「2030年までの10年間に何が起き、それに対してどのように対処すればいいのか」そんな疑問に答える書です。
著者は本書の予測を理解し、個々がやることは自衛である。と
自己防衛のためのセーフティーネットを準備することです。
今後、日本は衰退していき、今までのように国が国民を守ることができなくなっていき、個々に自衛が必要と提案しています。
本の基本情報
書 名 『日本経済 予言の書 2020年代、不安な未来の読み解き方 』
著 者 鈴木 貴博(すずき たかひろ)
発行所 株式会社PHP研究所
発行日 2020年7月2日
本の目次
はじめに
第1章 コロナショックでこれから何が起きるか
第2章 なぜトヨタは衰退するのか
第3章 気候災害の未来はどう予測されているのか
第4章 アマゾンエフェクトが日本の流通を破壊する日
第5章 確実に起きる人口問題の不確実な解決方法
第6章 半グレ化する大企業とアイヒマン化する官僚たち
第7章 日本崩壊を止めるには
おわりに
著者の紹介
著者 鈴木 貴博経営戦略コンサルタント。
東京大学工学部卒。
ボストンコンサルティンググループ等を経て2003年に独立。
数々の大企業の戦略立案プロジェクトに従事。
近年は、未来予測とイノベーション戦略の専門家として、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンライン、東洋経済オンライン、現代ビジネスなどに連載を持ち、月間100万PVを超える注目を集めている「未来は予測でき、同時に変えることができる」が信条。
主な著書に、『仕事消滅』『格差と階級の未来』(ともに講談社+α新書)、『カーライル』(ダイヤモンド社)、『戦略思考トレーニング』(日経文庫)、『「AI失業」前夜──これから5年、職場で起きること』(PHPビジネス新書)などがある。
今後10年間で日本が衰退する理由
- コロナショック
- トヨタショック
- 気候災害ショック
- アマゾンエフェクト
- 人口ピラミッドの崩壊
- ポピュリズムショック
このような複合的な理由により日本は今後10年で衰退すると著者は主張しています。
コロナショック
コロナによる最も経済的打撃を受けた航空・観光・ホテル・飲食業関係会社の倒産、廃業により、景気の低迷が長期化していく。
経済的打撃が大きい民間人と公務員や政治家、フリーターと不労年金生活者、母子家庭とそうでない家庭などの分断が進行している。
東京オリンピック・パラリンピックの中止リスクが直近の問題
トヨタショック
トヨタ自動車を代表する自動車産業の衰退が進む。
電気自動車の普及により、高い技術力が必要なエンジン開発が必要なくなり、自動車業界に参入しやすくなる。
AI技術の発展と「全固体電池」の搭載による自動運転の実用化により、優れた企業が自動車産業に参入してくる。
電解質が固体の電池のこと。既存の電池の電解質は液体です。
これにより自由な形状の電池が作れるようになり、いろいろな場所で使えるようになる。また耐久性に優れ高速充電も可能となる。
自動車がインターネットと常時接続されることで、ビックデータが活用できるようになり、道路交通システムの最適化が可能になる。
そのような説明を備えたクルマを「コネクテッドカー」といいます。
やるべきことをすべてやるトヨタから選択と集中のトヨタに変わるしかない。
自動車製造は自動車産業全体からみて、主要な部分ではなくなっていく。
気候災害ショック
地球温暖化の影響でゲリラ豪雨・熱波・大雪などの気候災害がますます増加することが予想されています。
気候災害による経済的損出、特に農業への大きな悪影響が懸念されます。
一方で温暖化対策への抵抗、既得権益を侵されるための抵抗と各国政府の温暖化防止対策に対する動きの鈍さが課題
アマゾンエフェクト
アマゾンが次々に新たな分野に進出することで、消費者の行動パターンが実店舗からネットへと変わってきている。それにより書店などのリアル小売店舗が大打撃を受けている。
アマゾンプライムビデオやネットフリックスによるテレビ・映画の視聴者を奪っています。
アマゾンの無人コンビニエンスストアである「アマゾンゴー」の日本進出により、既存コンビニは大打撃。
アマゾンのサービスをリアルな店舗でも実現
Amazon Go(アマゾン・ゴー)はAmazon.comが運営する食料品店。最初の店舗は2016年12月5日にAmazonの新本社内にオープンしており、消費者はレジに並ばずに商品を購入することが出来るなど部分的に自動化されている。
ウィキペディア
2020年6月現在、全米4都市(シアトル、サンフランシスコ、シカゴ、ニューヨーク)で26店舗を運営する。
人口問題
少子高齢化はますます進行してきます。今後は大都市圏の過疎化が本格的に始まります。
2030年には団塊の世代が80歳になります。介護支援が必要になる年代です。
団塊ジュニアが50代後半を迎えます。
2030年以降に65歳を迎える世代は生涯に渡って働かなければならない。
2030年には850万人の労働力が不足するといわれている。
外国人労働者を激増させる以外に人口問題を解決する方法はない。
労働力を補うためだけの外国人の受け入れではなく、社会の一員として外国人を受け入れる方策が必要である。
ポピュリズムショック
上流富裕層と下流貧民層に2極分離する経済想像が一層深まってしまいます。
不安定な社会構造のなかで、政治の世界で「ポピュリズム」を主張する政治家が台頭することが予想されます。
「ポピュリズム」
政治指導者が大衆の一面的な欲望に迎合し、大衆を操作することによって権力を維持する方法。大衆迎合主義。
大辞林
まとめ
「2030年までの10年間に何が起き、それに対してどのように対処すればいいのか」という問いに対して著者の最終的な結論は「コロナショック」「トヨタショック」など複数の理由を述べ、それに対する個々の方策は自衛することと結論づけています。
非常にきびしい状況が2030年に待ち構えていることがわかりました。それに対する具体的な自衛手段はあまり語られなかったのですが、知らないより知っているだけでも100倍の違いがあるのではないでしょうか。
最後に著者の 鈴木 貴博 様、日本の行く末についての見解をご教授いただきありがとうございます。
ますますの活躍をご祈念申し上げます。