公的医療保険は、過去13回の基礎編の試験で基礎編では10回、応用編では4回出題されています。
2020年1月の試験では基礎編で2問、応用編で1問も出題されています。
高額医療費、傷病手当金、出産手当金、後期高齢者医療制度が頻出しています。
同じ個所が複数回にわたって出題されています。
ポイントをしぼって取り組みましょう。では始めていきます。
健康保険診察費の自己負担分
【診察費自己負担分】
- 小学校入学前 2割
- 70歳未満 3割
- 70歳から75歳 2割
- 現役並み所得者 3割
- 高額医療制度あり
健康保険の被扶養者
健康保険の被扶養者は被保険者により主に生計を維持されているものです。
生計維持の要件は下記のとおりです。
なお、被扶養者は保険料の負担がありません。
【被扶養者の生計維持要件】
- 同居している場合
-
3親等以内の親族で
年収130万円未満(60歳以上は180万円未満)かつ 被保険者の年収の 1/2 未満であること - 別居している場合
-
配偶者、子、直系尊属、孫、兄弟姉妹で
年収130万円未満(60歳以上は180万円未満) かつ 年収が被保険者からの仕送りより少ないこと
別居している配偶者の父母、甥姪、連れ子は被扶養者にはなれません。
配偶者には内縁関係者も含まれる。(2021.5)
健康保険の被扶養者の年収要件に遺族年金、障害年金は対象になります。(所得税は非課税です。)(2021.5)
国民健康保険には被扶養者という区分がないため、加入者はすべて被保険者である。
健康保険料
健康保険料
=標準報酬月額 ( 標準賞与額 )×健康保険料率×1/2(労使折半)
標準報酬月額は、被保険者の4月から6月報酬を基礎にして、50等級に区分し決定している。
第1等級は5.8万円、第50等級は139万円である。
9月から翌年8月まて適用される。
健康保険の任意継続被保険者
下記の要件を満たせば、退職などで健康保険の被保険者の資格を喪失しても、その後2年間任意継続被保険者になることができます。
【任意継続被保険者要件】
- 被保険者期間が2ヶ月以上あること
- 資格喪失日(退職日)から20日以内に申請すること(2021.1)
2週間でないことに注意
保険料は被扶養者分も含めて、全額自己負担になります。(2021.1)
退職時の標準報酬月額と加入している健康保険の全被保険者の前年9月30日時点の標準報酬月額の平均値と比較して低いほうの額が基準になる。(2021.1)
保険料を期日までに未納付により、被保険者の資格を喪失すると、改めて被保険者期間が2ヶ月以上あるなどの資格取得の要件を満たさない、任意継続被保険者となることはできない。(2021.1)
原則として傷病手当金、出産手当金は支給されません。
高額医療費
高額療養費制度の自己負担限度額は、70歳未満では標準報酬月額別の4区分と、住民税非課税世帯等の低所得者1区分の計5段階区分に応じた額になっている。(2018.9)
70~74歳では所得と医療給付の内容に応じた5段階区分に応じた額になっている。
限度額適用認定証を病院などに提示すると、高額医療費の自己負担限度額の支払いで済む。(2018.9)
総合病院など診療の種類が複数ある医療機関では医科診療と歯科診療に区別されるし、入院診療、外来診療にも区別される。(2020.1)
【高額療養費の合算】
70歳未満の被保険者または被扶養者が同一月内にそれぞれ医療機関等に支払った自己負担医療費の合計額が21,000円以上が対象になる。(2020.1)(2018.9)(2019.1応用)
70歳以上は21,000円未満も対象になる。
高額医療費には入院時の食事代や保険適用外の差額ベッド代は含まない。(2020.1)
同一世帯で1年間に3回(3ヶ月)以上高額療養費を受給していると、4回目以降は自己負担限度額が軽減される。(2020.1)(2018.9)(2019.1応用)
傷病手当金
傷病のため連続3日以上休み、4日目以降報酬を得ることができなくなった場合に支給されます。(2021.1応用)(2017.9応用)
【傷病手当金計算式】
傷病手当金
=直近12ヶ月の標準報酬月額の平均額×1/30×2/3×休業日数(初日から3日までは除く)(2021.1応用)(2017.9応用)(2016.1応用)
※報酬が1部支払われた場合は下記のとおり
傷病手当金=上記の式で計算した額ー報酬支払額(2019.9)
連読して最大1年6ヶ月の支給になる。(2021.1応用)(2017.9応用)(2016.1応用)
初日からの3日間(待期期間)に報酬が支払われても計算に影響しない。
同一の傷病で傷病手当金と障害年金両方の給付を受ける場合
傷病手当金 ≦ 障害年金の場合は傷病手当金全額が支給停止
傷病手当金 > 障害年金の場合は差額分が傷病手当金から支給される。(2021.1応用)(2016.1応用)
出産手当金
出産のために休み、報酬を得ることができなくなった場合に支給されます。
【出産手当金計算式】
出産手当金
=直近12ヶ月の標準報酬月額×1/30×2/3×(出産前42日+出産後56日)
(2020.9)
※42日は6週間、56日は8週間です。週で覚える方が簡単です。
傷病手当金と出産手当金とも給付できる場合、出産手当金が優先支給され、傷病手当金は支給されません。ただし傷病手当金の額が多い場合は、差額が傷病手当金として支給される。(2019.9)
被扶養者は該当しない。
国民健康保険は傷病手当金と出産手当金は任意給付である。
退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があれば、傷病手当金や出産手当金の受給中に退職しても、退職後も傷病手当金や出産手当金を受給することができる。(2019.9)
出産育児一時金
被保険者、被扶養者が産科医療補償制度に加入している医療機関で出産すると42万円/子が支給される。(2020.9)
医療機関から直接支払う場合にも事前申請は必要がない。(2019.9)
後期高齢者医療制度
75歳より健康保険や国民健康保険の被保険者の資格がなくなり、後期高齢者医療制度の被保険者になります。
【被保険者】
【被保険者】
- 75歳以上の者
- 65歳以上75歳未満の者で所定の障害認定を受けた者(2020.1応用)
- 生活保護受給者は除く。
【保険料】
後期高齢者医療制度保険料
=均等割額+所得割額(2020.1応用)
所得割額
=(総所得金額等ー基礎控除43万円)×所得率
公的年金等控除額110万円+基礎控除額43万円=153万円のため
年金収入が153万円以下の場合、所得割はかからない。
健康保険の被保険者から後期高齢者医療制度の被保険者に変わると、その被扶養者は資格を喪失し、国民健康保険に加入することになる。
保険料は都道府県(後期高齢者医療広域連合)ごとに定められている。
公的年金受給者の保険料は原則、公的年金から天引きされる。(特別徴収)
公的年金額が18万円未満、後期高齢者医療保険料と介護保険料が公的年金の1/2を超える場合は納付書で納付(普通徴収)(2020.1応用)
【保険料の軽減】
2021年度保険料は均等割りで7割軽減される。所得割は軽減されない。
【診察費自己負担分】
【診察費自己負担分】
- 原則、1割負担(現役並み所得者は3割負担)
毎年8月1日に判定(2020.1応用) - 高額医療制度あり