ファイナンシャル・プランニング(FP)技能検定1級【応用編】公的年金(老齢給付)演習

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こちらは演習問題です。内容の説明についてはファイナンシャル・プランニング(FP)技能検定1級【応用編】「公的年金(老齢給付)をご確認下さい。

目次

設例

Aさんの情報

  • Aさん(58歳)は、2014年3月末日付けでB社を退職。同年4月から個人事業者として、経営コンサルティングをしている。
  • 1963年4月5日生
  • 公的年金加入歴
    1983年4月から1986年3月の大学生の期間(36月)は学生納付特例制度により保険料納付の猶予を受けている。
  • 1986年4月から2014月3月まで厚生年金保険の被保険者である。
  • 2014年4月から国民年金第1号被保険者であるが、2016年5月まで全額免除を受けた。
  • 2016年6月より国民年金及び付加保険料を納付している。(60歳まで納付できる見込みである。

Aさんの配偶者の情報

  • 1964年8月21日生
  • 公的年金加入歴
    1984年8月から1987年3月まで国民年金の第1号被保険者である。(32月)
  • 1987年4月から2010年6月まで厚生年金保険の被保険者である。
  • 2010年7月から現在に至るまで国民年金の第3号被保険者である。
  • 64歳から受給できる特別支給の老齢厚生年金の請求はしない。
  • 年収は将来にわたって850万円以下である。

その他の情報

  • AさんとAさんの配偶者は同居しており、現在、将来において生計維持関係にあるものとする。
  • AさんとAさんの配偶者は現在、将来において公的年金の障害等級に該当しないものとする。

問題

  1. 65歳から受給する老齢基礎年金の年金額と付加年金の年金額の合計額はいくらか。
  2. 65歳から受給する老齢厚生年金の年金額はいくらか。

条件

  • 厚生年金保険の被保険者期間
    総報酬制導入前の被保険者期間:204月
    総報酬制導入後の被保険者期間:132月
  • 平均標準報酬月額および平均標準報酬額
    総報酬制導入前の平均標準報酬月額:32万6千円
    総報酬制導入後の平均標準報酬額 :51万5千円
  • 報酬比例部分の給付乗率
    総報酬制導入前の乗率 : 1,000分の7.125
    総報酬制導入後の乗率 : 1,000分の5.481
  • 経過的加算
    1,630円 × 被保険者期間の月数 ー ○○○○円 × 1961年4月以後で20歳以上60歳未満の厚生年金保険の被保険者期間の月数 / 加入可能年数×12
  • 加給年金
    39万500円

解答

  1. 170,953円
    (老齢基礎年金額154,553円、付加年金額16,400円)
  2. 1,237,317円
    (報酬比例部分846,439円、経過的加算額378円、加給年金額390,500円

解説

老齢基礎年金の年金額

 老齢基礎年金額(2021年度適用)
=(780,900円/年✕(保険料納付済期間+保険料免除期間✕反映割合))/480月

上記の式は必ず覚えて下さい。

保険料納付済期間は設例で、2016年6月より国民年金及び付加保険料を納付している。(60歳まで納付見込みである。)とあります。
60歳は2023年4月5日ですので、2016年6月から2023年3月までの82月です。

保険料免除期間は設例で、2014年4月から2016年5月まで全額免除を受けたとありますので、保険料免除期間26月で反映割合は4/8になります。

保険料の
免除割合
反映割合
(2009.3以前)
反映割合
(2009.4以降)
1/4免除5/67/8
2/4免除4/66/8
3/4免除3/65/8
4/4免除(全免)2/64/8
納付猶予、未納
未加入
00

式に当てはめて
老齢基礎年金額
=(780,900円/年✕(82月+26月✕4/8))/480月
154,553円 小数点以下四捨五入

年金は小数点以下四捨五入です。

付加年金の年金額

 付加年金額 = 200円 ✕ 付加年金保険料納付済月数

付加保険料納付済期間は設例で、2016年6月より国民年金及び付加保険料を納付している。(60歳まで納付見込みである。)とあります。
60歳は2023年4月5日ですので、2016年6月から2023年3月までの82月です。

付加年金額=200円✕82月=16,400円

老齢厚生年金の年金額

老齢厚生年金の年金額=報酬比例部分+経過的加算額+加給年金額

報酬比例部分

 報酬比例部分年金額=
平均標準報酬月額✕7.125/1,000✕2003年3月以前の被保険者月数
+平均標準報酬額✕5.481/1,000✕2003年4月以降の被保険者月数

問題文を見ながら上記式に当てはめていきます。

報酬比例部分年金額
=326,000円✕7.125/1,000✕204月
+515,000円✕5.481/1,000✕132月
=846,439.3円 四捨五入 846,439円

経過的加算額

経過的加算額
=定額部分の額-老齢基礎年金の額
=1,628円✕「厚生年金保険被保険者月数」(上限480月)
ー780,900円✕「20歳以上60歳未満の厚生年金保険保険被保険者月数」/480月

「厚生年金保険被保険者月数」は1986年4月から2014月3月までの336月
「20歳以上60歳未満の厚生年金保険保険被保険者月数」も336月

経過的加算額
=1,628円✕336月
ー780,900円✕336月/480月
378円

この問題は該当しませんが、「厚生年金保険被保険者月数」の上限480月と「20歳以上60歳未満の厚生年金保険保険被保険者月数」は誤らないように。

「20歳以上60歳未満の厚生年金保険保険被保険者月数」には20歳未満60歳以上の厚生年金保険保険被保険者月数は含まれません。

加給年金額

加給年金は受給条件の確認が重要です。

加給年金額=390,500円/年
受給条件
1.老齢厚生年金保険の受給65歳に達した
2.老齢厚生年金保険の被保険者期間が20年以上
3.年下(65歳未満)の配偶者がいる
4.配偶者の年収が将来にわたって850万円以下
5.受給年齢65歳に達した時点で、配偶者の老齢厚生年金保険の被保険者期間が20年未満であるか、20年以上の場合は,特別支給の老齢厚生年金等を受給していないこと

一つひとつ確認していきます。

1.65歳から受給する老齢厚生年金の年金額ですからOK
2.老齢厚生年金保険の被保険者期間336月>20年=240月でOK
3.Aさんの配偶者は1歳年下で、Aさんが65歳で配偶者は64歳でOK
4.設例よりOK
5.配偶者の老齢厚生年金保険の被保険者期間は1987年4月から2010年6月までの276月であるが、特別支給の老齢厚生年金の請求はしないとあるのでOK
よって受給可能で加給年金は390,500円

加給年金額=390,900円/年

経過的加算額
=定額部分の額-老齢基礎年金の額
=1,630円✕「厚生年金保険被保険者月数」(上限480月
ー781,700円✕「20歳以上60歳未満の厚生年金保険保険被保険者月数」/480

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