こちらは演習問題です。内容の説明についてはファイナンシャル・プランニング(FP)技能検定1級【応用編】非上場株式の評価(類似業種比準方式)をご確認下さい。
問題
〈X社の概要〉に基づき、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額を求めなさい。
端数処理は、計算過程において1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の株数で除した年配当金額は10銭未満を切り捨て、1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の株数で除した年利益金額は円未満を切り捨て、各要素別比準割合および比準割合は小数点第2位未満を切り捨て、1株当たりの資本金等の額50円当たりの類似業種比準価額は10銭未満を切り捨て、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額は円未満を切り捨てること。
〈X社の概要〉
- 業種 食品製造業
- 資本金等の額 3,000万円( 発行済株式総数60,000株)
- X社の財産評価基本通達上の規模区分は「中会社の大」
- X社は、特定の評価会社ではない。
- 類似業種の1株(50円)当たりの株価の状況
課税時期の属する月の平均株価 239円
課税時期の属する月の前月の平均株価 226円
課税時期の属する月の前々月の平均株価 231円
課税時期の前年の平均株価 220円
課税時期の前々年の平均株価 216円
課税時期の属する月以前2年間の平均株価 218円 - 比準要素の状況
比準要素 | X社 | 類似業種 |
1株(50円)当たりの年配当金額 | ○○○○円 | 3.6円 |
1株(50円)当たりの年利益金額 | ○○○○円 | 21円 |
1株(50円)当たりの簿価純資産価額 | 245円 | 293円 |
※すべて1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の金額である。
- X社の過去3年間の決算(売上高・所得金額・配当金額)の状況
事業年度 | 売上高 | 所得金額 | 配当金額 |
直前期 | 23,000万円 | 1,950万円 | ※※300万円 |
直前々期 | 21,000万円 | ※1,880万円 | 190万円 |
直前々期の前期 | 22,000万円 | 2,010万円 | 290万円 |
※非経常的な利益金額180万円が含まれている。
※※記念配当30万円が含まれている。
解答
1,451円
解説
最初に、空欄になっているX社の「1株(50円)当たりの年配当金額」「1株(50円)当たりの年利益金額」を計算します。
1株(50円)当たりの年配当金額
配当金額=(直前期配当金額+直前々期配当額)/2
1株50円当たりの株数=資本金額/50円
1株50円当たりの配当金額=配当金額/1株50円当たりの株数
(端数は10銭未満切り捨て=0.1円未満切り捨て)
配当金額には、特別配当、記念配当等の名称による配当金額のうち、将来毎期継続することが予想できない金額を除く。
配当金額には将来毎期継続することが予想できない金額を除く必要があります。
直前期配当金額300万円ー記念配当30万円=270万円
直前々期=190万円
配当金額
=(直前期配当金額+直前々期配当額)/2
=(270+190)=230万円
1株(50円)当たりの株数
=資本金額3,000万円/50円
=60万株
「資本金等の額 3,000万円( 発行済株式総数60,000株)」でわかるようにX社は500円/株です。
類似業種比準方式の計算では50円/株と仮定して計算するので、資本金額を50円で割って株数を求めます。
1株(50円)当たりの配当金額
=配当金額/1株(50円)当たりの株数
=230万円/60万株=3.8円 10銭未満切り捨て=0.1円未満切り捨て
1株(50円)当たりの年利益金額
利益金額は直前期利益金額と(直前期利益金額+直前々期利益金額)/2を比較して低い金額とする。
1株50円当たりの株数=資本金額/50円
1株50円当たりの利益金額=利益金額/1株50円当たりの株数
(円未満切り捨て)
利益金額には、固定資産売却益、保険差益等の非経常的な利益の金額を除く。
利益金額=所得金額です。
直前期利益金額1,950万円
(直前期利益金額+直前々期利益金額)/2
=(1,950万円+1,880万円ー30万円)/2
=1,900万円
非経常的な利益の金額30万円を除いた。
1株(50円)当たりの株数
=資本金額3,000万円/50円
=60万株
1株(50円)当たりの利益金額
=利益金額/1株(50円)当たりの株数
=1,900万円/60万株=31円 円未満切り捨て
「類似業種比準方式」の算出式
「類似業種比準方式」による株価の算出式は下記のとおりになります。
株価=類似業種の株価×(a/A+b/B+c/C)÷3×調整率×1株当たりの資本金額/50円
a:評価会社の1株当たりの配当金額
b:評価会社の1株当たりの利益金額
c:評価会社の1株当たりの純資産価額
A:類似業者の1株当たりの配当金額
B:類似業者の1株当たりの利益金額
C:類似業者の1株当たりの純資産価額
式の左から順番に数値を埋めていきます。
類似業種の株価
類似業種の株価の決め方
- 課税時期の属する月の平均株価
- 課税時期の属する前月の平均株価
- 課税時期の属する前々月の平均株価
- 課税時期の属する前年平均株価
- 課税時期の属する月以前2年間の平均株価
のうち最も低い価格を採用します。
この5つを必ず覚えてください。
当月、前月、前々月と前年、前2年の5つです。
月関係が3つ、年関係が2つです。
問題文の「課税時期の前々年の平均株価」は引っかけです。
よって「見出類似業種の株価」は218円です。
調整率
大会社調整率=0.7
中会社調整率=0.6
小会社調整率=0.5
問題文より中会社なので、調整率0.6です。
「中の○」の○は関係ありません。
1株当たりの資本金額
1株当たりの資本金額
=資本金額 /発行済株式総数
=3,000万円/60,000株
=500円/株
算出式に代入
株価
=類似業種の株価×(a/A+b/B+c/C)÷3×調整率×1株当たりの資本金額/50円
=218円×(3.8円/3.6円+31円/21円+245円/293円)÷3×0.6×500円/50円
=218円×(1.05+1.47+0.83)÷3×0.6×500円/50円
小数点第2位未満を切り捨て
=218円×1.11×0.6×10
小数点第2位未満を切り捨て
=1,451円
円未満を切り捨て