ファイナンシャル・プランニング(FP)技能検定1級【応用編】非上場株式の評価(類似業種比準方式)

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事業継承

しひろです。
今回はFP1級技能検定の「相続・事業継承」から「類似業者比準方式」についてです。
過去12回の検定試験で8回出題されました。

定番中の定番です。同じような形式の問題ですが、計算式が少し複雑なので、何回も練習しておくことが必要です。

「類似業者比準方式」とは相続税・贈与税を算出するにあたって、非上場の株式を評価する方法の1つです。
対象の株式会社と事業形態が類似している上場会社の株価を参考にして、株価を算出する評価方式です。

目次

「類似業種比準方式」による株価の算出式

株価=類似業種の株価×(a/A+b/B+c/C)÷3×調整率×1株当たりの資本金額/50円

a:評価会社の1株当たりの配当金額
b:評価会社の1株当たりの利益金額
c:評価会社の1株当たりの純資産価額

A:類似業者の1株当たりの配当金額
B:類似業者の1株当たりの利益金額
C:類似業者の1株当たりの純資産価額

式の意味はこの後説明します。意味を理解しないで暗記しないで下さい。
何回も問題を解いていくうちに自然に暗記できます。

類似業種の株価

法令解釈通達によると以下のとおりです。

類似業種比準価額の類似業種の株価は、課税時期の属する月以前3か月間の各月の類似業種の株価のうち最も低いものとする。ただし、納税義務者の選択により、類似業種の前年平均株価又は課税時期の属する月以前2年間の平均株価によることができる。

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/08/03.htm#a-182

分かりやすく言い換えると、以下のとおりです。

類似業種の株価の決め方

  1. 課税時期の属する月の平均株価
  2. 課税時期の属する前月の平均株価
  3. 課税時期の属する前々月の平均株価
  4. 課税時期の属する前年平均株価
  5. 課税時期の属する月以前2年間の平均株価

のうち最も低い価格を採用します。

評価要素

評価要素とは上の式の a・b・c・A・B・C のことです。

配当金額、利益金額、純資産価額を類似業種と評価会社の比率を求めています。
評価会社の配当金額等を1とした場合、評価会社はいくつかを求めています。

そして単純平均をして算出します。

調整率

大会社調整率=0.7
中会社調整率=0.6
小会社調整率=0.5

このような決めになっているので、暗記してください。
従業員が70人以上であれば、大会社となります。

評価会社の1株当たりの配当金額、利益金額の計算

評価会社の1株当たりの配当金額

配当金額=(直前期配当金額+直前々期配当額)/2

1株50円当たりの株数=資本金額/50円

1株50円当たりの配当金額=配当金額/1株50円当たりの株数
(端数は10銭未満切り捨て=0.1円未満切り捨て)

配当金額には、特別配当、記念配当等の名称による配当金額のうち、将来毎期継続することが予想できない金額を除く。

評価会社の1株当たりの配当金額は直前期の配当金と直前々期の配当金の平均をとります。

ここで求めるのは1株50円当たりの配当金なので、資本金を50円で割って、1株50円当たりの株数を算出します。

評価会社の1株当たりの利益金額

利益金額は直前期利益金額と(直前期利益金額+直前々期利益金額)/2を比較して低い金額とする。

1株50円当たりの株数=資本金額/50円

1株50円当たりの利益金額=利益金額/1株50円当たりの株数
(円未満切り捨て)

利益金額には、固定資産売却益、保険差益等の非経常的な利益の金額を除く。

端数処理

実際の試験では以下のとおり問題文に記載されます。

端数処理は、計算過程において1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の株数で除した年配当金額は10銭未満を切り捨て、1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の株数で除した年利益金額は円未満を切り捨て、各要素別比準割合および比準割合は小数点第2位未満を切り捨て、1株当たりの資本金等の額50円当たりの類似業種比準価額は10銭未満を切り捨て、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額は円未満を切り捨てること。

https://www.kinzai.or.jp/uploads/lib/question/202101/fp01_g_oyo.pdf

2021年1月の検定試験からの抜粋です。毎回同じルールですから問題演習を通じて覚えてしまいましょう。

「1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の株数で除した年配当金額は10銭未満を切り捨て」は配当金額を計算する過程で

1株50円当たりの配当金=配当金額/1株50円当たりの株数
(端数は10銭未満=0.1円未満切り捨て)

10銭未満という言い方で問題に記載されていますので、迷わないようにして下さい。
0.1円未満であり、小数点2位以下を切り捨てます。

「1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の株数で除した年利益金額は円未満を切り捨て」は

1株50円当たりの利益金額=利益金額/1株50円当たりの株数
(円未満切り捨て)

「各要素別比準割合および比準割合は小数点第2位未満を切り捨て」は

株価=類似業種の株価×(a/A+b/B+c/C)÷3×調整率×1株当たりの資本金額/50円

各要素別比準割合は上記式の a/A、b/B、c/C のことで小数点第2位未満を切り捨て

比準割合は上記式の(a/A+b/B+c/C)÷3のことで小数点第2位未満を切り捨て

「X社株式の1株当たりの類似業種比準価額は円未満を切り捨てること」とは

株価=類似業種の株価×(a/A+b/B+c/C)÷3×調整率×1株当たりの資本金額/50円

上記式のことで円未満を切り捨て

説明だけではイマイチ理解しにくいと思います。
下記の演習で理解を深めて下さい。

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