【デジタル終活】iPhoneを相続する。

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例えば最新のiPhoneを購入した相続人の親が、半年後に死亡したとします。
相続人はそのiPhoneをどのようにすればいいのでしょうか?
以下のような処分方法が考えられます。

  1. 形見として保持、数年後に処分
  2. Apple ID がわかるので必要なものをコピーして処分
  3. Apple ID はわからないが、パスコードはわかるので必要データをコピー
  4. iPhoneを初期化して、相続人が使用

このなかで契約違反の恐れがあるのは何番でしょうか?
答えはまとめにあります。

iPhoneの何が相続できて、何が相続できないのかを見ていきます。

関連事項で故人のiPhoneパスワードがわからない場合の対処方法は以下の記事を参考にして下さい。

目次

相続に関する民法の規定

まず法律がどうなっているか確認します。

(相続の一般的効力)
民法第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

e-gov 民法

iPhoneなどのデジタル資産だけではなく、相続の対象になるのは財産的な価値のあるものすべてです。
ただし一身に専属したものは対象外です。

一身に専属したもの

一身に専属したものとは、被相続人(死亡者) のみに帰属しており相続できない権利義務のこと
具体的には弁護士・税理士などの資格、生活保護費請求権、親権、雇用契約による労働義務などです。

iPhoneを含めたデジタル機器が相続できる範囲

物理的なものであるパソコン、スマホなどは動産として相続の対象になります。
パソコン、スマホなどに入っているデータも相続の対象です。
ネットサービスのアカウント(一種の権利)も通常であれば相続の対象です。

以上が一般論です。
iPhoneでいえば物理的なものはiPhoneそのもの
データはiPhoneの中に入っているデータ
権利はApple IDを通じて受けることができるサービス

しかしながらアップルは「iCloudへようこそ」で

「デジタル遺産で許可されている場合を除き、法律で別途義務付けられていない限り、お客様は、お客様のアカウントが譲渡不能なものであること、およびお客様が死亡した場合には、お客様のApple IDまたはお客様のアカウント内にあるコンテンツについて一切の権利が消滅することに同意するものとします。」

iCloudへようこそ

Appleは原則、権利であるApple IDは一身に専属したものとして位置づけており、相続の対象外になります。

文面から解釈すると、アップルはApple IDのユーザーが死亡したからといって、被相続人にID、パスワードを教えることは一切しないということです。

一身に専属したもの」の取扱い

アップルだけではなく、アカウントが一身に専属したものかどうかは、サービス提供者サイドのスタンスに依ります。

同じようなサービスでもアカウントを教えてくれるところと、そうでないところがあるのが現実です。

アップルのようなアカウントを教えてもらえないサービスでは、法的な問題が生じないようにするために、相続人が被相続人に代わってログインすることは、控えるのが懸命です。

ただ、ログインして情報を確認するだけで、被相続人になりすまして情報を変更、削除しないのであれば、相続人であれば一定条件のもとで許されるのではないかといった声が徐々に増えてきているのが現状です。

現にアップルでは「故人アカウント管理連絡先」でユーザーが死亡したときにApple IDにアクセスできる者を指定できるようになりました。

アップルの「故人アカウント管理連絡先」サービス

故人アカウント管理連絡先」とは自分の死後にApple ID にアクセスできる人を指名できるサービスです。

若い人であれば死ぬことなんて考えてもいないでしょうし、縁起でもないと思う人も多いでしょう。
また、家族のApple IDは知っているという人もいるでしょう。

万一法律的な問題が発生したときの保険として、iPhoneユーザーは「故人アカウント管理連絡先」を設定しておくことは、年齢に関係なくおすすめです。

詳細は下記のページを参照下さい。

Apple ID やその属性の変更

Apple IDやパスワード、氏名、住所、支払い方法が変更できます。
iPhoneを相続したからといって、ユーザーではない相続人が勝手に変更するのは契約違反の恐れがあります。

これは結婚などで氏名住所などを変更しなければいけなくなったことに対応するものと推測されます。
ユーザー本人が自ら変更することを想定しているものであり、相続での変更に対応したものではありません。

アップルの「ファミリー共有」サービス

「ファミリー共有」を設定すると、家族であれば最大6人まで以下のアップルが提供するサービスを共有することができます。

iTunes、Apple Books、App Store 、Apple Music のファミリープラン、iCloud、フォトアルバム、カレンダー、リマインダーなど最大6名の家族で簡単に共有できます。

アカウントは別々なので個々のプライバシーは守られています。

サービス利用の料金が発生する場合、原則管理者が家族全員の料金を支払います。

被相続人が管理者で料金を支払っていても、必要な変更手続きをすれば、「ファミリー共有」は継続できます。

まとめ

答え:2番

  1. 形見として保持、数年後に処分
    iPhoneをものとしては相続することができます。
  2. Apple ID がわかるので必要なものをコピーして処分
    Apple ID がわかるからといってユーザー以外の者がアクセスするのは契約違反の恐れがあります。
  3. Apple ID はわからないが、パスコードはわかるので必要データをコピー
    データも相続することができます。
  4. iPhoneを初期化して、相続人が使用
    初期化して、単なるを使うのであれば相続できるので問題はありません。

iPhoneなどのデジタル資産だけに限らず、相続の対象になるのは財産的な価値のあるものすべてです。
ただし一身に専属したものは対象外です。

情報機器そのもの、情報機器に保存されている情報は相続できます。
ネットサービスのアカウントはサービス会社によって、一身に専属したものとして相続できないとする場合と相続できる場合があります。

アップルの場合は一定の条件のもとで「故人アカウント管理連絡先」サービスでApple IDを開示しています。


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