高齢化社会ならではの権利です。出題実績はあまりありませんが、今後出題が増えるでしょう。
まとめておきました。
配偶者居住権
配偶者居住権とは
被相続人の同居配偶者が居住用の住宅に、相続後も終身無償で使用収益できる権利
取得手段
相続開始時において、被相続人が所有していた建物に無償で居住していることが条件のうえ、相続による遺贈、死因贈与、遺産分割、調停などで取得できます。
配偶者の年齢や婚姻期間の要件はありません。(2020.9)
配偶者居住権の特徴
存続期間は配偶者の終身の間
配偶者居住権を他者に譲渡することはできないし、配偶者が死亡した場合には、当然に消滅して相続の対象とならない。(2020.9)
第三者に対抗するためには、配偶者居住権設定を登記する必要がある。(2020.9)
婚姻期間が20年以上の夫婦の間での生前贈与、遺贈は残された配偶者の老後の生活保障を守るためにおこなわれたと推定されるので、当該財産は相続財産には含めない。
配偶者居住権者は、建物所有者に無断で建物の増改築をすることはできない。
なお、修繕は配偶者が費用負担することでおこなうことができます。
固定資産税の納税義務者は所有者です。しかしながら配偶者居住権者は、建物の通常の必要費を負担することとなっているので、固定資産税相当額を所有者から請求できるものと考えられます。
配偶者短期居住権
配偶者短期居住権とは
遺産分割協議や調停が終わるまでの間や、遺言で配偶者以外の者に遺贈された場合でも、最低でも6ヶ月間は,無償で住み慣れた住居に住み続ける権利のこと
取得できる要件
配偶者が被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していたこと。
使用できる期間
遺産分割や調停で居住建物の帰属が確定した日または相続開始の時から6ヶ月を経過する日のどちらか遅い日(2020.9)(2019.5)
遺産分割や調停以外の場合(第3者への遺贈、配偶者の相続放棄など)は消滅請求を受けてから6ヶ月を経過する日
注意事項
配偶者短期居住権の設定の登記はできず、配偶者短期居住権を主張することができません。
また財産評価はゼロ評価です。
配偶者居住権と同様、配偶者短期居住権者は建物所有者に無断で建物の増改築をすることはできない。
なお、修繕は配偶者が費用負担することでおこなうことができます。
配偶者居住権と同様、配偶者短期居住権者は建物の通常の必要費を負担することとなっているので,居住建物やその敷地の固定資産税等を負担することになります。