60歳からの資産運用は「資産管理簿」と「キャッシュフロー表」で余裕金を計算してから

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野村資本市場研究所の2017年「高齢者の資産管理に関するアンケート調査」のなかに「どのような運用資金が必要か」という質問事項がありました。

回答結果は「元本保証商品のみを活用する24.1%、「どうしていいのかわからない24.8%と半数近くの人が資金運用のイメージが持てていないことがうかがわれます。

Q:どのような運用資金が必要か(60代)割合
A1:元本保証商品のみを活用する24.1%
A2:運用収益等を受け取り、元本を減らさない19.9%
A3:投資信託の出来るだけ高い分配金がでる
ファンドを活用すること
2.8%
A4:投資信託の運用を通じて、分配金や売却により、
一定率の資金を計画的に受け取ること
9.9%
A5:元本保証である預金を対象に金銭信託とし、
そのうち一定額の資金を計画的に受け取ることこと
5.7%
A6:リスクについて積極的な運用を行う1.4%
A7:証券投資を増やしながらも、低リスク運用5.0%
A8:低コスト商品で運用する5.0%
A9:その他1.4%
A10:どうしていいのかわからない24.8%
合計100.0%
高齢者の資産管理に関するアンケート調査」より作成

「資金運用の何についてイメージが持てていないのか?」という問題を解決するために、具体的な手順によって説明します。
手順がわかればはっきりとイメージできるだけではなく、実際に活用ができます。

資産管理簿」「キャッシュフロー表」を作成すれば、現在の資産状況と将来に向けた貯蓄や投資のやり方が具体的にわかります。

問題解決の手順をまとめると以下のとおりになります。

  • 資産管理簿」の作成
  • キャッシュフロー表」を作成
  • 収益性資産」「安全性資産」「流動性資産」の3資産に分類
  • 資産管理簿」「キャッシュフロー表」の定期的見直し
  • 3資産の定期的見直し

資産管理簿」で現在の資産状況を整理して、貯蓄残高を計算します。

キャッシュフロー表」に貯蓄残高を転記、年次ごとの収支を計算します。資産が死亡するまで、まかなえるか試算します。

生涯消費することのない余裕金である「収益性資産」、低リスク低リターンの投資財源にする「安全性資産」、日々の生活費のためのお金である「流動性資産」に分類します。

資産管理簿」「キャッシュフロー表」を1年に1回見直します。連動して「収益性資産」「安全性資産」「流動性資産」も見直します。

収益性資産」「安全性資産」「流動性資産」の額を「ライフプラン表」から算出します。
漠然としていた投資額をはっきりと計算で導きだします。

目次

「資産管理簿」の作成

保有している資産の状況を整理するために「資産管理簿」を作成します。
金融広報中央委員会で作成している「家計の資産管理簿」というエクセルファイルを使います。

詳細は次の記事をお読み下さい。

「キャッシュフロー表」を作成

キャッシュフロー表」とは将来の家計収支と貯蓄残高を一覧表にして、「見える化」した表です。

NPO法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(FP協会)が作成しているキャッシュフロー表を使います。FP協会のURLから「家計のキャッシュフロー表ダウンロード」エクセル表をダウンロードして下さい。

説明用に作成したエクセルファイルを公開します。参考にして下さい。

詳細は次の記事をお読み下さい。

「キャッシュフロー表」記入のポイント
  • 「資産管理簿」の金融資産計の額を「キャッシュフロー表」の現在の貯蓄残高のらんに転記
  • 年数は100歳までを記入

資産管理簿」で計算した金融資産計の額を「キャッシュフロー表」貯蓄残高のらんに転記することにより、「資産管理簿」と「キャッシュフロー表」が連動します。

日本人の平均寿命は女性87.45歳、男性81.41歳(2019年)です。平均以上に生きる可能性は十分ありますので、余裕をみて「キャッシュフロー表」の年数を100歳までとして計算します。

「流動性資産」「安全性資産」「収益性資産」の3資産に分類

キャッシュフロー表」の例では妻が100歳で、469万円の貯蓄残高があります。

説明用のエクセルファイルでは、生涯で469万円の余裕金が発生することになります。これは万が一なくなっても生活に影響がないお金ですから、「収益性資産」とします。

父が60歳現在の貯蓄残高(総資産)は4,800万円です。私の独自の考え方ですが

「安全性資産」+「収益性資産」= 貯蓄残高 ✕(90 ー 年齢)%

にしています。60歳で当てはめて見ると
安全性資産」+ 469万円 = 4,800万円 ✕(90 ー 60)% = 1,440万円
安全性資産」= 971万円


流動性資産」=「貯蓄残高(総資産)」ー「安全性資産」ー「収益性資産」=3,360万円

具体的には収益性資産」は株式などのハイリスク・ハイリターンな商品です。
安全性資産」は NISA を含めた投資信託です。
流動性資産」は普通預金、定期預金、国債です。

「保有資産状況表」「ライフプラン表」の定期的見直し

年々生活状況は計画とは異なってきます。
年に1回「保有資産状況表」「ライフプラン表」を見直します。

それに伴って、「流動性資産」「安全性資産」「収益性資産」の額も変わってきます。
その結果によって仕事、年金、貯蓄、投資を見直していきます。

まとめ

資金運用は以下の手順で進めて下さい。

  • 資産管理簿」の作成
  • キャッシュフロー表」を作成
  • 収益性資産」「安全性資産」「流動性資産」の3資産に分類
  • 資産管理簿」「キャッシュフロー表」の定期的見直し
  • 3資産のの定期的見直し

資産管理簿」「キャッシュフロー表」を作成すれば、現在の資産状況と将来に向けた貯蓄や投資のやり方が具体的にわかります。

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