所有者不明土地問題の進捗状況、法務局の住民情報把握が心配

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所有者不明土地お金・財産

国の法制審議会は2021年2月10日に「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案」を法務大臣に答申しました。

「登記の義務化」「土地所有権の国へ帰属する制度の創設」などが新たに提案されました。
今後、答申をもとに民法や不動産登記法などの改正案を、今国会へ提出する予定になっています。

大筋の方向としては所有者不明土地の解消のためには、明るい兆しが見えてきました。
ただ「住民基本台帳」を使う点が気になります気になります。

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「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案」の概要

  • 相続登記などの任意から義務への変更
  • 土地所有権の国へ帰属する制度の創設(所有権放棄)

簡単にいうと「所有権放棄を認めますので、相続登記は必ずして下さい」ということです。
要綱の概要については、以下で細かく説明していますので確認下さい。

「住民基本台帳」利用について

住民基本台帳」が気になります。そのことについて記述した箇所を抜粋します。

第2部 不動産登記法等の見直し

第1 所有権の登記名義人に係る相続の発生を不動産登記に反映させるための仕組み
2 権利能力を有しないこととなったと認めるべき所有権の登記名義人についての符号 の表示
死亡情報を取得した登記所が相続の発生を不動産登記に反映させるための方策とし て、住民基本台帳制度の趣旨等に留意しつつ、次のような規律を設けるものとする。
登記官は、所有権の登記名義人(法務省令で定めるものに限る。)が権利能力を有しないこととなったと認めるべき場合として法務省令で定める場合には、法務省令で 定めるところにより、職権で、当該所有権の登記名義人についてその旨を示す符号を表示することができる。

http://www.moj.go.jp/content/001340751.pdf

以下は私見です。

「権利能力を有しないこととなったと認めるべき所有権の登記名義人」とはこの場合は死亡した登記名義人のことでしょう。

「当該所有権の登記名義人についてその旨を示す符号を表示することができる。」とは死亡した登記名義人には区別するためにチェックを入れることでしょう。

第3 登記所が他の公的機関から所有権の登記名義人の死亡情報や氏名又は名称及び住所の変更情報を取得するための仕組み
相続の発生や氏名又は名称及び住所の変更を不動産登記に反映させるための方策を採る前提として、登記所が住民基本台帳ネットワークシステムから所有権の登記名 義人の死亡情報や氏名又は名称及び住所の変更情報を取得するため、次のような仕組みを設けるものとする。
1 自然人である所有権の登記名義人は、登記官に対し、自らが所有権の登記名義人として記録されている不動産について、氏名及び住所の情報に加えて、生年月日等の情報(検索用情報)を提供するものとする。この場合において、検索用情報は登記記録上に公示せず、登記所内部において保有するデータとして扱うものとする。
2 登記官は、氏名、住所及び検索用情報を検索キーとして、住民基本台帳ネットワークシステムに定期的に照会を行うなどして自然人である登記名義人の死亡の事実や氏名又は名称及び住所の変更の事実を把握するものとする。

http://www.moj.go.jp/content/001340751.pdf

氏名及び住所の情報に加えて、生年月日等の情報(検索用情報)を提供するものとする。この場合において、検索用情報は登記記録上に公示せず、登記所内部において保有するデータとして扱うものとする。」とはどんな意味でしょうか。

たぶん、登記名義人は住民票を法務局(登記所)に提出する。法務局は住民票を本人確認だけに使用して、公表する登記簿には表記しないという意味かと推測します。

気になるのは「データとして扱う」についてです。
法務局(登記所)は検索データとして収集した住民票から住民基本台帳もどきを作るのではないでしょうか。

気になるのが以下の点です。

  • 土地の移動(所有権移転・地目変更・分合筆など)でさえ届けない人が多いのに、人の移動(相続・住所変更)を法務局(登記所)に届けるだろうか。
  • 法務局(登記所)は新たに人の移動(住民基本台帳もどき)の整備する業務が増えるが、対応できるのだろうか。
  • 個人情報の扱いは大丈夫だろうか

気になるけれども、住民基本台帳もどきを整備しないと相続放棄の義務化所有権放棄を実現することはできません。

特に増え続ける所有権放棄を解消するためには絶対に必要です。
法案が本国会(2021年3月現在)に提出される予定ですので、今後その中身も確認していきたいと思います。

まとめ

所有権放棄地の解消のために「相続登記などの任意から義務への変更」「土地所有権の国へ帰属する制度の創設」することが検討されています。

その中で住民基本台帳を利用することが提案されています。住民情報を法務局(登記所)に届けること、法務局(登記所)が住民情報を整備すること、個人情報の扱いなど新たな業務が増えます。

スムーズにいくか心配ですが、特に増え続ける所有権放棄を解消するためには住民情報を法務局(登記所)が扱うことは絶対に必要になってきます。

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