ダイエットはまず、体重管理の理屈を理解しよう。

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健康やダイエットのために、多くの人がウォーキング・ランニング・ウエートトレーニングなどの運動をおこなっています。

でもどれだけの人が目的に適した運動をしているのか?
この運動はどれだけの強度で、どれだけの時間や距離をおこなえばいいのか?

「どのような理屈で体重が変化するのか」を一緒に理解していきましょう。

目次

適正体重を求める

体重と身長の関係はBMI(Body Mass Index)で表されます。
BMIは以下の式で求めます。

BMI = 体重kg / (身長m)2

体重が60kgで身長が160cmの場合
BMI = 60/1.602 ≒ 23.4です。

BMIの基準は下表で示されます。
23.4は「普通体重」になります。

BMI値判 定
18.5未満低体重(痩せ型) 
18.5〜25未満普通体重
25〜30未満肥満(1度)
30〜35未満肥満(2度)
35〜40未満肥満(3度)
40以上肥満(4度)
日本肥満学会の基準

適正体重は「普通体重」の平均値として BMI = 22 としています。

BMI = 体重kg / (身長m)2
22 = 適正体重kg / (身長m)2
で、これを移項すると以下のとおりになります。

適正体重kg = (身長m)2 × 22

身長が160cmであれば約56kgです。
現在の体重が60kgであれば、4kgの減量が必要になります。

体重とカロリーの関係

「カロリー」はエネルギーの単位で、水1リットルを1℃上げるのに必要なエネルギー量が1kcalです。

体内には脂肪としてエネルギー(カロリー)が蓄えられています。
脂肪1kgは約7,200kcalに相当します。

体重の増減は摂取カロリーと消費カロリーの差によって決まります。

  • 「消費カロリー」ー「摂取カロリー」> 0
    の場合、体重減少
  • 「消費カロリー」ー「摂取カロリー」< 0
    の場合、体重増加
  • 「消費カロリー」ー「摂取カロリー」= 0
    の場合、体重現状維持

1ヶ月で1kg減量するには

減量分がすべて脂肪と仮定すると
脂肪1kg7,200kcal/30日=240kcal/日になります。

1ヶ月で1kg脂肪を燃やすためのエネルギー量
=「消費カロリー」ー「摂取カロリー」= 240kal/日

消費カロリーを算出する

「消費カロリー」は何もしないでも消費する「基礎代謝」、運動など体を動かすことにより消費する「活動代謝」、食事によって消費される「DIT(食事誘発生熱産生)」から構成されています。

消費カロリー = 基礎代謝量 + 活動代謝量 + DIT(食事誘発生熱産生量)

基礎代謝量

基礎代謝量とは生命維持のために必要な最小限の1日当たりのエネルギー量のことです。
平たく言えば、何もしないでも消費されるエネルギー量のことです。

平常時であれば基礎代謝量は消費エネルギーの約60%を占めています。
ウエートトレーニングなどで筋肉が大きくなると、基礎代謝量が増加します。

減量する場合、基礎代謝量を上げることが最も効率的であると言われています。
バランスのよい食事と適度な運動で筋肉量=基礎代謝を上げることが重要です。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書に性別・年齢別の基礎代謝量の表がありますので参考になります。
あくまで目安として捉えて下さい。

参照体重における基礎代謝量
性別男 性女 性
年齢基礎代謝
基準値
(kcal/kg体重/日)
参照体重
(kg)
基礎
代謝量
(kcal/日)
基礎代謝
基準値
(kcal/kg体重/日)
参照体重
(kg)
基礎
代謝量
(kcal/日)
1〜26111.570059.711660
3〜554.816.590052.216.1840
6〜744.322.298041.921.9920
8〜940.8281,14038.327.41,050
10〜1137.435.61,33034.836.31,260
12〜1431491,52029.647.51,410
15〜172759.71,61025.351.91,310
18〜2923.764.51,53022.150.31,110
30〜4922.568.11,53021.9531,160
50〜6421.8681,48020.753.81,110
65〜7421.6651,40020.752.11,080
75以上21.559.61,28020.748.81,010

活動代謝量

活動代謝量とは日常生活での動作、作業、運動やトレーニングなど、身体を動かすときに使われる消費エネルギー量のことです。

活動代謝量(kcal) = メッツ値 × 体重kg × 運動時間h × 1.05

メッツ値とは運動や作業によるエネルギー消費量が、安静時=1の何倍にあたるかを示す値のことです。

詳細は(独)国立健康・栄養研究所より改訂版 「身体活動のメッツ(METs)表」を見て下さい。
いくつか抜粋します。

コードメッツ値大項目個別活動
050263.5家での活動いろいろな家事を同時にこなす。
ほどほどの労力
070301.0丌活動、安静~安静に
近い低強度活動
睡眠
115801.5職業座位作業:楽な労力
(例:オフィスワーク、化学実験、
パソコン作業、簡単な組み立て作業、
時計の修理、読書、デスクワーク)
120207.0ランニングジョギング:全般
130101.5セルフケア入浴:座位
130301.5セルフケア食事をする:座位
172704.0歩行歩行:通勤や通学
注意点

メッツ値には安静時分(1メッツ)が含まれています。

例えば上図のコード12020のジョギングを60kgの人が30分実施した場合
ジョギングの活動代謝量=(7-1)✕0.5h✕60kg✕1.05=189kcal
になります。

DIT(食事誘導性体熱産生量)

DIT(食事誘導性体熱産生量)とは食事によって消費されるエネルギー量のことです。
食事後、身体が暖かく感じるのは食事誘発性熱産生によるものです。

DIT(食事誘導性体熱産生量)は概ね摂取エネルギー量の10%程度です。
基礎代謝と同じようにウエートトレーニングなどで筋肉量が増えると、DIT(食事誘導性体熱産生量も増加します。

よく噛みながらゆっくり食べたほうが、DIT(食事誘導性体熱産生量)が多くなり、減量効果が高くなります。

摂取カロリーを算出する

摂取カロリーは食品別に算出して、1日分を合計します。
公のデータとしては文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版」があります。

「日本食品成分表」は常用される食品の標準的な成分値を表しています。
1食品1標準成分値を原則として、可食部100g当たりの数値で示しています。
学校、病院、家庭で活用されているほか、教育・研究や行政においても広く活用されています。

膨大な量で該当する食品を検索するのには使いにくいです。
食品データベースは文部科学省が開発したものであり、「日本食品標準成分表2020年版を基礎データとしたWebアプリです。

食品名エネルギー
(kcal)
重量
(g)
ごはん156100
生たまご141100
味噌汁54100
野菜サラダ38100
焼き魚、あじ157100
豚肉310100
ビーフカレー119100
エビフライ236100
肉じゃが78100
麻婆豆腐104100

原材料か調理加工食品での表示になっているため、味噌汁とかサラダなどはありません。
原材料と調味料から自分で計算しなければならず、非常に面倒です。

試算例を示してみます

理屈ばかりいってもわかりにくいので、具体的な例を1つ示してみます。

  • 性別:男性
  • 年齢:40歳
  • 職業:サラリーマン(主にデスクワーク)
  • 身長:160cm
  • 体重:60kg
  • 摂取カロリー:2,200kcal/日
  • BMI = 体重kg / (身長m)2 = 23.4
  • 適正体重kg = (身長m)2 × 22 ≒ 56kg
  • 減量 = 体重 ー 適正体重 = 4kg
  • 4ヶ月で4kg減量するためのエネルギー量
    =240kal/日
  • 基礎代謝量 = 1,530kcal/日
  • 活動代謝量 = X kcal/日(活動しなかった場合の代謝量)
  • DIT(食事誘導性体熱産生量)
    = 摂取カロリー✕ 10% = 240kcal/日
  • 消費カロリー = 摂取カロリー(体重が現状維持する場合)
    = 1,530kcal/日 + X kcal/日 + 240kcal/日 =2,200kcal/日
    X kcal/日 = 430kal/日
  • 4ヶ月で4kg減量するためのエネルギー量240kcal/日
    +体重が現状維持する場合のエネルギー量430kcal/日
    =670kcal/日
  • 活動代謝量(kcal) 家での活動 既存の活動
    = メッツ値 × 体重kg × 運動時間h × 1.05
    = 2.5 ✕ 60kg ✕ 2h × 1.05 = 315kal/日
  • 活動代謝量(kcal) 歩行(通勤) 既存の活動
    = メッツ値 × 体重kg × 運動時間h × 1.05
    = 3 ✕ 60kg ✕ 0.5h × 1.05 = 95kal/日
  • 活動代謝量(kcal) ジョギング 新たな活動
    = メッツ値 × 体重kg × 運動時間h × 1.05
    = 6 ✕ 60kg ✕ 0.67h × 1.05 = 253kal/日
  • 活動代謝量(kcal) 合計 = 663kal/日
  • 670kcal/日 ≒ 663kal/日

新たに45分(0.67h)のジョギングを毎日4ヶ月継続すると4kg減量できます。
なかなか厳しいですね。

体重管理アプリ

カロリー計算はめんどうな割に正確な数値は求めにくいです。
もう少し簡単に使えないかという人にはスマホのアプリが便利です。

人気のアプリを2つ紹介します。

あすけん ダイエット・ヘルスケアの食事記録やカロリー計算に
あすけん ダイエット・ヘルスケアの食事記録やカロリー計算に
開発元:asken inc. (Tokyo)
無料
posted withアプリーチ
カロミル - ダイエット・糖質制限などの栄養管理
カロミル – ダイエット・糖質制限などの栄養管理
開発元:Life Log Technology, Inc.
無料
posted withアプリーチ

まとめ

  • 適正体重kg = (身長m)2 × 22
  • 「消費カロリー」ー「摂取カロリー」> 0 で体重が減少する
  • 1ヶ月で1kg脂肪を燃やすためにはエネルギー量240ka必要
  • 消費カロリー = 基礎代謝量 + 活動代謝量 + DIT(食事誘発生熱産生量)
  • 活動代謝量(kcal) = メッツ値 × 体重kg × 運動時間h × 1.05
  • 摂取カロリーは「日本食品標準成分表2020年版」から算出

【課題】

  • 脂肪の減少がすべて体重の減少になるためには、筋肉などタンパク質を主成分とする部位が減少しないような運動を取り入れることを考慮しなければいけない。
  • 日本食品標準成分表2020年版」は使いにくいので、自分にあった複合成分表を作っておく必要がある。
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