建物表題登記申請書作成のための要件を整理してみた

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家を新築したときに建物表題登記が、増築や改築したときには不動産登記法で建物表題登記をすることが義務付けられています。

一般的には土地家屋調査士に登記申請を依頼するのですが、自己所有の建物であれば土地家屋調査士に委託しなくても、自分で建物表題登記申請書を作成することができます。

建物表題登記申請をおこなうためには申請書と添付書類を準備する必要があります。
参考図書やネット情報をみれば大方わかりますが、それらは2次情報です。

ベースになる1次情報は法律や規則に示されています。
申請先である法務局職員は法律に基づいて登記業務をおこなっています。

面倒でも書類作成前に1次情報である法律などを読み込んでおくことが手戻りが少なくしますし、法務局に申請を差し戻しされるリスクも少なくなります。

急がば回れです。

それではまずは法律など建物表題登記申請のために必要な箇所をすべて洗い出します。
必要箇所のみ引用しています。気になったら直接法律などに当たって下さい。

関係する法律などは次の4つです。

  • 不動産登記法
  • 不動産登記令
  • 不動産登記規則
  • 不動産登記事務取扱手続準則
目次

不動産登記法

(建物の表題登記の申請)

第四十七条 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。

(建物の表題部の変更の登記)

第五十一条 第四十四条第一項各号(第二号及び第六号を除く。)に掲げる登記事項について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、当該変更があった日から一月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない。

 前項の登記事項について変更があった後に表題部所有者又は所有権の登記名義人となった者は、その者に係る表題部所有者についての更正の登記又は所有権の登記があった日から一月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない。

e-gov 法令検索 不動産登記法

不動産登記令

(定義)

第二条

 建物図面 一個の建物の位置を明らかにする図面であって、法務省令で定めるところにより作成されるものをいう。

 各階平面図 一個の建物の各階ごとの平面の形状を明らかにする図面であって、法務省令で定めるところにより作成されるものをいう。

(申請情報)

第三条 登記の申請をする場合に登記所に提供しなければならない法第十八条の申請情報の内容は、次に掲げる事項とする。

 申請人の氏名又は名称及び住所
 登記の目的

 登記原因及びその日付(所有権の保存の登記を申請する場合にあっては、法第七十四条第二項の規定により敷地権付き区分建物について申請するときに限る。)

 建物の表示に関する登記又は建物についての権利に関する登記を申請するときは、次に掲げる事項

 建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である建物にあっては、当該建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)

 家屋番号(建物の表題登記(合体による登記等における合体後の建物についての表題登記を含む。)を申請する場合、法第七十四条第一項第二号又は第三号に掲げる者が表題登記がない建物について所有権の保存の登記を申請する場合及び表題登記がない建物について所有権の処分の制限の登記を嘱託する場合を除く。)

 建物の種類、構造及び床面積

 建物の名称があるときは、その名称

 附属建物があるときは、その所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である附属建物にあっては、当該附属建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)並びに種類、構造及び床面積

e-gov 法令検索 不動産登記令

不動産登記規則

(申請情報)

第三十四条 登記の申請においては、次に掲げる事項を申請情報の内容とするものとする。

 申請人又は代理人の電話番号その他の連絡先

 附属建物があるときは、主である建物及び附属建物の別並びに第百十二条第二項の符号

 敷地権付き区分建物であるときは、第百十八条第一号イの符号

 添付情報の表示

 申請の年月日

 登記所の表示

(土地所在図、地積測量図、建物図面及び各階平面図の作成方式)

第七十三条 電子申請において送信する土地所在図、地積測量図、建物図面及び各階平面図は、法務大臣の定める方式に従い、作成しなければならない。書面申請においてこれらの図面を電磁的記録に記録して提出する場合についても、同様とする。

 前項の土地所在図、地積測量図、建物図面及び各階平面図には、作成の年月日並びに申請人及び作成者の氏名又は名称を記録しなければならない。

第七十四条 土地所在図、地積測量図、建物図面及び各階平面図(これらのものが書面である場合に限る。)は、〇・二ミリメートル以下の細線により、図形を鮮明に表示しなければならない。

 前項の土地所在図、地積測量図、建物図面及び各階平面図には、作成の年月日を記録し、申請人が記名するとともに、その作成者が署名し、又は記名押印しなければならない。

 第一項の土地所在図、地積測量図、建物図面及び各階平面図は、別記第一号及び第二号の様式により、日本産業規格B列四番の丈夫な用紙を用いて作成しなければならない。

別記第二号(建物図面、各階平面図)の書式

(建物図面及び各階平面図の作成単位)

第八十一条 建物図面及び各階平面図は、一個の建物(附属建物があるときは、主である建物と附属建物を合わせて一個の建物とする。)ごとに作成しなければならない。

(建物図面の内容)

第八十二条 建物図面は、建物の敷地並びにその一階(区分建物にあっては、その地上の最低階)の位置及び形状を明確にするものでなければならない。

 建物図面には、方位縮尺敷地の地番及びその形状隣接地の地番並びに附属建物があるときは主である建物又は附属建物の別及び附属建物の符号を記録しなければならない。

 建物図面は、五百分の一の縮尺により作成しなければならない。ただし、建物の状況その他の事情により当該縮尺によることが適当でないときは、この限りでない。

(各階平面図の内容)

第八十三条 各階平面図には、縮尺各階の別各階の平面の形状一階の位置各階ごとの建物の周囲の長さ床面積及びその求積方法並びに附属建物があるときは主である建物又は附属建物の別及び附属建物の符号を記録しなければならない。

 各階平面図は、二百五十分の一の縮尺により作成しなければならない。ただし、建物の状況その他の事情により当該縮尺によることが適当でないときは、この限りでない。

(建物)

第百十一条 建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない。

(家屋番号)

第百十二条 家屋番号は、地番区域ごとに建物の敷地の地番と同一の番号をもって定めるものとする。ただし、二個以上の建物が一筆の土地の上に存するとき、一個の建物が二筆以上の土地の上に存するとき、その他特別の事情があるときは、敷地の地番と同一の番号に支号を付す方法その他の方法により、これを定めるものとする。

 附属建物には、符号を付すものとする。

(建物の種類)

第百十三条 建物の種類は、建物の主な用途により、居宅、店舗、寄宿舎、共同住宅、事務所、旅館、料理店、工場、倉庫、車庫、発電所及び変電所に区分して定め、これらの区分に該当しない建物については、これに準じて定めるものとする。

 建物の主な用途が二以上の場合には、当該二以上の用途により建物の種類を定めるものとする。

(建物の構造)

第百十四条 建物の構造は、建物の主な部分の構成材料、屋根の種類及び階数により、次のように区分して定め、これらの区分に該当しない建物については、これに準じて定めるものとする。

 構成材料による区分

 木造

 土蔵造

 石造

 れんが造

 コンクリートブロック造

 鉄骨造

 鉄筋コンクリート造

 鉄骨鉄筋コンクリート造

 屋根の種類による区分

 かわらぶき

 スレートぶき

 亜鉛メッキ鋼板ぶき

 草ぶき

 陸屋根

 階数による区分

 平家建

 二階建(三階建以上の建物にあっては、これに準ずるものとする。)

(建物の床面積)

第百十五条 建物の床面積は、各階ごとに壁その他の区画の中心線(区分建物にあっては、壁その他の区画の内側線)で囲まれた部分の水平投影面積により、平方メートルを単位として定め、一平方メートルの百分の一未満の端数は、切り捨てるものとする。

(附属建物の新築の登記)

第百二十一条 登記官は、附属建物の新築による建物の表題部の登記事項に関する変更の登記をするときは、建物の登記記録の表題部に、附属建物の符号、種類、構造及び床面積を記録しなければならない。

e-gov 法令検索 不動産登記規則

不動産登記事務取扱手続準則

(各階平面図の作成方法)
第53条 規則第83条第1項の規定により各階平面図に各階の別、各階の平面の形状及び1階の位置、各階ごとの建物の周囲の長さを記録するには、次の例示のようにす るものとする。この場合におて、1階以外の階層を表示するときは、1階の位置を 点線をもって表示するものとする。

第82条 建物の床面積は、規則第115条に定めるところによるほか、次に掲げるところにより定めるものとする。
(1) 天井の高さ1.5メートル未満の地階及び屋階(特殊階)は、床面積に算入しない。ただし、1室の一部が天井の高さ1.5メートル未満であっても、その部分は、当該1室の面積に算入する。

(2)から(6)は省略

(7) 建物に附属する屋外の階段は、床面積に算入しない。
(8) 建物の一部が上階まで吹抜になっている場合には、その吹抜の部分は、上階の床面積に算入しない。
(9) 柱又は壁が傾斜している場合の床面積は、各階の床面の接着する壁その他の区画の中心線で囲まれた部分による。
(10) 建物の内部に煙突又はダストシュートがある場合(その一部が外側に及んでい るものを含む。)には、その部分は各階の床面積に算入し、外側にあるときは算入 しない。

(11) 出窓は、その高さ1.5メートル以上のものでその下部が床面と同一の高さに あるものに限り、床面積に算入する。

法務省 不動産登記事務取扱手続準則

条文のまとめ

【一般事項】

  • 建物の取得または変更から1ヶ月以内に登記申請をすること

【登記申請書に記載する事項】

一つひとつ記載項目を列挙するよりも登記申請書の様式を見た方が早いです。

表題登記は22番に建物滅失登記申請書しかありませんが、登記目的を「建物変更」に変えれば使えます。

【建物図面及び各階平面図に記載する事項】

まずは図面の様式を見て下さい。
収まれば建物図面及び各階平面図を1枚にまとめます。

図面共通

  • 0.2mm以下の線で記載
  • 作成者は署名または押印
  • B4用紙で作成
  • 一個の建物ごとに記載(主な建物と附属建物は併せ一個の建物)

建物図面

  • 1階の形状を主建物、附属建物別に記載
  • 方位、縮尺(1/500)を記載
  • 敷地の地番、隣接地の地番を記載
  • 主建物、附属建物に符号を記載

各階平面図

  • 各階別に平面形状、位置、周囲の長さを記載
  • 縮尺(1/250)を記載
  • 各階ごとの床面積と求積方法を記載
  • 主建物、附属建物に符号を記載
  • 床面積は壁の中心線で囲まれた部分の水平投影面積で計測
  • 単位はメートルで小数点第3位を切捨て
  • 2階以上の平面図は1階の形状を点線で記載する。
  • 天井の高さ1.5m未満の屋根裏などは床面積に参入しない。
  • 一部でも1.5m以上ある部屋は床面積に算入する。

条文では不明だった記載事項

境界までの距離

建物図面で建物の位置を特定するために建物の外壁から敷地の境界線の距離を記載する。

このことについては法律などのどこにも記載がないのですが、建物図面を作成するときの必須事項です。

添付書類

添付書類について法律などには記載がありません。
一般的には申請書に次の書類を添付することにあります。

  • 建物図面・各階平面図
    これは当然です。
  • 建築確認検査済証と建築確認通知書
    建物図面・各階平面図は建築確認申請の図面を基に作成しますので、それが都道府県土木事務所などで承認されたことを確認するための書類になります。
  • 施工業者の工事完了引渡証明書
    申請者が建物を引き受けの証明になります。
  • 住民票
    申請者の身分を証明するものです。
  • 案内地図
    登記申請建物を現地検査するときに必要になります。
  • 委任状(代理人に申請してもらう場合)
    司法書士に代理申請してもらう場合に必要になります。

その他個々の事情によっては追加の書類を要求される場合があります。

まとめ

建物表題登記図面作成のための要件まとめ

  • 用紙サイズはB4
  • 図面は0.2 mm以下の線で書きます。
  • 縮尺:各階平面図は1/250 建物図面は1/500
  • 各階平面図は外壁の中心線を書いてその長さを表示
  • 平面図の寸法の単位はm(メートル)
  • 各階の求積表を記入
  • 面積の合計は小数点第三位以下を切り捨
  • 2階建ての場合、2階の平面図には1階の形状を破線で記入
  • 建物図面は北が上になるように記入
  • 方位記号を記入
  • 建物図面には隣接する土地の地番を記入
  • 建物図面には、境界線から外壁の中心までの距離を二か所以上記載

手戻りがないように要件を整理してから図面作成に取りかかって下さい。

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