不動産登記とは土地・建物などの不動産を不動産登記法に基づいて保護し、権利関係を公示することにより、円滑な不動産取引を実現するための制度です。
簡単に言えば登記をしておくことで「この不動産は私が所有者です。」と主張でき、第三者に法的に対抗する措置を取ることができます。
不動産登記には大きく分けて表題登記と権利登記があります。
表題登記は不動産の所在などを明確にするための登記であり、権利登記は不動産の所有権や賃貸借権などの権利関係を明確にする登記です。
不動産登記の手続きの1つに建物表題登記があります。
建物表題登記簿には建物の所在、構造、床面積、登記原因日などが記載されています。
建物表題変更登記は登記簿に記載された事項に変更が生じたときにおこなう登記です。
具体的な例として、建物を増築した際には床面積が増えますので建物表題変更登記をする必要があります。
また、表題登記は義務であることが不動産登記法に示されています。
しかしながら建物の場合は必要がなければ申請してないのが現状のようです。
このような状況の中、法律改正により令和6年4月1日以後に相続が開始された場合は、相続開始3年以内に登記することが義務づけられます。
原因が相続であるため、表題登記をすることは当然ですが、新たに権利登記も義務化されます。
相続による登記については次の記事に詳しく書いておきました。参考にして下さい。
我が家は築70年以上で後20年は住んでいこうと思っています。
祖父が建築して、父が相続、父死亡後は私が相続して現在に至っています。
建物表題登記はされています。その後増築しているのですが建物表題変更登記がされていません。
今後、相続登記も義務化されることで相続手続きで妻や子に迷惑はかけられないと思って建物表題変更登記をする決心をしました。
委託による登記か、自分で登記をおこなうか?
現地調査、現地測量、書類作成、申請手続、書類作成をすべて丸投げすると、木造2階建て造りで概ね10万円が相場だそうです。(あくまで相場です。個々の状況により金額は変動します。)
私の場合、増改築が未登記であることや、居宅以外に倉庫、車庫が3棟あるため、丸投げで委託すると20〜30万円はかかりそうです。
定年退職後は家で過ごしているので、アルバイトだと思って自前でやることに決めました。
建物表題変更登記申請までの手順
まずは、登記簿や公図を取得し、現状の情報を確認します。
次に、申請に必要な要件を確認し、必要な書類を揃えます。
現状の建物の図面(建物図面、各階平面図)を作成します。これには、増改築された部分も含めて記載します。
申請に必要な添付書類を取得します。
申請書を作成し、必要な書類と共に提出します。
本人申請では必ず実地調査があります。
図面の作成が一番厄介な部分です。
私の家では、キッチン、風呂、トイレ、洋室、子供部屋、階段など、多数の増改築をおこなっていましたので大変苦労しました。
図面の手書きでは修正のときに非常に困るので、CADを使うことにしました。
CADは全く初めてですが、オンラインでのチュートリアルや図書を活用し、基本操作を学びながら図面を作成しました。これにより、修正が必要になった際にもスムーズに対応することができました。
以上の手順に沿って、建物表題変更登記申請を進めていくことができます。正確な図面作成や書類の整備が重要となりますので、十分な準備を行い、手続きを進めましょう。
登記簿・公図の取得
次の方法で取得できます。
- 法務局に出向いて取得
- オンラインでの取得
- 「登記・供託オンライン申請システム」を利用
- 「登記情報提供サービス」を利用
法務局へ出向いて取得する方法が最も確実ですが、、時間が取れない場合や法務局が遠方にある場合は、オンラインで取得することができます。
「登記・供託オンライン申請システム」は法務省のサービスで登記簿・公図を後日郵送されてきます。
「登記情報提供サービス」は一般財団法人 民事法務協会のサービスでPDFファイルで即日取得できますが、証明印はありません。
登記簿・公図は確認するために取得証明印が押されている必要ありません。急いでいる場合は「登記情報提供サービス」を利用して下さい。
詳しくは次の記事を参照下さい。
申請要件を確認
申請書の様式は?
添付書類は何が必要なの?
図面には何を書けばいいのか?
など
さまざまな疑問が浮かんできます。Web検索をおこなうと概ねわかりますが、根本の情報はどこに書かれているのか気になります。
根拠は主に次の法律などにあります。
1次情報は次の4つで、それ以外はすべて2次情報です。
疑問が生じた場合は次の4つで確認するようにしましょう。
また別記事で詳細にまとめてみましたので一読下さい。
図面作成と使用ソフトウェア
表題登記申請に必要な図面は「建物図面」と「各階平面図」です。
詳しい内容については次の記事を読んで下さい。
図面の作成はCADソフトで作成していきます。
具体的にはフリーソフトの「Jw_cad」を利用します
ただし、いきなり「Jw_cad」を使うと途中で挫折する可能性が高いです。 そこで、「マイホームクラウド」で間取り図を事前に作成しておきます。。
CADを使う前に下図を「マイホームクラウド」で作成します。
私は「マイホームクラウド」がなかったら、図面作成は諦めたかもしれません。
「マイホームクラウド」はWebアプリで、尺貫法で各部屋のパーツを簡単にはめ込んで作成することで、非常に簡単に間取り図を作成することができます。
「マイホームクラウド」で作った間取り図を「Jw_cad」で読み込んで、詳細を記入して図面を完成させていきます。
詳しくは次の記事を参考にして下さい。
添付書類取得
添付書類について法律などには明確な記載がありません。
一般的には申請書に次の書類を添付することがもとめられます。
- 建物図面・各階平面図
これは当然必要です。 - 建築確認検査済証と建築確認通知書
建物図面・各階平面図は建築確認申請の図面を基に作成しますので、それが都道府県土木事務所などで承認されたことを確認するための書類になります。 - 施工業者の工事完了引渡証明書
申請者が建物を引き受けたことの証明になります。 - 住民票
申請者の身分を証明するものです。 - 案内地図
登記申請建物を現地検査するときに必要になります。 - 委任状(代理人に申請してもらう場合)
司法書士に代理申請してもらう場合に必要になります。
その他個々の事情によっては追加の書類を要求される場合があります。
具体的な添付書類の要件については、登記申請を行う法務局や司法書士に確認して下さい。
申請書作成
申請書の様式については法務省のホームページに様式及び記載例があります。
次のブログカードをクリックすると見ることができます。
ただ、建物表題変更登記申請書の様式はありませんので、23)建物滅失登記申請書で代用します。
「登記の目的」で「建物滅失」を「建物表題変更」に変えれば使えます。
実地調査
司法書士や土地家屋調査士に委託せず所有者自ら申請した場合は、必ずと言っていいほど登記官は現地を見にきます。
必ず立ち会って修正箇所がある場合に備えて、申請書や図面に素早く記入できるようにしておきます。
詳しくは次の記事を参考にして下さい。