法人税の貸倒処理については過去13回の試験で4回出題されています。
以外に多く出されているのでまとめてみました。
貸倒損失
法律上の貸倒れ
下記の認可等があれば、法律的に債権が消滅して損金算入することになる。
- 会社更生法の再生計画の認可決定、特別清算の認可
- 民事再生法の決定
- 債権者集会による手続き
事実上の貸倒れ
法律的には債権はなくなっていないが、資産状況、支払能力などから回収できないことが明白な場合、全額損金算入できます。ただし事前に担保物件を回収しないと、損金算入できません。
担保物件を除いて損金算入もできません。
(2021.5)(2019.1)(2019.1)
債務超過の状態が相当期間(3年以上)継続し、貸付金の回収ができないことが明らかな場合、内容証明郵便などの文書で債務免除(=債権放棄)を案内することで、債権免除額が損金算入することになります。
(2021.5)(2019.1)(2016.9)
形式上の貸倒れ (売掛債権の特例)
- 取引停止後1年以上経過
- 売掛金は担保物件ではない
- 売債権額がそれを回収する費用より少ない
- 督促しても弁済がない場合
以上の要件が整えば、売掛債権は備忘価額1円を残して、損金算入できます。
つまり全額損金算入はできません。(2021.5)(2019.1)(2019.1)
これは売掛債権の特例なので貸付金は対象外です。(2019.1)
また単発の取引には適用されません。(2021.5)
貸倒引当金
売掛金、貸付金などの債権の貸倒れ見込み額を貸倒引当金として、繰入限度額まで計上することができます。
繰入限度額は法人税法で貸倒引当金として認められた額で個別評価金銭債権限度額とそれ以外の一括評価金銭債権限度額の合計金額になります。
なお、資本金1億円以下の中小法人の場合は下記の方式により一括評価金銭債権限度額を算出します。
一括評価金銭債権限度額
- 期末一括評価債権額×実績繰入率
- (期末一括評価債権額ー実質的に債権に評価できない金額)×法定繰入率
1,2の多い額が 括評価金銭債権限度額 になります。
(2019.9)
1,2の多い額が 括評価金銭債権限度額 になります。(2019.9)
貸倒引当金の対象となる法人は中小法人等や銀行等に限られています。
まとめ
- 担保物件を回収してから
- 3年以上回収できない場合は文書で案内してから
- 1年以上回収できない売掛金は備忘価額1円を計上してから
貸倒損失として損金算入できます。