私は介護のプロではありません。母が3年前に病気で倒れ、3ヶ月の入院の後、1年間老人ホームに入居しました。現在はディサービスとショートスティーを利用して在宅で介護をして2年ほど経過しています。
自分で勉強しながら、専門家に相談し、施設を見学し、改めて知識を深めて決めていきました。
そんな経験から介護や老人ホームについて、誰と相談して、老人ホームをどのように選んだか話していきます。
基本的な考え方
昔、介護は家でおこなうものでした。2000年に介護保険法が成立し、地域社会全体で介護をするという考えに変わってきました。
ですから家族だけで決めないで、専門家に相談するのが一番です。
公的機関の職員ですから損得で判断しないで対象者にどのような方法がベターか、中立的な立場でアドバイスしてくれます。
いきなり老人ホームへの入居ではなくて、地域の介護状況や老人ホームについて理解した上で、選択肢の1つとして最適な老人ホームへの入居を決めることです。
施設入居までの手順
専門機関や専門家と相談するためには、被介護者の現状を把握しておくことです。適切に現状を説明できれば、明快なアドバイスをうけることができます。
その上で老人ホームを含めた介護全般についての知識を深めていきながら、複数の施設を見学してまわり、最適な介護サービスや老人ホームなどを決めていきます。
順番に記述すると以下のとおりになります。
被介護者の現状を把握
曖昧なことを相手に言ったら曖昧な回答しか返ってきません。専門的な知識がなくても構いません。
対象者の過去からの経緯と今の状況を具体的に説明できればいいです。
専門機関・専門家に相談
市町村の介護担当課、地域包括支援センター、社会福祉協議会、民生委員、ケアマネージャー(介護支援専門員)に相談します。
介護認定を受けていなければ、市町村の介護担当課、地域包括支援センター、社会福祉協議会に相談してみましょう。
地域の介護状況を教えてくれます。また各施設を紹介した小冊子などを作っているところが多いですから、もらいましょう。
すでに介護認定を受けている場合は、ケアマネージャーが決まっているはずです。
ケアマネージャーは介護に関するプロです。介護の専門知識を持ち、地域の介護施設の状況をよく知っています。
さらにケアマネージャーは、ケアプランを作成していますので、家族以外で一番対象者の状況を把握しています。
介護全般について理解
介護は老人ホームに入居することだけではありません。
在宅介護、ディサービス、ショートスティなど被介護者の状況に応じていろいろなサービスがあります。本やホームページを調べたりしましょう。
専門機関で相談員の話を聞いたり、もらった小冊子を読み返したりして、地域の介護についての知識を深めていきます。
老人ホームについて理解
老人ホームにはいろいろな種類があります。施設ごとに用途が異なっているので、その点を中心に理解しておく必要があります。
また実際には複数の用途を持った施設であったり、施設の種類を明示していなかったりするために、わかりにくくなっています。
老人ホームの種類
公的施設と民間施設に分けて考えるとわかりやすくなります。
公的施設は税金が投入されていますので民間施設と比較して費用が安価です。
また、公的施設は法律等で縛られているのか決まりきったサービスのような気がします。
それに対して民間施設はどちらかといえば、サービスに融通がきくようです。
公的施設の入居は要介護と1または2以上が条件であるこが多いです。それに対して民間施設は自立でも入居できることが多いです。
市町村や社会福祉法人が運営する公的施設です。
【特別養護老人ホーム】
- 常に介護が必要で自宅での生活が困難な人の施設
- 原則要介護3以上の者のみが入所可能(特段の事情があれば区分2以下でも可能)
- 費用は他の施設と比較すると安価
- 入所まで長い待機があるのが難点
【介護老人保健施設】
- 退院後リハビリなどで家庭への復帰をめざす施設
- 作業療法士や理学療法士などのリハビリ専門スタッフが常駐
【介護医療院】
- 医療ケアに特化した施設で医師や看護師が常駐
- 医療・介護だけでなく、生活の場を提供
- 看取りやターミナルケアのサービスがある。
【介護付き有料老人ホーム】
- 介護職員が常勤
- 入居時に一時金が必要な施設が多い。
- 幅広いサービスを提供している。
- サービスは定額
【住宅型有料老人ホーム】
- 入居者の身体状況や希望に合った介護サービスを選択できる。
- 利用したいサービスを選択できる。
【サービス付き高齢者向け住宅】
- 介護施設ではなく高齢者向けの賃貸住宅
- プライバシーが尊重される。
老人ホームの選択基準
- 料金
入居一時金、月平均費用、実費負担額、有料サービスなど - 入居条件
年齢、健康状態、身元保証人、看取りなど - 運営主体の経営状況
- 病院の併設
- 看護師の勤務体制
- 医師の往診
- 協力医療機関との距離
- リハビリ対応
- 介護が必要性
- 認知症への対応状況
- 看取り有無
- 緩和ケア
- 病院への搬送
- 立地条件
- 居室状況
個室有無、キッチン有無、浴室有無 - 職員体制
職員数
入居者1人当たりの職員数
夜間の職員数
職員の質 - 食事
食堂の環境
献立表の確認
入居者の意見を取り入れてくれるのか - 入浴
回数
追加入浴
個室の浴室
毎日入浴している人は要チェック - 行事活動
- 生活支援
病院・買い物への付添 - 既存入居者の状況
髪型が統一
服装の乱れ
爪・ひげ
身体拘束 - 人間関係
プライバシー言葉遣い - 施設管理
衛生管理、清掃など - 家族
面会
外泊
施設の説明と見学
最初に施設を訪問すると、見学する前に施設の概要や料金についての説明を受けます。
その他一般的には職員数、居室数、緊急時の対応、日常のスケジュール、入浴回数、介護やリハビリ訓練などについての話があります。
ここで疑問に思ったことはどんどん質問しましょう。
要望などがあれば、はっきり言ったほうがいいです。
また施設パンフレットがあればもらっておきましょう
次に見学です。清掃が行き届いているかといった施設の衛生管理状況を確認します。各室、食堂、お風呂の状況を自分の目で見て回ります。
入居者の雰囲気、職員の態度なども気をつけて見ておきます。
介護サービスの決定
「説明を聞いたら老人ホームに入居させようと思ったが、しばらくはディサービスを使おう。」というのもありです。
まずどんな介護サービスが適切かを決めます。
そのうえで老人ホームが適切と判断するのであれば、施設検討表を作ってはどうでしょうか。
施設検討表(様式)
「老人ホームの選択基準」で示した各項目をリストアップして、施設ごとに記入して聞きます。
一覧表にしておけば、施設ごとの長所、短所が見えてきますし、比較することも容易になりますので、施設決定のツールとして使って下さい。
施設名 | ||
施設種類 | ||
全 般 | 料金 | |
入居条件 | ||
運営主体 | ||
その他 | ||
医 療 ・ 介 護 体 制 | 病院の併設 | |
看護師の勤務体制 | ||
医師の往診 | ||
協力医療機関との距離 | ||
リハビリ対応 | ||
介護が必要性 | ||
認知症への対応状況 | ||
看取り有無 | ||
緩和ケア | ||
病院への搬送 | ||
その他 | ||
生 活 環 境 | 立地条件 | |
居住状況 | ||
職員体制 | ||
食事 | ||
入浴回数 | ||
行事活動 | ||
生活支援 | ||
既存入居者の状況 | ||
人間関係 | ||
施設管理 | ||
家族 | ||
その他 | ||
特記事項 |
最後に
例えば、70代、80代、90代に渡って老人ホームに入居するとします。
徐々に老化が進んでいき、受けたいサービスが変わってきます。
70代で良かったサービスが、90代になると不要になったり、より強化する必要が生じたりします。
老人ホームに入居中、いつでも満足がいくサービスは受けられるわけではありません。
3年から5年程度でその施設が適切な施設なのか見直す必要があります。
そうしないと割高な経費を払っている割に、質のいいサービスが受けられないことになります。
そのようなことを一番よく知っているのが、ケアマネージャーなどの地域介護の専門家です。