ファイナンシャル・プランニング(FP)技能検定1級【応用編】相続税額の計算

相続税FP

しひろです。
今回はFP1級技能検定の「相続・事業継承」から「相続税額の計算」についてです。
過去12回の検定試験で5回出題されました。

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相続税額の算出

  1. 「本来の相続財産」
      ↓
  2. 「課税価格の合計額」
      ↓
  3. 「課税遺産総額」
      ↓
  4. 「法定相続分に応ずる取得金額」
      ↓
  5. 「相続税の総額」
      ↓
  6. 「各人の算出税額」
      ↓
  7. 「各人の納付相続税額」

上記のように7段階で相続税額を算出します。
紛らわし言葉ばかりが並んでいます。
相続税法等にある言葉を使っています。

実際の遺産額から所得税の対象になる遺産を加え、対象にならない遺産を除きます。
それにより所得税の対象になる遺産額を算出して、税率を掛けて税額を出します。

式にすると以下のとおりです。

2.「課税価格の合計額」
1.「本来の相続財産」
+みなし相続財産
+相続開始前3年以内の贈与財産
+相続時精算課税制度の贈与財産
ー非課税財産
ー債務控除額

3.「課税遺産総額」
「課税価格の合計額」
ー遺産に係る基礎控除

4.「法定相続分に応ずる取得金額」
「課税遺産総額」✕法定相続分

5.「相続税の総額」
Σ(「法定相続分に応ずる取得金額」✕税率ー控除額)

6.「各人の算出税額」
「課税遺産総額」✕各人の相続税額/「相続税の総額」

7.「各人の納付相続税額」
「相続税の2割加算」ー「税額控除」

課税価格の合計額

2.「課税価格の合計額」
1.「本来の相続財産」
+みなし相続財産
+相続開始前3年以内の贈与財産
+相続時精算課税制度の贈与財産
ー非課税財産
ー債務控除額
ー小規模宅地等の評価減の特例による減額分

相続税の「課税価格の合計額」を算出するのが一番たいへんです。

「本来の相続財産」から相続税法のみなし相続財産などを加えて、非課税財産などを除いて、「課税価格の合計額」を出します。

「本来の相続財産」

「本来の相続財産」とは、お金に換算できるすべての財産です。
民法上の財産です。
現金、預金、土地、建物、借地権、株式、債権、自動車、家具、貴金属、貸付金などです。

みなし相続財産

相続開始時には保有していないが、被相続人の死亡により相続人が受領した財産のことです。
相続税法上の財産です。
具体的には生命保険金死亡退職金などです。

「みなし相続財産」は相続放棄をしても受領できます。

生命保険金死亡退職金は一定額が非課税です。
詳細は「非課税財産」の欄で説明します。

生命保険金

契約者・被保険者が被相続人で、保険金受取者が相続人の場合です。
相続開始時(被保険者の死亡)には保険金は保有していないが、その後被相続人の死亡により相続人が保険金を受領する。

被相続人が死亡することにより相続人が生命保険金を受領するケースが対象になります。

死亡退職金

被相続人の死亡によって勤務先から相続人に支払われる死亡退職金がみなし相続財産にあたります。

該当するのは、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものです。
3年以後に支給された退職金は所得税の対象になります。

なお一般の退職金は退職所得として所得税がかかります。

「相続開始前3年以内の贈与財産」

相続、遺贈で財産を取得した相続人いおいて、相続開始前3年以内に被相続人から贈与された財産は、贈与時の価額で相続税の課税価格に加えられます。

「本来の相続財産」を取得していなければ、相続開始3年以内の贈与財産は加えられません。

贈与税がかかっていなくても加えます。
そのため贈与税の基礎控除110万円以下の財産が加えられます。

相続開始前3年以内の贈与財産」に贈与税がかかっていれば、相続税額から控除されます。

遺贈

遺言によって財産を移転させることです。
法定相続の権利がなくて遺贈で財産を取得することができます。

「相続時精算課税制度の贈与財産」

相続時精算課税制度
  • 目的
    高齢者が持ている財産を早めに若い世代に移転するために、贈与財産と相続財産を一括精算して相続税として納税する制度
  • 贈与者
    1月1日に60歳以上の父母、祖父母
  • 受贈者
    1月1日に20歳以上の直系卑属である子、孫
    2022年4月1日以降は18歳以上になります。
  • 対象財産
    制限なし
  • 贈与税額
    贈与税額=(贈与財産額ー特別控除2,500万円)×税率20%
    特別控除2,500万円は毎年控除されるのではなく、贈与者が死亡するまでの間で2,500万円になる。
    単年で使い切れなければ、次年以降に持ち越しが可能です。
  • 申し込み
    受贈者は制度を受けたい翌年の贈与税の申告期限(2月1日~3月15日)までに「相続時精算課税選択届出書」を申告書に添付して、税務署長に提出
    「相続時精算課税選択届出書」を提出すると、贈与者が亡くなるまで暦年課税に変更することはできません。

「相続時精算課税制度の贈与財産」は贈与時の価額で加算します。

納付済贈与税がある場合は相続税額から差し引きます。

「非課税財産」

相続税が課税されない財産は「非課税財産」といい、以下のものがあります。

  • 墓地、墓石、仏壇、仏具、神具
    未払いの墓地代は非課税財産になりません。
  • 葬儀、通夜
  • 「みなし相続財産」として取得した生命保険金のうち、
    生命保険金非課税限度額=500万円×法定相続人数
    相続放棄人は生命保険の非課税が適用されません。保険金に相続税がかかる可能性があります。
  • 「みなし相続財産」として取得した退職手当金のうち、
    退職手当金非課税限度額=500万円×法定相続人数
    死亡後3年以内に支給が確定した退職金
  • 弔慰金
    限度額は業務上の死亡の場合、給与(手当込み)の3年分
    業務外の死亡の場合、給与(手当込み)の6ヶ月分
法定相続人

民法では相続放棄人を当然含めませんが、相続税法では相続放棄人を含ます。
民法では養子は制限なしに含めますが、相続税法では実子がいる場合は養子を1人だけ含め、実子がいない場合は2人まで含めます。

「債務控除額」

被相続人が残した借入金などの債務を遺産から差し引くことができます。

「小規模宅地等の評価減の特例による減額分」

被相続人の住宅地や事業用宅地は相続人にとってもを生活の基盤となるため、宅地の一定面積まで評価額を減額し、居住したり事業を継続したりすることができるようにするものです。

限度面積と減額割合

相続開始の直前におけ
る宅地等の利用区分
限度
面積
減額
割合
被相続人
等の事業
の用に供
されてい
た宅地等
貸付事業以外の事業用
の宅地等
400m²80%
貸付事
業用の
宅地等
一定の法人に貸
し付けられ、そ
の法人の貸付事
業用の宅地等
200m²50%
被相続人等の貸
付事業用の宅地等
200m²50%
被相続人等の居住用の宅地等330m²80%

「課税遺産総額」

3.「課税遺産総額」「課税価格の合計額」ー遺産に係る基礎控除

「課税価格の合計額」が算出できれば、次は「課税遺産総額」です。
遺産に係る基礎控除額が出せればOKです。

「遺産に係る基礎控除」

「遺産に係る基礎控除額」3,000万円600万円✕法定相続人数

法定相続人数はこちらを確認下さい。

「相続税の総額」

法定相続分に応ずる取得金額=「課税遺産総額」✕法定相続分

4.「相続税の総額」
Σ(法定相続分に応ずる取得金額✕税率ー控除額)

「法定相続分」

「法定相続分」とは民法で定められた相続の割合です。

被相続人法定相続分
配偶者だけ配偶書10/10
配偶者、子配偶者1/2子1/2
配偶者、直系尊属
(子がいない)
配偶者2/3直系尊属1/3
配偶者、兄弟姉妹
(子、直系尊属がいない)
配偶者3/4兄弟姉妹1/4
子だけ子10/10
直系尊属だけ直系尊属10/10
兄弟姉妹だけ兄弟姉妹10/10
被相続人がいない特別縁故者、国庫

子、直系尊属、兄弟姉妹が複数の場合は、均等に分けます。

法定相続分に応ずる取得金額

「課税遺産総額」に法定相続分を乗じて各人の法定相続分に応ずる取得金額を出します。

法定相続分に応ずる取得金額=「課税遺産総額」✕法定相続分

税率

「相続税の総額」
Σ(法定相続分に応ずる取得金額✕税率ー控除額)

下の相続税の速算表を使って、各人の相続税額を出して合計したものが、「相続税の総額」になります。

相続税の速算表
法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

国税庁より引用

「各人の算出税額」

6.「各人の算出税額」
「相続税の総額」✕各人の課税価格/課税価格の合計額

「相続税の総額」を課税価格の負担分で按分しています。

「各人の納付相続税額」

7.「各人の納付相続税額」
「各人の算出税額」+「相続税の2割加算」ー「税額控除」

「相続税額の2割加算」「税額控除」をおこなって、「各人の納付相続税額」を算出します。

「相続税の2割加算」

子を飛ばして孫に相続すると1回相続税を免れるなど、不公平を防止する観点から「相続税の2割加算」制度があります。

「相続税の2割加算額」=「各人の納付相続税額」✕20%

通常の配偶書、1親等の血族(親、子)代襲相続人の直系卑属(孫)以外が相続人の場合、2割加算になります。

孫を養子にしても代襲相続人でないかぎり2割加算の対象になります。

「税額控除」

贈与税額控除

「相続開始前3年以内の贈与財産」「相続時精算課税制度の贈与財産」は贈与時に贈与税を払っています。

相続時に「相続開始前3年以内の贈与財産」「相続時精算課税制度の贈与財産」は相続税として課税されるので、二重課税になります。

二重税を防止するために過去に支払った贈与税を相続税から控除します。

「相続開始前3年以内の贈与財産」による贈与税>相続税となっても差額は還付されません。
「相続時精算課税制度の贈与財産」による贈与税>相続税による差額は還付さます。

「相続時精算課税制度」は名前のとおり相続時にプラス・マイナスを精算する制度のため還付されます。

配偶者の税額軽減

被相続人の遺産形成に配偶者は多く関わっていることを考慮して、大きな税額軽減がなされています。

①1億6千万円
②「課税価格の合計額✕配偶者の法定相続分」
③配偶者の実際の課税価格

①が下限で③が上限で出される額④が軽減される財産額です。

④は財産額なので「課税価格の合計額」に占める割合を出して、「相続税額の総額」に掛けていきます。
計算式にすると以下のとおりです。

④/「課税価格の合計額」✕「相続税額の総額」=配偶者の税額軽減額

婚姻期間は問いません。
配偶者の税額軽減を受けることにより、税額が発生しなくても申告が必要です。

未成年者控除、障害者税額控除

未成年者税額控除額=
(20歳ー相続開始日の未成年者の年齢)✕10万円

障害者税額控除額=
(85歳-相続開始日の障害者の年齢)✕10万円(特別障害者は20万円)

相続人が未成年者や障害者の場合対象になります。
被相続人(死亡者)ではありません。

2022年4月1日以降は20歳が18歳に変更になります。

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