【FP検定1級】小規模宅地等の特例、定番問題ですよ !!

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過去13回の試験で基礎編で8回、応用編で2回の出題があります。
頻出のテーマですからきっちりと理解しておきましょう。

2021年9月試験では基礎編で出るような気がします。(あくまで私見ですが !! )

目次

要件

対象になる宅地等の要件

(2020.9)

  • 被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族(被相続人等)の居住用宅地または事業用宅地等
  • 建物または構築物の敷地の用に供されている宅地等
  • 下表の限度面積までが対象で、対象面積に減額割合を掛けた額が減額されます。

宅地等には宅地の所有権だけではなく、借地権などの権利も含まれます。

限度面積と減額割合

下表の限度面積までが減額の対象で、対象面積に減額割合を掛けた額が相続税の課税価格から減額されます。
(2021.5応用)(2016.9応用(2016.1)

相続開始の直前における宅地等の利用区分限度
面積
減額
割合
被相続人
等の事業

の用に供
されてい
た宅地等
貸付事業以外の事業用の宅地等400m²80%
貸付事
業用の
宅地等
一定の法人に貸
し付けられ、そ
の法人の貸付事
業用の宅地等
200m²50%
被相続人等の貸
付事業用の宅地等
200m²50%
被相続人等の居住用の宅地等330m²80%

貸付事業以外の事業用の宅地等被相続人等の居住用の宅地等は併用可能で、最大730m2まで適用できるが、残面積が生じても相互に譲渡できない。

対象者の要件

被相続人の配偶者被相続人の同居親族死亡前居住所有
継続
居住
継続
事業
承継
居住用配偶者同居なしなし
同居親族同居ありあり
家なき子なしなし別居、賃貸居住ありなし
事業用配偶者ありあり
同居親族ありあり
(2021.9)

配偶者か同居親族及び家なき子しか対象になりません。(2020.9)

継続または継承の期限は相続税の申告期限(被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内)までです。

家なき子の場合、相続開始前3年以内に自宅を所有していないこと、つまり賃貸アパートなどに居住していることも条件です。

例えば、母と子で相続して母はそのまま住み続けるが、子が別居している場合は母は対象になるが、子は居住継続要件を満たしていないので対象にならない。

2世帯住宅

二世帯住宅については内部が独立していても適用可能
それぞれの居住部分を区分建物所有登記し、親子が別生計の場合には、同居要件が満たされないため、敷地全てについて特例が適用されません。
(2016.9)

共有登記をした場合でも、敷地全てに適用されます。
(2016.9)

別居親族の特例(家なき子特例

(2021.1)(2019.5)

  • 被相続人に配偶者および同居の相続人がいないこと
  • 相続開始前3年以内に本人または本人の配偶者、3親等内の親族、特別の関係にある法人の所有する家屋に居住していないこと(賃貸アパートなどに居住)
  • 相続開始以前に家屋を所有していないこと
  • 相続開始時から相続税の申告期限までその宅地等を所有していること(所有していればいいので賃貸に出すことも可能)

老人ホームへ入居していた場合の例外

以下の要件を満たせば、居住用宅地とすることができる。

  • 被相続人が介護のために特養、サ高住などに入所していた。
  • 対象家屋が貸し付けられていない。

事業用宅地の制限

  • 相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等は除外(2019.5)
  • 当該宅地等の上で事業の用に供されている減価償却資産の価額が、当該宅地等の相続時の価額の15%以上である場合は、相続開始前3年以内でも対象

遺産分割がおこなわれていない場合

「小規模宅地等の特例」の適用を受ける場合、相続税の申告期限までに 遺産分割協議が 整っている必要がある。

相続税の申告期限までに遺産の分割ができなかった場合、相続税の申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を税務署に提出し、申告期限後3年以内に遺産分割協議が成立すれば、分割後4ヵ月以内に更正の請求を行うことで本特例の適用を受けることができる。

面積調整

「定居住用宅地等」と「特定事業用宅地等」がある場合

特定居住用宅地等の適用限度面積330m2、特定事業用宅地等の適用限度面積400m2をそれぞれ使えます。

ただし、一方で面積の不足があり、他方で面積の余剰が生じても調整はできません。

「賃貸事業用宅地等」と他の宅地等がある場合

下記の式で面積調整がおこなわれます。

A×200/330+B×200/400+C≦200
または
A/330+B/400+C/200≦1

A=特定居住用宅地等面積
B=特定事業用宅地等面積
C=貸付事業用宅地等面積

上記式が成立する範囲で面積が少なくなって調整されます。
詳細は以下の問題で解説します。

問題

Aさんは、自己の所有する宅地に4階建ての建物所有している。

建物1階はAさんの長男が無償で借りて、小売店を経営している。
2階は空室で賃貸募集はしていない。
3階は賃貸アパートを経営しており満室になっている。
4階はAさん夫婦の居住用として利用していた。

Aさんが現時点で死亡し、相続人がこの宅地を相続により取得し、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けたときの、この宅地の相続税評価額を求めよ。(評価減が最大になる方式を採用するものとする。)

なお、Aさんの所有する土地は当該宅地のみとし、他の条件は考慮しないこととする。また、本特例の適用を受けるために必要とされるほかの要件等は、すべて満たしているものとする。

資料
所有者宅地、建物
ともAさん
宅地面積396m2
路線価
(自用地価額)
50万円/m2
借地権割合60%
借家割合30%
各階床面積260m2

解答

9,775万円

解説

わかりやすくするため、表にまとめました。

階数解説
用途事業用空室貸付事業用居住用 
面積99㎡99㎡99㎡99㎡1
路線価50万円/㎡50万円/㎡50万円/㎡50万円/㎡ 
自用地評価額4,950万円4,950万円4,950万円4,950万円2
借地権割合60% 
借家権割合30% 
使用区分使用貸借所有借用所有 
適用前評価額4,950万円4,950万円4,059万円4,950万円3
上限面積400㎡200㎡330㎡ 
減額割合80%50%80% 
調整後対象面積99㎡90.5㎡99㎡4
減額3,960万円0万円1,855.25万円3,960万円5
課税価格990万円4,950万円2,203.75万円990万円6
課税価格合計9,134万円 

上表は減額割合が最少の3階(貸付事業用)を面積調整をして減額は9,775万円
参考までに 1階(事業用) で調整すると減額は9,270万円
4階(居住用) で調整すると減額は9,389万円

  1. 宅地を按分
  2. 面積×路線価
  3. 1階:使用貸借は自用地評価
    3階:貸家建付地、4,950×(1-60%×30%)=4,059
  4. 99/330+99/400+C/200=1、C=90.5
  5. 4950×80%=3960
    4059×90.5/99×50%=18552.25(面積按分)
  6. 適用前評価額ー減額
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