過去13回の試験で基礎編で4回の出題、応用編で2回の出題があります。
税制改正で2021年4月より適用もあり、狙われるかもしれません。
非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予の特例
概要
経営承継円滑化法による特例継承計画を都道府県知事認定すると、非上場会社の代表権を有している者などから、贈与・相続・遺贈により後継者が非上場株式等を取得した場合、非上場株式等の相続税・相続税が納税猶予される制度です。
また後継者が死亡すると、納税猶予額の全部または一部が免除されます。
要件
- 会社
中小企業者であること
上場会社、風俗営業会社、資産管理会社(一部除外)に該当しないこと - 贈与者(被相続人)
会社の代表権を有していたこと
贈与時において、会社の代表権を有していないこと - 受贈者
贈与時において、代表権を有すること
贈与時において、20歳以上であること
贈与時において、役員就任から3年以上経過していること(2020.9)
贈与時において、後継者などで50%超の議決権を保有することとなること(2020.9)
最大3人まで本特例の適用を受けることができる。
(2020.9) - 相続人
相続開始から5ヵ月以内にに代表権を有すること
相続開始時において、後継者などで50%超の議決権を保有することとなること - 雇用
特定経営継承期間(申告期限の翌日以降5年間)内に8割以上を維持
維持できない場合は、都道府県に理由書を提出して継続 - 対象株式
100% - 猶予割合
100%
(2020.9)
特例認定継承会社の後継者や継承までの経営見通し等が記載された書類
2023年3月31日までに経営の承継の円滑化に関する法律にもとづく特例承継計画の認定を都道府県から受けた会社
注意点
この特例を受ける場合、受贈者が推定相続人以外でも贈与年の1月1日時点で受贈者が20歳以上、かつ贈与者が60歳以上であれば、相続時精算課税制度の対象になる。
個人事業者の事業用資産に係る相続税の納税猶予制度
概要
認定相続人が2028年12月31日までに、相続等により特定事業用資産を取得し、担保の提供を条件に、その認定相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した特定事業用資産の課税価格に対応する相続税の納税が猶予される。
全額免除
- 認定相続人が死亡時まで、特定事業用資産を保有し、事業継続した場合
- 認定相続人が一定の身体障害等に該当した場合
- 認定相続人について破産手続開始の決定があった場合
- 相続税の申告期限から5年後に、次の後継者へ特定事業用資産を贈与し、その後継者がその特定事業用資産について贈与税の納税猶予制度の適用を受ける場合
一部免除
- 同族関係者以外の者へ特定事業用資産を一括して譲渡する場合
- 民事再生計画の認可決定等があった場合
- 経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合において、特定事業用資産の一括譲渡又は特定事業用資産に係る事業の廃止をするとき
納税猶予額の納付
- 認定相続人が、事業用資産に係る事業の廃止をする場合
猶予税額全額納付 - 認定相続人が、特定事業用資産の譲渡等をした場合
譲渡等をした部分に対する納税猶予額を納付
注意点
- 認定相続人は相続税の申告期限から3年ごとに継続届出書を税務署長に提出
- 認定相続人が、相続税の申告期限から5年経過後に特定事業用資産を現物出資し、会社を設立 した場合には、当該認定相続人が当該会社の株式等を保有していることその他一定の要件を満たす場合は、納税猶予を継続する。
- 「個人事業者の事業用資産に係る相続税の納税猶予制度」と「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」は、併用不可。
特例認定継承会社の後継者や継承までの経営見通し等が記載した計画書のこと
2023年3月31日までに経営の承継の円滑化に関する法律にもとづく特例承継計画の認定を都道府県から受けた会社
個人事業者の事業用資産に係る贈与税の納税猶予制度
概要
認定受贈者(20歳以上である者に限る)が、2028年12月31日までに、贈与によりすべての特定事業用資産を取得し、担保の提供を条件に、その認定受贈者が納付すべき贈与税額のうち、贈与により取得した特定事業用資産の課税価格に対応する贈与税の全額の納税が猶予される。
(2021.5)
なお、納付・免除等は個人事業者の事業用資産に係る相続税の納税猶予制度と同様
贈与者の死亡
特定事業用資産を贈与者から相続等により取得したものとみなし、贈与時の時価により他の相続財産と合算して相続税を計算する。
その際、都道府県の確認を受けた場合には、相続税の納税猶予の適用を受けることができる。
注意点
- 認定受贈者が贈与者の直系卑属である推定相続人以外の者であっても、その贈与者 がその年1月1日において60歳以上である場合には、相続時精算課税の適用を受けることができる 。(2021.5)
- 贈与者から特定事業用資産のすべてを贈与で取得することが必要であり、一部の贈与では適用対象外です。(2021.5)