでなく、幸せな人生が送れることにつながります。
そのためには規則正しい生活を送ることです。特に運動・食事・睡眠に気をつけましょう。

運動は一番気楽にできる散歩がいいですね。毎日30分から1時間程度歩くことができればいいですね。
それにプラス趣味で球技などができれば最高ですね。

食事は暴飲暴食を慎みましょう。腹八分目です。
お酒は程々に、タバコは止めたほうがいいです。

睡眠は早寝早起きです。
睡眠時間は人にもよりますが、6から7時間はキープしたいですね。
適度な運動と腹八分目がよりよい睡眠につながります。

免許返納前の対策

ここからはより具体的に免許変更を遅らせる方策です。
近年、ニュースになることの多い高齢者のブレーキとアクセルの踏み間違いの状況を見ていきます。

交通安全事故分析センター
ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故の推移
死者数負傷者数事故件数
合計10代20代30代40代50代60代70代80代90代
2012年509,3546,4363411,3327686687471,0311,09744111
2013年278,9006,1803761,3597146596369361,03844616
2014年569,3326,4063491,3847556756329591,11951716
2015年398,7856,1143291,3437006496099081,00754821
2016年608,4005,8303261,26770559755685597551732
2017年507,4135,0852771,10959053947379485442623
2018年516,7474,72225298152653245771876647119
2019年586,3524,43120484246650947567881041829
2020年445,5243,84516768241038038658780041122
2021年594,3193,02013854126628128846664636628

死者数は50件前後で推移しています。
負傷者数及び事故件数は減少傾向です。
年代別事故件数はすべての年代において減少傾向です。

年代間では20代の事故件数が70代に次いで多く、必ずしもブレーキとアクセルの踏み間違い事故が高齢者だけの特有な事故ではないことを示しています。

「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」の取付

ペダル踏み間違い急発進抑制装置を後付で設置するか、踏み間違い急発進等抑制装置等が装備されている自動車に買い換えることによって、事故防止や大事故の軽減になります。

各自動車メーカーや部品用品メーカー等から商品が販売されています。
国土交通省から「ペダル踏み間違い急発進抑制装置性能認定結果一覧」が発表されていますので、参考にして下さい。

また65歳以上の場合、「サポカー補助金」の対象になる場合があります。

サポカー補助金

65 歳以上の高齢ドライバーによる事故防止対策の1つとして、「衝突被害軽減ブレーキ」や「ペダル踏み間違い急発進等抑制装置」を装備した自動車や「後付けのペダル踏み間違い急発進等抑制装置」の購入等を補助するための補助金

踏み間違い事故が減少しているのは、これらの装置の導入が進んでいるのも影響していると考えられます。

自動運転車

自動運転車とは人が操作しなくても自動で走行操作ができる自動車のことです。
自動化のレベルを以下のように定めています。

レベル0

人がすべての操作をおこなうレベル

レベル1

「衝突被害軽減ブレーキ」など部分的な運転支援装置が導入されたレベル

レベル2

ドライビング状況に応じてシステムが運転状況を部分的に監視するレベル
定速走行・車間距離制御装置が装備されたレベルが該当

レベル3

システムが運転状況全般について監視するレベル
通常時、運転者は一切の操作をしないが、システムの限界を超える異常時は運転手が操作することになる。

レベル4

システムが運転状況全般について監視するレベル
通常時、運転者は一切の操作をしないが、環境極限時は運転手が操作することになる。

レベル5

すべての操作をシステムがおこなう無人運転のレベル

レベル3までは運転の主体が人です。レベル4からはシステムが主体になります。
2021年4月から、高速道路などでレベル3の運転ができるようになりました。

高齢ドライバーの支援になるのはシステム主体のレベル4以上を期待したいです。

免許返納後の対策

免許を返納してしまった後、自家用車以外の代替手段は何があるのか見ていきます。

自家用車以外の移動手段

  • 徒歩
  • 自転車
  • バス、タクシー、電車
  • 家族・友人の送迎
  • レンタカー、カーシェア、ライドシェア

地域や個々の事情によって異なりますが、自家用車ほど利便性が高くはありません。

生活拠点の変更

近くにスーパーマーケット・病院などがある利便性の良い場所に転居することで、自家用車がなくても、不便さをあまり感じることがなく生活ができます。

特に介護認定を受けていない高齢者には「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」がおすすめです。

介護認定後は病院と介護施設の2つの機能を併せ持つ「介護医療院」がおすすめです。
生活全般+医療が施設の中で完結します。

在宅医療

在宅医療とは患者さんの元へ医師や看護師・歯科医師などが訪問して療養を提供する医療サービスです。

「高齢者の外出の目的」でみたように、免許を返納して一番困るのは通院です。
かかりつけ医を持っていない方は早いうちから見つけておきましょう。

在宅医療のできる病院・クリニック SCUEL(スクエル)は全国の「在宅医療」に対応した病院が検索できます。

まとめ

運転免許証の返納者は年々増加しています。法律も強化されており、「車がないと生活ができない」という理由では免許を保持できなくなってきています。

1日でも免許返納を遅らせるためには、老化防止をすることです。
老化防止のためには、規則正しい生活を送ることです。特に運動・食事・睡眠に気をつけましょう。

具体的な対応としては免許返納前段階で、自家用車に「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」を取付ること、技術進歩にもよりますが、自動運転車を導入することです。

免許返納後においては自家用車以外の移動手段を検討すること、生活拠点を変更すること、在宅医療を取り入れることです。

【結論】

当面は老化防止対策と自家用車に安全装置を設置すること
免許返納後は別の移動手段の検討、生活拠点の変更、在宅医療サービスの充実です。

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