相続登記の義務化が令和6年4月1日よりスタート!怠ると10万円以下の過料、自力で未登記を解消

所有者不明土地が九州ほどの面積あると聞いたことがありますか?
驚きですね。

所有者不明土地とは何代にも渡って住所・氏名の変更登記をしてこなかったために、誰が所有者かわからなくなった土地のことです。

民間のトラブルや公共事業による用地買収に多大な影響があるために、政府は所有者不明土地の解消に本腰を入れ始めました。
所有者不明土地については多くの記事がアップされているのでお任せすることとして、今回は建物について少し話をします。

住宅ローンを設定して分譲住宅を購入した人は建物の登記は必須なので特に問題はないですが、古民家や借金をせずに購入した住宅は未登記のままになっている可能性があります。

このような未登記を解消するために不動産登記法が改正され、相続登記が義務化されることになります。
未登記のままの建物は建物表題登記から始める必要があり、この登記申請には図面の添付が必須です。

新築の建物であれば図面を準備することは容易ですが、古民家となると1から準備しなければいけません。
このような古民家の建物でもできるだけお金を掛けずに登記できる方法を解説します

目次

不動産登記法について

登記については書籍やホームページの記事などで多く取り上げています。書籍は内容が古かったり、ホームページの記事では根拠となる1次情報である法律の条文が示されないことが多いです。
この記事では法律の条文をもとにして説明を進めていきます。

登記を大きく分けると、表題登記権利登記があります。
現在でも表題登記は義務です。

表題登記とは登記簿に当該物件を登録したり、変更したり、削除したりすること
権利登記とは登録された登記簿に所有権などの権利が発生した場合にその権利を登録したり、変更したり、削除したりすることです。

不動産登記法
(土地の表題登記の申請)

第三十六条 新たに生じた土地又は表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。

(建物の表題登記の申請)

第四十七条 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。

上記に示したとおり表題登記は申請しなければならないことになっていますが、建物の場合は必要がなければ申請してないのが現状です。

不動産登記法改正

令和6年4月1日以後に相続が開始された場合は、相続開始3年以内に登記することが義務づけられます。
原因が相続ですから表題相続は登記することは当然ですが、新たに権利相続も登記する必要が生じます。

不動産登記法

(土地の表題登記の申請)

第三十六条 新たに生じた土地又は表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。

(建物の表題登記の申請)

第四十七条 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。

(相続等による所有権の移転の登記の申請)

第七十六条の二 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。

(過料)

第百六十四条 第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十二条、第四十七条第一項(第四十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第一項、第三項若しくは第四項、第五十一条第一項から第四項まで、第五十七条、第五十八条第六項若しくは第七項、第七十六条の二第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第四項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。

(不動産登記法の一部改正に伴う経過措置)
附則第五条
6 第二号新不動産登記法第七十六条の二の規定は、第二号施行日前に所有権の登記名義人について相続の開始があった場合についても、適用する。この場合において、同条第一項中「所有権の登記名義人」とあるのは「民法等の一部を改正する法律(令和三年法律第二十四号)附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日(以下この条において「第二号施行日」という。)前に所有権の登記名義人」と、「知った日」とあるのは「知った日又は第二号施行日のいずれか遅い日」と、同条第二項中「分割の日」とあるのは「分割の日又は第二号施行日のいずれか遅い日」とする。

36条と47条が表題登記を義務づける条項です。
77条の2が新たに追加される条項です。それまで任意であった権利登記の1つである相続登記が義務づけられます。

164条は登記をしなかった場合10万円以下の過料が課される条項です。
現在でも表示登記は義務づけられていますが、実際に過料が課されたという話は聞きません。

相続の未登記も有名無実になることも考えられる一方で、項先にお話した所有者不明土地問題が法律改正の大きな理由なので、厳格に対処することが考えられます。

「表示登記を委託して10万円以上支払うぐらいなら過料で10万円支払ったほうがいい」のではと?
思いますが、悪質な場合は10万円ではおさまらない事も考えられるので、安易に考えないほうがいいと思います。

登記の種類

登記は「登記簿を作る」「登記簿の内容を修正する。」「登記簿を抹消する。」ためにいろいろな種類があります。表にまとめると次のとおりになります。

登記の種類
土地建物
表示に関する登記表題表題
分筆表題変更
合筆滅失
地目変更
地積更正
地図訂正
権利に関する登記所有権保存
所有権移転
抵当権設定
根抵当権設定
etc

権利に関する登記は表以外にも権利の数だけ種類があります。法律では以下のように定めています。

不動産登記法

(登記することができる権利等)

第三条 登記は、不動産の表示又は不動産についての次に掲げる権利の保存等(保存、設定、移転、変更、処分の制限又は消滅をいう。次条第二項及び第百五条第一号において同じ。)についてする。

 所有権

 地上権

 永小作権

 地役権

 先取特権

 質権

 抵当権

 賃借権

 配偶者居住権

 採石権(採石法(昭和二十五年法律第二百九十一号)に規定する採石権をいう。第五十条、第七十条第二項及び第八十二条において同じ。)

建物未登記を解消するための手順(例)

まずは本当に未登記なのか?不動産登記簿と図面を取得して確認します。
表題登記が未登記であれば、建物表題登記申請と建物所有権保存登記申請をおこないます。

以下の手順に示すのは、今は存在しない古い建物の表題登記簿があった。
そのため最初に存在しない古い建物の建物滅失登記申請をおこった後、建物表題登記申請建物所有権保存登記申請をおこないます。

いずれにしても、登記申請が不慣れな場合は不動産登記簿を取得後、所管の法務局に1度相談したほうが手戻りがなくていいです。
具体的な手順を示すと次の6ステップになります。

Step
不動産登記簿の取得

法務局に出向いて取得する方法とオンラインで取得する方法があります。

Step
不動産の登記状況を確認

登記簿がどのような状態になっているか確認します。

Step
法務局に相談

個々のケースによって手続きが変わってきますので、事前に状況を説明する。

Step
建物滅失登記申請

解体してしまって存在しない建物が登記されている場合、建物滅失登記申請をおこない登記簿から抹消します。

Step
建物表題登記申請

現在建っている建物の登記申請をおこなう。

Step
建物所有権保存登記申請

不動産登記簿・図面の取得

不動産登記簿・図面の取得を取得する方法は主に次の3つの方法があります。

  • 法務局に出向く。
  • 法務省の「登記・供託オンライン申請システム」を利用する。
  • 一般財団法人 民事法務協会の「登記情報提供サービス」を利用する。

法務局で出向いて取得

不動産登記簿は所管の法務局で取得することができます。
法務局の窓口に備え付けてある「不動産用の登記事項証明書 登記簿謄本・抄本交付申請書」に必要事項を記入し提出するともらえます。

地番番号がわからない場合には、家屋番号は地番であることが多いです。
地番がわからない場合は、備え付けの住宅地図で確認することができます。

それでもわからない場合は、受付係員に聞くと親切に教えてもらえます。

「不動産用の登記事項証明書 登記簿謄本・抄本」手数料は600円/通で収入印紙を購入して支払います。
収入印紙は法務局の窓口で販売しています。

「登記・供託オンライン申請システム」「登記情報提供サービス」の利用

両サービスとも登録から請求までを、別記事にしましたので参考にして下さい。

不動産の登記状況を確認

取得した登記事項証明書(登記簿謄本)の見方を少し説明しておきます。
登記事項証明書(登記簿謄本)には「表題部」「権利部(甲区)」「権利部(乙区)」「共同担保目録」の四つの項目に別れています。

「表題部」には当該不動産が物理的にどこに存在するのかが記載されています。

「権利部(甲区)」には当該不動産の現在及び過去の所有者名、住所が記載されています。共有物件であれば持分割合が記載されています。

「権利部(乙区)」には当該不動産の所有権以外の権利に関する事項が記載されています。
例えば住宅ローンを借りて購入した物件であれば、抵当権が設定されていることが記載されています。

「共同担保目録」は複数の物件を担保にしてお金を借りる場合、すべての担保物件の所在地が記載されています。
例えば住宅ローンを借りて購入した物件であれば、土地とそこに建っている建物の所在が記載されています。
同じ所在地が二段で記載されています。

法務局に相談

私が相談した例を記載します。

所管法務局のWebページを見たところ、相談する場合は事前予約が必要とありましたので、法務局に電話しました。
建物番号(=建物の所在地番)を聞かれて登記状況を確認してくれました。

「構造」欄に「木造草葺平屋建」とありますが、現在の建物ではないのではないですか?
現在の建物でないのなら、登記簿に記載されている建物の「消失登記申請」た後、現在の建物の表題登記申請をおこなって下さい。

現在の建物は亡き父が建てたもので、私が相続したものです。(未登記のままです。)

現在の建物でないのなら、登記簿に記載されている建物の「消失登記申請」をおこなった後、現在の建物の「表題登記申請」をおこなって下さい。

「表題登記申請」が終わったら父の名前で「所有権保存登記申請」をおこない、その後「相続登記申請」をおこなえばいいのですか?

あなたが「所有権保存登記申請」をおこなえば、「相続登記申請」は必要ありません。

司法書士などに委託せず自ら申請されるのなら、一度自力で申請書を作ってから相談に来て下さい。
そのときに細かな修正点を指示します。

法務局に聞いてみて適切なアドバイスを頂きよかったです。
自己流でやっていくと手戻りが発生して面倒なことになるとこでした。
疑問点がでてきたら、ネットなどで調べてそれでもわからなければ法務局に聞くのが一番です。

建物滅失登記申請

法務省のページに様式があります。

建物滅失登記申請書(記載例)

(注1)

建物を解体した業者に証明してもらいます。
業者が法人の場合は会社の「登記事項証明書」と「印鑑証明書」を添付します。
個人の場合はその個人の「印鑑証明書」を添付します。

(注2)

法務局に提出する日を記載

(注3)

登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されている住所・氏名を記載します。

(注4)

電話番号を記載、携帯電話の番号でも可

(注5)

登記事項証明書(登記簿謄本)に書かれている「不動産番号」を記載
その場合、「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」の記載を省略することができます。

(注6)

「不動産番号」の記載がない場合、全て記載する。
「登記原因及びその日付」には「建物消失証明書」に書かれている解体日を記載する。

建物表題登記申請

法務省のページには「建物表題登記申請書」の様式や記入例はありません。
「建物消失登記申請書」を準用します。

添付書類は「不動産登記令」別表の項十二に記載があります。
図面などの記載事項については「不動産登記規則」第73条、第74条及び第81条から83条に記載されています。

「不動産登記令」別表の項十二の添付情報
建物図面

建物の敷地と建物の位置関係を示した図面
附属建物があれば主建物と区分して記載します。
原則1/500の縮尺で作成

各階平面図

各階ごとの平面の形状を明らかにする図面
原則1/250の縮尺で作成

表題部所有者となる者が所有権を有することを証する情報(所有権証明書)

【具体例】 以下から2点を添付します。
建築基準法による確認済証、検査済証
建築工事完了引渡証
固定資産税納付証明書
固定資産税台帳登録証明書
隣地所有者証明書
火災保険加入証書など

表題部所有者となる者の住所を証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報(住所証明書)

【具体例】
住民票
印鑑証明
戸籍抄本

建物図面及び各階平面図

不動産登記施行規則

(土地所在図、地積測量図、建物図面及び各階平面図の作成方式)

第七十三条 電子申請において送信する土地所在図、地積測量図、建物図面及び各階平面図は、法務大臣の定める方式に従い、作成しなければならない。書面申請においてこれらの図面を電磁的記録に記録して提出する場合についても、同様とする。

 前項の土地所在図、地積測量図、建物図面及び各階平面図には、作成の年月日並びに申請人及び作成者の氏名又は名称を記録しなければならない。

第七十四条 土地所在図、地積測量図、建物図面及び各階平面図(これらのものが書面である場合に限る。)は、〇・二ミリメートル以下の細線により、図形を鮮明に表示しなければならない。

 前項の土地所在図、地積測量図、建物図面及び各階平面図には、作成の年月日を記録し、申請人が記名するとともに、その作成者が署名し、又は記名押印しなければならない。

 第一項の土地所在図、地積測量図、建物図面及び各階平面図は、別記第一号及び第二号の様式により、日本産業規格B列四番の丈夫な用紙を用いて作成しなければならない。

(建物図面及び各階平面図の作成単位)

第八十一条 建物図面及び各階平面図は、一個の建物(附属建物があるときは、主である建物と附属建物を合わせて一個の建物とする。)ごとに作成しなければならない。

(建物図面の内容)

第八十二条 建物図面は、建物の敷地並びにその一階(区分建物にあっては、その地上の最低階)の位置及び形状を明確にするものでなければならない。

 建物図面には、方位縮尺、敷地の地番及びその形状、隣接地の地番並びに附属建物があるときは主である建物又は附属建物の別及び附属建物の符号を記録しなければならない。

 建物図面は、五百分の一の縮尺により作成しなければならない。ただし、建物の状況その他の事情により当該縮尺によることが適当でないときは、この限りでない。

(各階平面図の内容)

第八十三条 各階平面図には、縮尺各階の別各階の平面の形状、一階の位置、各階ごとの建物の周囲の長さ床面積及びその求積方法並びに附属建物があるときは主である建物又は附属建物の別及び附属建物の符号を記録しなければならない。

 各階平面図は、二百五十分の一の縮尺により作成しなければならない。ただし、建物の状況その他の事情により当該縮尺によることが適当でないときは、この限りでない。

出典:https://houmukyoku.moj.go.jp/morioka/content/000133358.jpg

建物所有権保存登記申請

法務省のページに様式があります。

(注1)

登記記録(登記事項証明書)の表題部に記録されている所有者の記録と一致していなければなりません。

(注2)

「住民票コード」が記載された住民票を窓口で請求して下さい。 

(注3)

記載内容について法務局からの問い合わせに使われます。

(注4)

住民票の写しです。住民票コードが記載されていると提出は不要です。

(注5)

登記識別情報の通知を希望しない場合にチェックをします。

(注6)

不動産登記法第74条第1項各号に掲げる者のいずれに該当するか記載します。
下記を参照

(注7)

登録免許税はどのように計算するのですか?(法務省)を参照して下さい。

(注8)

同上

(注9)

登記記録(登記事項証明書)に記録されとおりに転記して下さい。

(注10)

登記記録(登記事項証明書)に記録されとおりに転記して下さい。
不動産番号を記載した場合は、建物の所在、、家屋番号、種類、構造及び床面積の記載を省路することができます。

不動産登記法

(所有権の保存の登記)

第七十四条 所有権の保存の登記は、次に掲げる者以外の者は、申請することができない。

 表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人

 所有権を有することが確定判決によって確認された者

 収用(土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)その他の法律の規定による収用をいう。第百十八条第一項及び第三項から第五項までにおいて同じ。)によって所有権を取得した者

まとめ

建物の未登記を解消するために気をつけるポイント

  • 登記申請の前に登記簿や図面を取得して現状と違っていないか確認すること
  • 登記状況と建物の状況を法務局に知らせて、登記の手順を相談すること
  • 自分で分かる範囲で申請書を作成して法務局で再度相談すること

【建物の未登記を解消する手順(例)】
古い建物の建物滅失登記申請をおこった後、建物表題登記申請と建物所有権保存登記申請をおこなう場合

手順
不動産登記簿の取得

法務局に出向いて取得する方法とオンラインで取得する方法があります。

手順
不動産の登記状況を確認

登記簿がどのような状態になっているか確認します。

手順
法務局に相談

個々のケースによって手続きが変わってきますので、事前に状況を説明する。

手順
建物滅失登記申請

解体してしまって存在しない建物が登記されている場合、建物滅失登記申請をおこない登記簿から抹消します。

手順
建物表題登記申請

現在建っている建物の登記申請をおこなう。

手順
建物所有権保存登記申請
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