保険料を安くするために、退職後の1年目は健康保険の任意継続で加入して、2年目に国民健康保険に切り替えたいと思っていますがるのが、任意継続を途中でやめることはできるのでしょうか?
結論から言うと、国民健康保険を加入するために、任意継続を途中で止めることはできません。
また2年目は退職金が収入に算定されるため保険料が高くなると思っている方がいますが、完全な誤解です。
保険料率の変更で若干金額が変わる場合を除いて、2年間の期間中、収入の変化で健康保険料が高くなることはありません。
任意継続については健康保険法に記載がありますので、それを根拠にして説明します。
任意継続被保険者制度
資格取得
健康保険法(定義)
第3条第4項 この法律において「任意継続被保険者」とは、適用事業所に使用されなくなったため、又は第一項ただし書に該当するに至ったため被保険者(日雇特例被保険者を除く。)の資格を喪失した者であって、喪失の日の前日まで継続して二月以上被保険者(日雇特例被保険者、任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であったもののうち、保険者に申し出て、継続して当該保険者の被保険者となった者をいう。ただし、船員保険の被保険者又は後期高齢者医療の被保険者等である者は、この限りでない。
健康保険法(任意継続被保険者)
第37条 第3条第4項の申出は、被保険者の資格を喪失した日から20日以内にしなければならない。ただし、保険者は、正当な理由があると認めるときは、この期間を経過した後の申出であっても、受理することができる。
2 第三条第四項の申出をした者が、初めて納付すべき保険料をその納付期日までに納付しなかったときは、同項の規定にかかわらず、その者は、任意継続被保険者とならなかったものとみなす。ただし、その納付の遅延について正当な理由があると保険者が認めたときは、この限りでない。
分かりやすくいうと任意継続被保険者とは以下の要件をすべて満たす者のことになります。
- 会社を退職して健康保険の資格がなくなった者
- 資格がなくなる前2ヶ月以上健康保険に加入していた者
- 会社に任意継続の申し出を20日以内した者
- 初回の保険料を期日まで納付した者
資格喪失
健康保険法(任意継続被保険者の資格喪失)
第38条 任意継続被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(第四号から第六号までのいずれかに該当するに至ったときは、その日)から、その資格を喪失する。
一 任意継続被保険者となった日から起算して二年を経過したとき。
二 死亡したとき。
三 保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を納付期日までに納付しなかったとき(納付の遅延について正当な理由があると保険者が認めたときを除く。)。
四 被保険者となったとき。
五 船員保険の被保険者となったとき。
六 後期高齢者医療の被保険者等となったとき。
一 は任意継続が2年間で終了するという意味です。
四 は再就職して正規の健康保険の被保険者になった場合のことです。
六 は75歳になるとすべての人が後期高齢者医療の被保険者になり任意継続の資格が喪失します。
以上の6つの資格喪失要件以外でやめることはできません。つまり国民健康保険など別の保険に加入する理由でやめることはできません。
「保険料を納付しなければいいのでは」と考える人がいるかもしれません。
まずは、モラル的に問題ですし、以下に示しますが保険料の上限が決まっているので、やめる意味はありません。
一 は任意継続が2年間で終了するという意味です。
四 は再就職して正規の健康保険の被保険者になった場合のことです。
六 は75歳になるとすべての人が後期高齢者医療の被保険者になり任意継続の資格が喪失します。
以上の6つの資格喪失要件以外でやめることはできません。つまり国民健康保険など別の保険に加入する理由でやめることはできません。
「保険料を納付しなければいいのでは」と考える人がいるかもしれません。
まずは、モラル的に問題ですし、以下に示しますが保険料の上限が決まっているので、やめる意味はありません。
保険料
健康保険法(被保険者の保険料額)
第156条 被保険者に関する保険料額は、各月につき、次の各号に掲げる被保険者の区分に応じ、当該各号に定める額とする。
一 介護保険法第9条第2号に規定する被保険者(以下「介護保険第2号被保険者」という。)である被保険者 一般保険料額(各被保険者の標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ一般保険料率(基本保険料率と特定保険料率とを合算した率をいう。)を乗じて得た額をいう。以下同じ。)と介護保険料額(各被保険者の標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ介護保険料率を乗じて得た額をいう。以下同じ。)との合算額
二 介護保険第2号被保険者である被保険者以外の被保険者 一般保険料額
2 前項第一号の規定にかかわらず、介護保険第2号被保険者である被保険者が介護保険第2号被保険者に該当しなくなった場合においては、その月分の保険料額は、一般保険料額とする。ただし、その月に再び介護保険第2号被保険者となった場合その他政令で定める場合は、この限りでない。
3 前2項の規定にかかわらず、前月から引き続き被保険者である者がその資格を喪失した場合においては、その月分の保険料は、算定しない。
健康保険法(任意継続被保険者の保険料)
第157条 任意継続被保険者に関する保険料は、任意継続被保険者となった月から算定する。
2 前項の場合において、各月の保険料の算定方法は、前条の例による。
健康保険法(保険料の負担及び納付義務)
第161条 被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料額の二分の一を負担する。ただし、任意継続被保険者は、その全額を負担する。
健康保険法(任意継続被保険者の標準報酬月額)
第46条 任意継続被保険者の標準報酬月額については、第41条から第44条までの規定にかかわらず、次の各号に掲げる額のうちいずれか少ない額をもって、その者の標準報酬月額とする。
一 当該任意継続被保険者が被保険者の資格を喪失したときの標準報酬月額
二 前年(一月から三月までの標準報酬月額については、前々年)の九月三十日における当該任意継続被保険者の属する保険者が管掌する全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額(健康保険組合が当該平均した額の範囲内においてその規約で定めた額があるときは、当該規約で定めた額)を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額
任意継続被保険者の保険料 = 標準報酬月額 × 保険料率
46条の標準報酬月額の平均額は30万円です。(全国健康保険協会 令和2年分)
標準報酬月額が30万円の場合の保険料は34,980円/月になります。
料率の変更がないかぎり、これ以上高くなることはありません。
退職金があったからといって健康保険料が高くなることは基本的にはありません。
まとめ
国民健康保険に加入するために、任意継続を途中で止めることはできません。
また、退職金などで標準報酬月額が大幅に変わらないので、健康保険料が高くなることは基本的にありません。