【書評】『 「超」創造法 生成系AIで知的活動はどう変わる?』野口 悠紀雄 著

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AIのイメージ

本書は、現代社会における知的労働の未来を探る刺激的な一冊です。
ChatGPTやその他の生成系AIが私たちの日常や職場でどのように利用され、そして私たちの創造性をどう補完し、拡張してくれるのかを明快に解説しています。

AIは単なる助けとなるツール以上のもの、それは私たちの思考を拡張し、新しいアイディアを引き出すパートナーとなり得る。
しかし、完全な創造性は今のところ人間にしか実現できない特質であり、この点を理解することがAIの真の力を引き出す鍵となります。

著者の野口氏は、ルーチンタスクの効率化から新しいアイディアの発想まで、人間とAIがどう連携し合えば最高のシナジーを生み出せるのかを、具体例とともに示しています。

それでは、人間とAI、この新しいパートナーシップが開く未来に、一緒に目を向けてみましょう。

目次

本の基本情報

書 名 『「超」創造法 生成系AIで知的活動はどう変わる?』
著 者 野口 悠紀雄
発行所 株式会社幻冬舎
発行日 2023年5月9日

著者プロフィール

著者 野口 悠紀雄(のぐち ゆきお)

1940年、東京に生まれる。
1963年、東京大学工学部卒業。

1964年、大蔵省入省。

1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)。

一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、一橋大学名誉教授。

専攻は日本経済論。

近著に『日本が先進国から脱落する日』(プレジデント社、岡倉天心賞)、『2040年の日本』(幻冬舎新書)、『超「超」勉強法』(プレジデント社)、『日銀の責任』(PHP新書)、

『プア・ジャパン』(朝日新書)ほか多数。

本の目次

はじめに

第1部 ChatGPTを使う
 第1章 生成系AIは何に使えて、何に使えないか
 第2章 生成系AIは平気で嘘を言う
 第3章 ChatGPTで単純的作業を効率化する
 第4章 ChatGPTと協力して文章を書く
 第5章 ChatGPTからアイディアを得られるか

第2部 どうすればアイディアを生み出せるか
 第6章 アイディアを生み出すプロセス
 第7章 仕事をすることで創造する
 第8章 「超」メモで、アイディアを成長させる
 第9章 発想をうながす環境を作る

第3部 生成系AI は社会をどう変える?
 第10章 教育は生成系AIとどう向き合うか
 第11章 企業や行政は生成系AIをどう使うか
 第12章 生成系AIに職を奪われる人、成長する人

キーセンテンスの解説

ChatGPTは創造的な活動ができない

ChatGPTだけではなく、現在ある生成系AIは膨大なデータを取得・学習してまとめているだけです。
まったく新たなものを創造しているわけではありません。

そこで疑問に思うのが創造とはなんでしょうか?
人間だっていきなり新たなものを創造することは、ほぼできないのではないでしょうか。

学校で教わったり、本を読んだりして、多くのインプットをしながら、最初は先人のものまねから始めていくのが一般的です。

そんな中で、人間は直感やひらめきから新しいアイディアを生み出しますが、生成系AIは膨大なデータとその組み合わせ理論から、新しいかどうかわかりませんが、アイディアを生み出します。

「ChatGPTは創造的な活動ができない」という意味がゼロからイチを生み出すということであれば、そのとおりです。

しかし天才的な人を除いては、一般の人間にもゼロからイチを生み出すことは容易ではありません。

AIは知的作業の力強い手助けになる

著者が述べているのは、創造的な活動の周辺作業のことです。
具体的には次の作業をあげています。

  • 翻訳
  • 要約
  • 校正
  • 検索
  • 雑談

これらの作業については、人間をはるかに凌ぐものがあります。
実際に私はブログの作成にChatGPを使っていますが、リード文、まとめ文、ディスクリプション、ブログタイトルの作成には大きな成果があります。

またChatGPTはChatGPT−4Vになって、音声でのチャットができるようになり、疑似会話ができるようになっています。

生成系AIの出力には誤りがあります。

生成系AIは膨大なデータを取得・学習して、まとめているとすると、そのデータの一部に誤りがあれば出力に誤りが発生します。

今後、誤りに対しても何らかの対応があるとは思いますが、今のところは生成系AIの出力には誤りがあるという認識で使用すべきです。

出力データを確認もせず、自分のデータと発表することは破滅的な事態を引き起こす可能性があります。
大いに自粛すべきことです。

いずれにしても出力データを鵜呑みにしないで、自分で必ず確認する癖をつけておく必要があります。

新たなアイディアとは、すでに存在するアイディアの組み合わせである

そうであれば、無秩序に組み合わせるのではなく、無用な組み合わせを直感やひらめきを使って、除外することが新たなアイディアを作ることつまり創造的活動をすることになるのでしょう。

人間にあってAIにないものは直感やひらめきです。

どのようにしたら生成系AIをうまく使えるかが、まだはっきり分かっていません。

現時点での生成系AIを使う目的は決まりきったルーチン作業や周辺作業に活用すべきです。
文書作成を例にあげると、翻訳、要約、校正、タイトル・見出しの作成、Webデータの取得などにAIの力を借りればよいでしょう。

まとめ

『「超」創造法 – 生成系AIと知的活動の変革』では、ChatGPTの利用法や生成系AIの可能性、限界について詳解しています。

本書は、ChatGPTが創造的な活動を助ける一方で、完全な創造性は人間固有のものと説明しています。
特に、翻訳や要約、校正などのルーチンタスクでAIの力を借りることで効率が大幅に向上することを強調。

また、新しいアイディアは既存のアイディアの組み合わせから生まれることが多く、これには人間の直感やひらめきが不可欠であると指摘しています。

生成系AIの出力には誤りが含まれる可能性があるため、出力の確認と修正が必要であるともアドバイス。
これらの洞察は、現代の知的労働において人間とAIがどう協力しながら新しい価値を創造していくかを理解する助けとなります。

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