なぜ人口対策が進まないのか? 少子化、人口減少社会を理解

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「まち・ひと・しごと創生総合戦略」 は国の地域振興施策の1つです。

第1期対策が2019年度で終了になり、2020年度から第2期対策が始まります。

第1期対策を実施して状況は変わったでしょうか?
メインの人口対策は簡単には解決できるようなものでははありません。
第2期の対策はどのようにすればよいか関係者の方々は悩んでいるのではないですか?

今一度、立ち返って人口問題を考えて見たいと思います。
人口減少対策や少子化対策をしている行政機関や人口、少子化に少しでも興味を持っておられる人に、適切な対策は何なのかを説明します。

結論から言います。人口減少の原因は都市化です。都市化は少子化を発生させます。少子化の直接原因は、未婚化・晩婚化・未産化・晩産化です。

少子化にピンポイントで事業化や予算化をしていくべきです。

理解していただければ、第2期対策の方向性がわかりやすく示せて、明確な政策が打てます。

私は今年(2020年)3月で37年間勤めていた市役所を定年退職します。「まち・ひと・しごと創生総合戦略」にも携わってきました。その経験と簡易な人口モデルを作ってみました。説明を明確化するための人口モデルです。

目次

「簡易人口モデル」の設定

人口を推計すろものとして「国立社会保障・人口問題研究所(社人研)」の「将来推計人口」があります。これは過去の人口動向から、将来人口を推計したもので、これを参考に各自治体は独自の人口推計をしています。

非常に厳密に計算されていてますが、統計上の推計データとして非常に優れたものではありますが、人口減少、少子化の原因を突き詰めるには使いにくいです。

そのため実態をあらわすためではなく、人口変動の因果関係を理解し、その対策を策定する資料として「簡易人口モデル」を作成しました。

「人口モデル」を見ることで、人口減少の本質的原因がわかります。
とにかく理解することを第一にしましたので、実態からはかけ離れていますが、理論的な関係性がわかると思います。

「簡易人口モデル」

前提条件が理解するのは非常に重要になってきます。まずは確認下さい。

前提条件

・地方と都市に2分する
社会人口増減(転入・転出)を明確にするため

・世代を10代区切りとし、各世代に地方50人、都市50人がいる
特に理由はありません。わかりやすいようにしただけです。

・社会人口増減(転入・転出)は、20代で地方から都市に15%移動
実際は社会人口増減はこれほど大きくはありせん。また20代のみが移動するのも不自然ですが、わかりやすくするために設定しました。
「都市は地方から人口を吸収する」という前提があります。

・自然人口増減(出生):地方20代の人数×1.0、都市20代の人数×0.8
自然人口は地方は現状維持、つまり出生率は1人から1人生、両親2人から2人生、都市は減少つまり両親2人から1.6(=0.8×2)人生としました。

・90代で死亡
これも少し乱暴ですが、単純化のために90代になったら死亡することにしました。それ以前は死亡しないこととしました。

以上の前提のもとで「簡易人口モデル」をエクセルシートを作成しました。ダウンロードして確認下さい。

「簡易人口モデル」

エクセルシート「簡易人口モデル」のうちいくつかを抜粋したものに解説をつけました。

現在

地方 都市 合計 
0代  5050100
10代5050100
20代5050100
30代5050100
40代5050100
50代5050100
60代5050100
70代5050100
80代5050100
90代5050100
合計5005001000

各世代、地方・都市とも50人いることを前提でスタートします。

10年後

地方都市合計
0代 424587
10代5050100
20代425799
30代5050100
40代5050100
50代5050100
60代5050100
70代5050100
80代5050100
90代5050100
合計484502986

20代は15%が地方から都市へ移動します。
0代の地方は20代と同じ数です。つまり出生率は2(2人の親から2人の子が生まれる)になります。
0代の都市は20代の数の8割の数です。出生率は1.6(2人の親から1.6人の子が生まれる)になります。
90代になると全員死亡します。(80代までは1人も死亡しません。)

20年後

地方都市合計
0代 424587
10代424587
20代425799
30代425799
40代5050100
50代5050100
60代5050100
70代5050100
80代5050100
90代5050100
合計468504972

地方は徐々に若い世代から人口が減っていきます。
少子化が始まってきています。
都市は地方の人口を吸収しているため、20代、30代で人口が増えています。
都市は全体でも人口が増えています。

50年後

地方都市合計
0代  293665
10代354075
20代294675
30代355186
40代355186
50代425799
60代425799
70代5050100
80代5050100
90代5050100
合計397488885

都市は若い世代で人口が減ってきています。
都市でも全体で人口が減ってきます。

100年後

地方都市合計
0代 202848
10代202848
20代203656
30代203656
40代244165
50代244165
60代294675
70代294675
80代355186
90代355186
合計256404660

全体で100年前の人口の66%になっています。

500年後

地方都市合計
0代 000
10代000
20代000
30代000
40代000
50代000
60代000
70代000
80代000
90代000
合計000

500年後には人がいなくなります。

人口の推移

「簡易人口モデル」での人口の推移を見ると以下のことが言えます。

  1. 地方の若い世代から減少していきます。
  2. 初期の段階では都市は人口が増えます。
    「簡易人口モデル」では20年後まで人口が504人になります。
  3. 地方は人口は減っていきますが、後を追うように、都市部も人口が減ってきます。
  4. 380年後には地方に人がいなくなります。
  5. 最終的には地方も都市にも人がいなくなります。
  6. 社会人口の増減は地方と都市の人の取り合いであり、全体でみれば人口の増加にはつながりません。
  7. 今回は寿命の伸びは考えませんでした。それを考慮すれば一層、少子高齢化がわかりやすくなったかもしれません。
  8. 地方でも社会人口(転入)を増やすことで人口は増えますが容易なことではないでしょう。
  9. 自然人口(出生)が増えないと人口は増えません。社会人口は移民を受け入れない限り、パイの奪い合いです。日本全体を考えた場合、おすすめできません。
  10. 適切な自然人口(出生)政策を実施しても、すぐには効果はあらわれません。30年から50年はかかります。

人口減少の原因は都市化

人口減少の原因は都市化です。都市が地方の人口を吸収します。また都市化により子供を産まなくなる少子化が発生します。
少子化の直接原因は

  1. 未婚化
  2. 晩婚化
  3. 未産化
  4. 晩産化

この4つを解消することが必要です。これは地方・都市に関係なく日本全体で取り組む問題です。

この4つが進んだのは限りない経済性を追求したからではないでしょうか?
結婚や子供をもうけることよりも、お金を得ることが優先るようになってきた。
いや優先せざるえなくなってきたと考えるべきでしょう。

お金だけではかなえられない幸福があることを学ばなければなりません。
結婚や子供をつくることはプライベートなことです。
でも、何もしないでいると人口減少社会では、いつか人はいなくなります。

注意すべきは未婚化・晩婚化・未産化・晩産化に直接ヒットする政策を実施しなければいけません。
「若者の雇用対策」とか「子育支援」間接的な政策では人口対策に対する効果は薄くなります。

日本では子供の人口は減っていますが、幸いなことに合計特殊出生率は上昇してきています。
これは出生率は上昇しても出産可能な女性数が減っているためです。しかし僅かではありますが明るい傾向です。

地方は社会人口(転入)を増やす政策を実施することも、ありだと思います。
社会人口(転入)の増加できれば効果的面です。その場合、その地方に相当な魅力がないと相当困難です。

最後に、人口減少社会は我々がいまだ経験したことのない社会です。一度人口が減少すると回復することは相当困難です。

子育てと仕事の両立は女性だけの問題としない。また移民の受け入れについて真剣に検討する必要があります。

高齢者を労い、若者を励まし、移民を歓迎し、男女お互いを尊敬し、どんな立場であれ、まずはお互い人間であることを理解し、仲良く穏やかに寛大に自由な社会を改めて築く努力をしなければならない。

まとめ

「簡易人口モデル」という単純な人口減少社会の人口減少の推移を見ました。
都市は地方の人口を吸収して、一時的に人口を増えますが地方の後を追うように人口が減少していきます。

人口減少の原因は都市化です。都市化は少子化を発生させます。
人口対策は少子化に焦点を絞っておこなう必要があります。

しかしそれだけではなかなか人口減は解決しません。子育てと仕事の両立、移民の受け入れまでも検討していくことが必要です。

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