ファイナンシャル・プランニング(FP)技能検定1級【応用編】定番「法人税の計算」

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法人税

しひろです。
今回はFP1級技能検定の「税」から「法人税の計算」です。定番問題です。
過去12回の検定試験で7回出題されました。
ほぼ、同じような問題です。

できるまで何回も練習すればミスはなくなります。
わかりやすく解説しますので、お付き合い下さい。

目次

整理事項

法人税は決算書を一部修正して確定申告をおこないます。
会計上の収支と法人税法上の収支の捉え方が違います。

会社は会計が許す範囲で合法的に収支を調整することができます。
たとえば、「利益が多くなったから、今期の予算で物品を余計に買っておこう。」といったことです。

そうすると当期の純利益も変わってきます。
その純利益を基に法人税を計算することになってしまい、適正な税額が計算できません。

事前調整

法人税を計算するために、事前に下記のような税額を計算するために事前調整をおこない、法人所得金額を計算します。

損益対照表の当期純利益から増減して法人所得金額を算出します。

法人所得金額=益金算入額+損金不算入額ー益金不算入額ー損金算入額

算出された法人所得金額に税率をかけて税額を算出します。

略式別表四(所得の金額の計算に関する明細書)

「略式別表四(所得の金額の計算に関する明細書)」と、関係ない人には意味不明な書類です。
どんな書類かというと、法人税の確定申告をするときに添付する書類のひとつです。

この書類を作成することで、当期利益から法人所得金額が導き出されます。
試験ではこの明細書に準じた表を使って問題が出題されますので、理解しておくことが重要です。

国税庁のページのリンクを張っておきます。
略式別表四(所得の金額の計算に関する明細書)」
主な項目を表にすると以下のとおりです。

区 分総 額
当期利益の額
加算損金経理をした納税充当金
減価償却の償却超過額
役員給与の損金不算入額
役員退職金の損金不算入額
交際費等の損金不算入額
生命保険料の損金不算入額
小 計
減算減価償却超過額の当期許容額
納税充当額から支出した事業税等の金額
受取配当等の益金不算入額
小 計
仮 計
法人税額から控除される所得税額及び復興特別所得税額
合 計
欠損金又は災害損失金等の当期控除額
所得金額又は欠損金額

加算する項目、減算する項目の意味を理解して、数値を記入することが試験では問われます。
1つひとつの項目を見ていきます。

「損金経理をした納税充当金」(損金不算入)

「損金経理をした納税充当金」とはどういう意味でしょうか。わかりにくいですね。
「損金経理をした納税充当金」とは未払い法人税等(法人税・法人住民税・法人事業税等)のことです。

会計上は費用と計上しますが、法人税法上では決算時において未払いのため、損金不算入のため、「納税充当金」として加算します。
「当期確定申告分の見積納税額」と問題文に示されている金額になります。

ちなみに法人税・法人住民税・法人事業税の納税期限は事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です。

「納税充当金」=「見積納税額」

ただし、 未払い法人税等は実際に支出したとき(次年度)に「納税充当額から支出した事業税等の金額」として損金算入をします。

つまり、法人事業税は当年度に「損金経理をした納税充当金」で損金不算入として、次年度に「納税充当額から支出した事業税等の金額」として損金算入をします。

「減価償却の償却超過額」(損金不算入)

法人税法上認められている「償却限度額」までしか減価償却費として費用計上できません。
超過した部分は「減価償却の償却超過額」として加算します。

「減価償却の償却超過額」=「減価償却費」ー「償却限度額」

「償却限度額」「減価償却費」 の場合は「減価償却の償却超過額」= 0 になります。 

「減価償却超過額の当期許容額」(損金算入)

当期に「償却限度額」「減価償却費」となり、過去の「減価償却の償却超過額」の累計額である「繰越償却超過額」がある場合、

「繰越償却超過額」と「償却限度額」ー「減価償却費」を比較して、小さい額を「減価償却超過額の当期許容額」とする。

「減価償却費」>「償却限度額」の場合は「減価償却超過額の当期許容額」= 0

【事例】

減価償却費   200万円
償却限度額   250万円
繰越償却超過額  30万円

「繰越償却超過額」30万円と「償却限度額」ー「減価償却費」=50万円なので、低い額30万円が「減価償却超過額の当期許容額」として損金算入できます。

過去に償却できなかった金額を、償却残がある年に償却できる制度です。

「役員給与の損金不算入額」(損金不算入)

役員給与は「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業務連動給与」であれば、損金算入できます。
該当しなければ「役員給与の損金不算入額」に計上しなければなりません。

「定期同額給与」

1ヶ月以下の一定の期間ごとである給与で、支給額が同額であるもので、事前の届け出不要

「事前確定届出給与」

株主総会日の1ケ月か会計開始日の4ケ月経過する日のどちらか早い日まで税務所長に「事前確定届出給与に関する届出書」を提出して、額を確定した給与のこと

新たに設立した法人は設立後2ヶ月以内に「事前確定届出給与に関する届出書」を提出
事前確定届出給与に関する届出書」と実際の支給額と差異があると、支給額全額が損金不算入になる。

「業務連動給与」

会社の業績に、役員の給与額を連動させた給与

「役員退職金の損金不算入額」(損金不算入)

「役員退職金の損金不算入額」
=「退職金額」-「最終報酬月額」×「役員在任期間」×「功績倍率」

この式に当てはめて計算し、損金不算入額を算出します。

なお、役員退職金額を税務署長に届け出る必要はありません。

退職職給付引当金は費用として計上しても実際に支払っていないので全額損金不算入になります。損金算入されるのは実際の退職金を支払ったときです。

交際費等の損金不算入額(損金不算入額)

「交際費等の損金算入額」は下記により求めます。資本金1億円以下の会社のケースが試験にでますのでチェックして下さい。

資本金1億円を超える会社

損金算入額=接待飲食費✕50%

資本金1億円を以下の会社

損金算入額=接待飲食費✕50%と800万円を比較して多い金額
※交際費等が800万円なければ、交際費等の額

会社の交際費の損金算入は接待交際費×50%までです。
ただし
資本金1億円以下の会社は下限800万円です。

図化すると次のとおりになります。

5千以下
の飲食費
損金算入額損金不算入額
接待飲食費接待飲食費以外

「生命保険料の損金不算入額」(損金不算入)

満期保険金がない定期保険の保険料は全額損金算入になります。
満期保険金がある養老定期の保険料は1/2が資産に、1/2が損金(費用)に算入されるため、経理上全額費用に計上した場合、資産に相当する1/2が損金不算入になります。

「納税充当額から支出した事業税等の金額」(損金算入)

前年度の法人事業税等です。

前年度の法人事業税は前年度に「損金経理をした納税充当金」で法人税・法人住民税とともに損金不算入とします。
法人事業税は法人税法上経費として計上できますので、当年度に「納税充当額から支出した事業税等の金額」として損金算入をします。

損金に算入できる事業税等とは事業税・固定資産税・事業所税・自動車税・収入印紙税・消費税等です。

利益(所得)に課税される法人税・法人住民税、罰則的意味合いの延滞税、加算税、交通違反金、損金算入はできません。

「受取配当等の益金不算入額」(益金不算入額)

他法人の出資により、「受取配当金」があった場合、課税対象になりますが、株式等の保有割合によって、益金不算入額が異なります。下記のとおりになります。

株式等の保有割合 益金不算入額
完全子法人株式等100%受取配当金全額
関連法人株式等1/3超100%未満受取配当金ー関連法人の負債利子
その他株式等5%超1/3未満受取配当金✕50%
非支配目的株式等5%以下受取配当金✕20%

「法人税額から控除される所得税額及び復興特別所得税額」(損金不算入)

法人の預金利子に所得税(利子所得)が源泉徴収されます。
本来徴収すべきでない分ですから、法人税額から控除します。

費用として引かれているものを戻すため、加算することに注意して下さい。

一旦所得に加算しますが、その後税額計算時に控除します

「欠損金又は災害損失金等の当期控除額」

青色申告法人は、過去の赤字(欠損金)を当期の黒字と相殺することができます。
欠損金の繰越控除は10年間です。

減算することに注意して下さい。

所得金額又は欠損金額

資本金1億円超の法人

税額=所得金額✕23.2%ー税額控除

上記以外の法人

税額=8,000千円✕15%+(所得金額ー8,000千円)

※所得金額<8,000千円の場合は、 法人税額=8,000千円✕15%

所得金額は1,000円未満切り捨てであることに注意(問題文に書いてありません。)

法人税額

資本金所得金額税率
1億円超の会社23.20%
1億円以下の会社800万円超の部分23.20%
800万円以下の部分15.00%

納付すべき法人税額

納付すべき法人税額
=法人税額ー税額控除合計額ー「法人税額から控除される所得税額及び復興特別所得税」

法人税額から控除される所得税額及び復興特別所得税額」を控除することを忘れないように

続いて演習問題をどうぞ。

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