2021年から2016年9月まで13回の試験での出題実績を調べてみました。
2021年5月 | 利回り計算 |
2021年1月 | 個人向け国債 |
2020年9月 | EB債、利回り計算 |
2020年1月 | 地方債 |
2019年9月 | 仕組債 |
2019年5月 | 個人向け国債、イールドカーブ |
2018年9月 | 利回り計算 |
2018年1月 | 利回り計算 |
2017年9月 | 個人向け国債 |
2017年1月 | 地方債 |
2016年9月 | 個人向け国債 |
出題の多い項目は「個人向け国債」4回「利回り計算」4回ですね。
この2つを押さえておきましょう。
個人向け国債
国が発行している債券が国債です、個人でも購入できるのが個人向け国債です。
また取扱金融機関が破綻した場合でも、利息や償還金が受け取れます。
満期 | 金利タイプ | 金利の設定 |
---|---|---|
3年 | 固定 | 基準金利ー0.03% |
5年 | 固定 | 基準金利ー0.03% |
10年 | 半年ごとに変動 | 基準金利×0.66% |
【共通事項】
- ペーパーレスで発行(紙面証書等なし)
- 応募
取扱い金融機関によって変わらない(2021.1) - 毎月発行(2021.1)(2017.9)
- 購入単位
最低1万円から1万円単位で購入可能(2019.5) - 下限金利
0.05%(2021.1) - 半年ごとに利子受取
- 償還金額は100円につき100円
- 中途換金(2021.1)
国の買取により発行から1年後に可能
1万円単位で換金
中途換金額=額面額+利子ー直前2回分の利子×0.79685
換金手数料はなし
換金額は取扱い金融機関によって変わらない(2021.1) - 中途換金例外
死亡・災害救助法による災害の場合は1年以内でも換金可能(2019.5) - 課税(2021.1)(2019.5)(2017.9)
受取利子に所得税が課税、税率は住民税と合わせて20.315%が源泉され、申告分離課税の対象
申告不要も選択可能
確定申告することで、上場株式等の譲渡損失と損益通算可能 - 預金とは異なり元本の保証はありませんが、国が発行している債券などでかなり安心です。
- 個人向け国債は預金ではないので預金保険制度の対象ではない。
- 投資者保護基金の対象ではない。
- クーリング・オフ制度は適用されない。
利回りの計算
単利の場合
利回りの計算は公式ありきではありません。基本を押さえれば公式を暗記する必要はありません。
$\Large{\mathbf{利回り=\frac{出}{入}=\frac{リターン額}{投資額}}}$
入:投資つまり債券購入
出:リターンつまり利益
入れたものに対する出てきたものの割合です。簡単ですよね。
もう少し詳しくするとこんなことになります。
$\Large{\mathbf{利回り=\frac{購買利益+利子}{購入価格}}}$
単位:%/年
細かいことはいくつかありますが、基本の基本 $\mathbf{\frac{出}{入}}$ だけわかっていれば、自然に計算ができるようにしましょう。
それと忘れてはいけないのは利回りの単位は厳密には「%/年」です。1年当たりどれだけリターンがあったかの割合ですので、忘れないように
後、この式で利回りと利率の違いがわかります。
利率は下記のとおりです。
$\Large{\mathbf{利率=\frac{利子}{額面金額}}}$
複利の場合
購入価格×(1+利回り)残存期間=100円
複利計算は上の式になります。
式を覚えていなくても出てくるようにして下さい。
例えば購入価格:90円
利回り:3%
残存期間:n年
とすると下記のとおりになります。
これで上の式が理解できます。
売却価格 | |
1年目(n=1) | 90円×(1+0.03) |
2年目(n=2) | 90円×(1+0.03)((1+0.03) |
3年目(n=3) | 90円×(1+0.03)((1+0.03)((1+0.03) |
n年目(n=n) | 90円×(1+0.03)n |
後は演習です。
償還まで利子(クーポン)が支払われない代わりに、額面より低い金額で発行され、償還時に額面金額で支払われる債券
例えば、98円で発行された額面金額100円の1年ものの割引債の場合利回りが約2.04%となる。
98円 ✕(1+x)=100
x≒ 2.04%
演習
【問題1】
以下の債券Aが発行されました。
発行価格:102円(額面価格100円当たり)
表面利率:3%
償還期間:10年
問1 債券Aの直接利回りを求めよ。
問2 債券Aの応募者利回りを求めよ。
問3 3年目に98円で購入した場合の最終利回りを求めよ。
問4 3年目に98円で購入し、5年後に102円で売却した場合の利回りを求めよ。
【問題2】
以下の割引債券Bが発行されました。
発行価格:98円(額面価格100円当たり)
表面利率:ー
償還期間:4年
問題5 1年複利による最終利回りを求めよ。
【解答】
問1 2.06%
問2 2.75%
問3 3.35%
問4 5.1%
問1
以下のとおり分子が利子だけになります。
$\Large{\mathbf{直接利回り=\frac{利子}{購入価格}}}$
直接利回り=3円/102円=2.94%
問2
・購買利益
=償還価格ー発行価格
=100円ー102円
=−2円
マイナスになっても気にしないで下さい。
利子を加えるとプラスになります。
償還価格とは額面価格100円のことです。
額面価格で償還されるルールです。
・1年当たり購買利益
=購買利益/償還期間
=-2円/10年
=ー0.2円
・リターン額
=1年当たり購買利益+利子
=-0.2円+3円=2.8円
・応募者利回り
=リターン額/購入価格
=2.8円/102円
=2.75%
問3
もうわかりますよね。
最終利回り
=(((100円ー98円)/7年)+3円)/98円
=3.35%
問4
所有期間利回り
=(((102円ー98円)/2年)+3円)/98円
=5.1%
問5
最終利回を$\large{x}$とすると
98円×(1+$\large{x}$)4年=100円
$\large{x}$=$\sqrt[4年]{\frac{100円}{98円}}$ー1
$\large{x}$=0.51%
電卓で[ √ ]を2回押せば4条根が求められます。
[ √ ]のある電卓は本番で必要です。