日本学術会議の会員任命の件、マスコミで大きな話題になってますね!!
私なりに考えてみましたので書き留めておきます。
まず、日本学術会議は内閣府に属する行政委員会です。政府の機関であるということです。
そのため法律(日本学術会議法)でルールが決められています。
日本学術会議法
重要な点を抜粋すると
第一条 この法律により日本学術会議を設立し、この法律を日本学術会議法と称する。
2 日本学術会議は、内閣総理大臣の所轄とする。
3 日本学術会議に関する経費は、国庫の負担とする。第二条 日本学術会議は、わが国の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とする。
第三条 日本学術会議は、独立して左の職務を行う。
2 科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること。
3 科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること。第七条 日本学術会議は、二百十人の日本学術会議会員(以下「会員」という。)をもつて、こ れを組織する。
2 会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。第十七条 日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者の うちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦する ものとする。
ポイントは1条2で「内閣総理大臣の所轄」としており、政府の機関であること。
7条と17条で会員は日本学術会議が推薦して、内閣総理大臣が任命することとなっています。
なにが問題なのか?
日本学術会議法の条文だけから判断してみます。
「推薦のどおりに任命すべき」という意見がありますが、条文を普通に解釈すれば推薦のどおりに任命する必要はないと思う。
「推薦」を国語辞典で調べてみると”人や物を、すぐれていると認めて他人にすすめること。適当なものとして紹介すること。推挙。”とある。
この人が適任ですよとすすめることです。これからすると最終決定は任命権者である内閣総理大臣であると考えるべきでしょう。
じゃ、なぜだめなのか?
「いままで推薦どおり任命してきたから」
「前例がないから」
は理由にならないだろう。
会計検査院なら憲法で完全に内閣から独立しているので、内閣はまったく権限がないが、日本学術会議は日本学術法第1条2で「日本学術会議は、内閣総理大臣の所轄とする。」と定められています。
国の行政委員会で一定の独立性はあるにしても、内閣に属している組織であり、民間組織ではありません。
任命しなかった理由
次に任命しなかった理由について政府は人事だからといっていますね。
「人事とからむので答えは差し控える」これはどうなんでしょうか。
理由を言うということは対象の人をどう評価したかを言うことですよね。
いい評価であればまだしも、良くない評価はいいにくいですよね。
一般に、本人の門前では当然ですし、本人がいなくても良くない評判は良識のある人は言わないですよね。
「こんな経歴ではふさわしくない」とか「この人はこんなところがダメ」といった議論を公共の場でおこなうことは好ましくないです。
このような理由で任命しなかった理由は、言えないのではなく、非常に言いにくいのです。
もし言うとなると、任命しなかった人の好ましくないことを言わざるえない。言ってしまえば揉めるのは必至です。
菅総理は絶対にいわないでしょうね。これは言えるもんじゃないですね。
「総合的、俯瞰(ふかん)的な観点」て何?
菅総理の「総合的、俯瞰(ふかん)的な活動を確保する観点から、今回の任命を判断した」ではわかりません。ぼかしすぎて意味不明です。
内閣府大塚官房長は「新しい学術研究の動向に柔軟に対応し、社会とのコミニュケーション活動を行うことが期待されていることに応えるため、総合的、俯瞰(ふかん)的な観点から活動することが求められている」
うう… これまた、なにを言っているかわかりません。
個人の評価を言うのではなく、任命基準といった一般論を深掘りして言うしかないでしょうね。
こんな基準に該当する人を任命しましたと。問題はどこまで深掘りできるかです。
日本学術会議のあるべき姿は
日本学術会議は国の行政委員会です。当然、政府の一定の条件のもと限定された活動になってしまいます。
「学問の自由」を確保するということであれば、民間組織になるなど、今の組織のあり方を検討する必要があります。
事務局を官僚に握られているのでは発言力を強化するのはむずかいいです。