【書評】『資産寿命 人生100年時代の「お金の長寿術」』大江英樹著」

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低金利時代で長寿社会の現代において、たのしい老後を送るために資金寿命をいかに伸ばすかについて、いろいもな角度から読者に教えるのではなく、考えさせるために書かれた本です。

著者は大手証券を退職した方であるため、定年後の株式投資や投資信託について述べた本てあろうと、高をくくっていたのですが、そうにあらず。予想がまったくはずれました。

「老後資金を堅実にかつ大切に使っていきたい」と考えておられる定年退職前後の50代・60代の方々に是非とも、読んでいただきたい一冊です。

目次

要約ポイント

書籍の中から要約ポイントを引用して、解説を加えます。

後生活におけるお金のやりくりで理想的な方法は、
① 日々の生活は公的年金でまかなうようにする
② 趣味や楽しみのための費用は働いて得る収入やそれを貯めた資金でまかなう
③ 退職金や自分の保有する金融資産はできるだけ取り崩さず、将来に備える

老後は国民年金と雇用収入で生活するのが理想であると、退職金や蓄えた資産はできるだけ今使わずに、将来にそなえるように

全っく投資の話はでてきません。非常に控えめであり、これでは資産が増える余地はまったくないように思います。

投資を考える前に有効な方法は3つあります。
1.働いて収入を得るようにする
2.年金の受け取り方を考える
3.支出をきちんと管理する

定年退職後も働くこと、年金の制度を勉強して有利な給付を受けること、収入に比べて支出はどうしても細かくなるので、まめに管理しようといた意味とです。

まだまだ働きましょう。公的年金(国民年金)について勉強しましょう。

現在のあなたの収支状況、自分でしっかりと把握していますか?
めんどくさいですよね。でもここが一番肝心なところです。自分のお金の状況をしっかりと確認しましょう。

それらができたなら、はじめて投資について、考えましょうということです。

投資は日々の地味なことをコツコツとやったうえでやるものです。
最初から投資ありきでは絶対にありません。これが著者の最も言いたいポイントです。

 定年後も人生はおおいに楽しむべきだということなのです。そのために働いて得る収入で人生を楽しみましょう、そして持っている金融資産は、その寿命をできるだけ延ばして将来のリスクに備えましょう、


改めて働くことの大切さを述べています。また金融資産についてはあまり手を出すなと

サラリーマンとして働くのではなく、自営業として働くことです

60代で働くと国民年金が減額されること防ぐために自営業で働くことをすすめています。

てっきり副業の延長線上で自営業をすすめているのかと思いましたが、年金対策でした。これからの働き方についても言及してほしかったです。

①何のために投資をするのか?
②投資の本質とは一体何なのか?
③投資は具体的にどうすればいいのか?

ここに来てやっと投資の話になってきました。投資の目的・本質・手法についての説明が始まります。

購買力を維持する目的で投資するのであれば、積極的にリスクを取って集中的に投資するのではなく、国際分散投資、すなわち日本国内に限らず広く他の先進国や新興国等の株式に、それぞれの市場の規模に応じて分散して投資しておけば良いのです。

最初に投資の目的です。一般論としての投資目的ではなく、50代・60代の投資目的です。
50代・60代の投資目的は儲けるためではなくて、購買力を維持するためと主張しています。

購買力を維持という言い方は少し分かりにくいです。著者は物価が上昇しても欲しい物が買える程度に投資しろといっていると思われます。
利回りが高く、リスクの大きい商品を狙うのではなく、物価上昇を吸収できる商品を狙うべきと言っているのでしょう。

最大限のリスク回避のために国際分散投資をすすめています。具体的なやり方として、投資信託や債券の商品名まであげています。そこまで書くとネタバレになるので是非とも本書を直接読んで下さい。

投資で絶対に正しいたった二つの真実
①先のことは誰もわからない
②世の中にうまい話はない、

投資の本質については、「これです」とはどこにも書いてありませんでしたが、前後の文脈から上の引用が著者が考える投資の本質と思われます。

言われてば当たり前のことですが、頭から抜け落ちることでもありますね。

「資産寿命を延ばす」ことは必ずしも投資することだけではない

この本のむすび(おわりに)の冒頭の文です。著者がこの本で最も言いたかったことでしょう。

国民年金の受給の仕方や退職金の受け取り方や使い方など、投資を考える前に低リスクで見直せる点がいくつかあります。
まずはそのような点を見直してから必要であれば投資もありということです。

書籍情報

概要

書 名 『資産寿命 人生100年時代の「お金の長寿術」』
著 者 大江英樹
発行所 朝日新聞出版
発行日 2020年1月31日

著者の紹介

経済コラムニスト
専門分野はシニア層のライフプランニング
資産運用及び確定拠出年金、行動経済学等
大手証券会社で定年まで勤務した後に独立
書籍やコラム執筆のかたわら、全国で年間140回を超える講演をこなす

主な著書
『定年男子 定年女子』
『経済とおかねの基本1年生』
『投資賢者の心理学』
『定年前』など多数

目次


はじめに
第1章 資産寿命という考え方
第2章 働いて資産寿命を延ばす
第3章 収支がすべて
第4章 間違いだらけの年金知識
第5章 運用で資産寿命を延ばす
第6章 私たちの「お金の長寿術」
おわりに

感想

バブル時代に財テクブームでした。特に投資をしなくても定期預金の利率が5%以上ありました。それに比べていまは国債の金利でも0.1%以下の時代です。

それなりに資産を持っている人は、過去のことを思うと遊ばせておくのはもったいないと考えてしまいます。

投資だけはなく年金・税金・健康保険・介護保険など公的制度を含めて老後資金を考えるべきと言われたような気がします

最後に著者の大江英樹 様、老後のお金のありかたについて貴重な意見をいただきありがとうございます。

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