弘兼 憲史氏が『弘兼流 やめる!生き方 』のなかで「社会貢献」を
岸見 一郎氏が『嫌われる勇気』で「他者貢献」を訴えていました。
今回紹介する『 運転者 未来を変える過去からの使者』では「次の世代のための生き方」を提案しています。
前の2冊が現在の社会や他者への貢献であるとすると、この本はそれに加えて、子や孫の世代への貢献です。範囲がもうひとつ大きく広げ、普遍化しており読み応えがあります。
読み終わると生きる力が湧いてくる気がします。
仕事で落ち込んでいる人、人生に疑問を感じている人におすすめ。
内容は自己啓発本のようですが、小説形式になっているので、すんなりと入ってきますので、容易に理解できます。
本の基本情報
書 名 『運転者 未来を変える過去からの使者 』
著 者 喜多川 泰(きたがわ やすし)
発行所 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン
発行日 2019年3月30日
本の目次
プロローグ
デッドライン
運転手
ポイントカード
幸せの種
TAXI
すべての努力は報われるか
蕎麦の味
実際あるけど、絶対ない
最後のレッスン
第二の人生
新しいスタート
エピローグ
本の要旨
主人公の岡田修一は生命保険代理店の営業マン、
修一が以前契約してきた保険20人分が解約になった。
完全歩合制のため今後の給料が激減する。
そんな折、1台の奇妙なタクシーに乗り合わせる。
運転手は「私の仕事は人の運を変えることです」と。
その奇妙な運転手は幾度となく修一の前に現れて、人生の転機となる場所に連れて行った。
修一は仕事や家族の問題でイライラしていたため、運気がよくなる場所へ行っても一向に運が好転することがない。
そんな修一を見て、運転手は言った。
「上機嫌でさえいれば運は好転する」
「上機嫌でいないと運の転機を感じるアンテナは働かない」
「損得で行動するのではなく、楽しいとか面白いで行動する」
「上機嫌でいることが見知らぬ人が、知人になり、友人になり、親友になっていく」
運転手の話はいまひとつ信じられないでいる修一であった。
そのためか特段に運気が上がることはなかった。
そんな修一を見て、運転手は運気が一気に貯まるアドバイスをします。
「誰かの幸せのために自分の時間を使うんです」
「だれかの努力、ひたむきな姿勢は、他の人に幸せをもたらす力がある」
修一はにわかに信用できなかったが、自分の経験などから一理あるような気がしてきた。
また運転手はこうも言いいました。
「世の中の人はみんな、そうやって誰かの努力する姿にエネルギーをもらって自分を動かしている」
修一は感じるところがあるのか、徐々に気持ちが変わっていき感謝でいっぱいになっていた。最後にこう言いいました。
「ありがとう。あんたは〈運転手〉というよりも、俺の人生を転じた〈運転者〉だよ」
感想
他者との関係のあり方を自己啓発本形式ではなく、小説形式で表した本でした。
他者との関係を現在の横の関係だけでなく、過去、未来も含めた縦の関係も相互に影響しあっていると語っているのが印象的です。
修一の父そして祖父の生き様を描くことによって、現在に生きる修一が生き方を転じるに至ったことが描かれています。
『弘兼流 やめる!生き方 』の社会貢献」、『嫌われる勇気』の「他者貢献」と似た概念ですが、過去、未来との関係まで追求したところがこの本の特徴であり、スッキリと腑に落ちました。
最後に著者の 喜多川 泰 様、「上機嫌でいることで人生が変わる」ことを教えていただきありがとうございます。
ますますの活躍をご祈念申し上げます。