【FP検定1級】株式の信用取引について、得点源です。

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株式の信用取引は、過去13回の基礎編の試験で6回出題されています。

信用取引の経験者であれば容易な問題です。経験がない場合は、独特な用語には戸惑いますが、一読してもらえば理解できるようになります。

なお、青のカッコ書きは過去問の年月を示しています。

目次

株式の信用取引とは

証券会社に対して現金や株式を委託保証金として担保したうえで、株式の買付けに必要な資金を借用、売付けに必要な株式を借用して、売買を行う取引です。

最大預けた担保の評価額の約3.3倍まで株式の取引ができます。(2019.5)(2018.1)
制度信用取引一般信用取引の2種類があります。

委託保証金

委託保証金とは、投資家が株式の信用取引などをおこなう際に証券会社に差し入れる担保のことです。
委託保証金は下限額が30万円委託保証率30%以上と定められています。
(2021.5)(2020.9)(2019.5)(2017.1)

有価証券で代用することができます。(2017.1)その場合、当該有価証券は差入れの前日における時価に所定の代用掛目を乗じた金額で評価されます。(2021.5)(2019.5)
なお、債券は代用有価証券の対象外にしている証券会社が多い。非上場の株式は代用不可です。(2018.1)

委託保証金や代用有価証券は、証券会社における分別管理の対象で、投資者保護基金で1,000万円まで補償対象です。(2019.5)

委託保証率

委託保証率 = 委託保証金 / 約定代金

約定代金とは株式の売買が成立したときの代金のことです。

例えば約定代金が90万円であれば、
90万円×30%=27万円<30万円で
委託保証金は30万円になります。
委託保証率は=30万円/90万円≒33%です。

代用掛目

信用取引などで、委託保証金として、有価証券(株式・公社債等)を現金の代わりに用いた場合の「現金換算比率」のこと

【例題】
株式の制度信用取引において、保有するX社株式5,000株(時価2,000円/株)と現金100万円を担保とし、Y社株式(時価2,500円/株)を新規に売建てする場合、売建可能最大株数を求めなさい。なお、株式担保の代用掛目は90%、委託保証金率は30%とし、手数料等は考慮しないものとする。

【解答】
・委託保証金
=(5,000株×2,000円/株)×80%+1,000,000円
=9,000,000円

・取引金額の上限
=9,000,000円/30%
=30,000,000円

・売建可能最大株数
=30,000,000円/2,500円/株
=1,200株

信用取引のメリット

  • 現物取引に比べて効率よく資金が投入できるレバレッジ効果が期待できる。(2020.9)(2019.5)
  • 同じ銘柄を何回でも取引できる。
  • 売りから始められる。
  • 株価の下落局面でも利益を得ることができる。
  • 売買高が増加し、市場における公正な価格形成が促進される。

信用取引のデメリット

  • 想定外の株価の変動で多額の損失が発生することがある。(2020.9)(2019.5)
  • 配当も株主優待も受け取ることができない。(2021.5)
    (配当相当額を受け取ることができる場合があります。)

制度信用取引

取引できる銘柄、借入れた現金や株式の弁済期限、品貸料などが、制度信用銘柄選定基準を満たした銘柄のみを対象としておこなわれる信用取引のことです。(2019.5)

取引できる銘柄は制度信用銘柄選定基準を満たした銘柄であり、必ずしも上場銘柄ではありません。(2018.1)

返済期限は原則6か月以内(2021.5)に定められています。
金利の利率には定めはありません。(2017.1)一般信用取引に比べて利率は低いです。

一般信用取引

投資家と証券会社の間で返済期限などを自由に設定できる信用取引のことです。制度信用取引よりも金利が1%くらい高い。

株式信用取引の専門用語

新規建て

新たに信用取引を始めること

買建・売建

買建 信用取引で新たに買付けること

売建 信用取引で新たに売付けること

反対売買

買った銘柄を売る、あるいは売った銘柄を買うこと

建株を反対売買して確定利益が生じた場合、制度上、その確定利益分を反対売買した日に新たな信用取引に係る委託保証金とし利用することができる。(2020.9)

現引き・現渡し

現引き
現(現物=株)を引き取ること
信用取引の買建決済において株を売らないで保有すること

現渡し
現(現物=株)を渡すこと
信用取引の売建決済において株を買い戻さず、保有している現物株を返却すること

建玉(たてぎょく)

約定後に反対売買や現引き・現渡しされず残っている未決済の状態のこと

委託保証金維持率

委託保証金維持率 = ( 委託保証金 ー 決済損等 ) / 約定代金

証券会社で任意に設定されています。委託保証金率より低い数値にするのが一般的です。
相場の状況により、設定した率を下回った場合はこの維持率を割り、込んだ場合は、追証(追加保証金)を差し入れなければなりません。

追証(追加保証金)

委託保証金維持率割れとなった場合、追加で委託保証金を差し入れること、現金で入金する必要があります。

追加保証金を差し入れた後に、株価が上昇して委託保証金率が回復しても、追加保証金が解消することはないので、追加で差し入れる必要がある。
(2020.9)

証券金融会社

証券会社に対し、制度信用取引の決済に必要な株式や資金を貸付ける貸借取引を主な業務としている会社のことです。

金融商品取引法に基づいて免許を受けた証券金融専門の株式会社です。
日本証券金融株式会社(日証金)のみ現存しています。

貸借取引

制度信用取引をおこなうために、必要な金銭や株式を証券会社と証券金融会社の間で貸借すること

品貸料(=逆日歩)

株式が不足した際、証券金融会社が証券会社や機関投資家から株式を借りる際に支払う調達費用
証券金融会社から証券会社に請求され、売建てた投資家が最終的に負担する。

制度信用取引で信用売りをした場合、逆日歩が生ずることがありますが、一般信用取引では逆日歩が生ずることはない(2020.9)(2017.1)

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