ファイナンシャル・プランニング(FP)技能検定1級【応用編】不動産の譲渡所得 演習

FP

こちらは演習問題です。内容の説明についてはファイナンシャル・プランニング(FP)技能検定1級【応用編】不動産の譲渡所得を確認ください。

特別控除などの特例が多数あります。
それぞれの特例の内容をファイナンシャル・プランニング(FP)技能検定1級【応用編】不動産の譲渡所得で確認してから、問題に当たって下さい。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

問題1

問1

下記資料に基づき、自宅の建物と土地を買い換えた。
解答に当たっては計算過程 を示し、解答は100円未満を切り捨てて円単位とすること。

①「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」および「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」の適用を受けた。
この場合の譲渡所得の金額に係る所得税額および復興特別所得税額、住民税額の合計額はいくらか。

②「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」の適用を受けた。
この場合の譲渡所得の金額に係る所得税額および復興特別所得税額、住民税額の合計額は いくらか。

資料
  • 譲渡資産は20年前に相続により取得
  • 譲渡資産の譲渡価額 1億2,000万円
  • 譲渡資産の取得費  不明
  • 譲渡費用      200万円
  • 買換資産の取得価額 7,000万円

解答1


収入:12,000万円
費用:12,000万円 ✕ 5% + 200万円 = 800万円
特別控除:3,000万円

課税長期譲渡所得金額
12,000万円 ー 800万円 ー 3,000万円 = 8,200万円

所得税:6,000万円 ✕ 10% + 2,200万円 ✕ 15% = 9,300,000円
復興特別所得税額:9,300,000円 ✕ 2.1% = 195,300円
所得税、復興特別所得税額合計額 9,495,300円
住民税:6,000万円 ✕ 4% + 2,200万円 ✕ 5% = 3,500,000円

合計額:12,995,300円


収入:12,000万円 ー 7,000万円 = 5,000万円
費用:12,000万円 ✕ 5% + 200万円 = 800万円
800万円 ✕ 5,000万円 / 12,000万円 = 3,333,333円

課税長期譲渡所得金額
50,000,000万円 ー 3,333,333円 = 46,666,667円

所得税:46,666,667円 ✕ 15% = 7,000,000円
復興特別所得税額:7,000,000円 ✕ 2.1% = 147,000円
所得税、復興特別所得税額合計額 7,147,000円
住民税:46,666,667円 ✕ 5% = 2,333,333円
100円未満を切り捨て2,333,300円

合計額:9,480,300円

解説1


土地、建物の譲渡所得の計算は下記により計算します。

土地建物の課税譲渡所得金額
= 譲渡価額 ー 必要経費(取得費、譲渡費用) ー 特別控除額

取得費が不明の場合は、譲渡価額✕5%で計上します。
「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」により特別控除額に3,000万円を計上します。

「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」により税率は下記のとおりになります。

課税譲渡所得金額
6,000万円以下
課税譲渡所得金額
6,000万円
所得税10%15%
復興税0.21%0.315%
住民税4%5%
合 計14.21%20.315%


「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」の概要は以下のとおりです。

項 目内    容
買換え特例・売却資産額≦買換資産額
全額課税繰り延べ(次年に先送り)
・売却資産額>買換資産額
買換資産相当額課税繰り延べ(後年に先送り)
売却資産額ー買換資産額ー費用に課税
必要経費は(譲渡価額ー繰り延べ額)/譲渡価額で按分
所有期間10年超(譲渡または取り壊した日の属する年の1月1日現在で)
※土地、建物とも10年超であること
居住期間10年以上
譲渡先配偶者、直系血族、生計を一にする親族などでないこと
その他適用要件・居住用建物、土地の所有権、賃借権の売却
・売却額は1億円以下であること
・非居住日から3年目の12月31日までに売却
・買換用の建物は床面積50㎡以上
・買換用の土地の面積は500㎡以内
・「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と重複不可
・「特定居住用財産の買換の特定」と重複不可
・「住宅ローン控除」と重複不可

譲渡資産額>買換資産額なので、買換資産相当額課税繰り延べできます。
つまり当年の収入から除くことができます。

取得費が不明の場合は、譲渡価額✕5%で計上します。

必要経費は(譲渡価額ー繰り延べ額)/譲渡価額で按分します。

税率は20年前に取得していることから、長期譲渡所得の税率になります。
所得税は15%、復興特別所得税は所得税額の2.1%、住民税は5%です。

問題2

問2

下記資料に基づき、事業用資産である土地を譲渡し新たに買換資産を取得して、「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」の適用を受けた。
この場合の譲渡所得の金額に係る所得税額および復興特別所得税額、住民税額の合計額はいくらか。
なお、課税の繰延割合は80%であるものとする。
解答に当たっては計算過程 を示し、解答は100円未満を切り捨てて円単位とすること。

資料
  • 譲渡資産は15年前に相続により取得
  • 譲渡資産の譲渡価額 6,000万円
  • 譲渡資産の取得費  不明
  • 譲渡費用      200万円
  • 買換資産の取得価額 4,000万円

解答2

収入:6,000万円 ー 4,000万円 ✕ 80% = 2,800万円
費用:6,000万円 ✕ 5% + 300万円 = 600万円
   600万円 ✕ 2,800万円 / 6,000万円 = 280万円

課税長期譲渡所得金額
2,800万円 ー 280万円 =2,520万円

所得税:2,520万円 ✕ 15% = 3,780,000円
復興特別所得税額:3,780,000円 ✕ 2.1% = 79,380円
所得税、復興特別所得税額合計額 3,859,380円
3,859,300 円(100 円未満切捨て)
住民税:2,520万円 ✕ 5% = 1,260,000円

合計額:5,119,300円

解説2

土地、建物の譲渡所得の計算は下記により計算します。

土地建物の課税譲渡所得金額
= 譲渡価額 ー 必要経費(取得費、譲渡費用) ー 特別控除額

取得費が不明の場合は、譲渡価額✕5%で計上します。
特別控除は該当がありません。

繰り延べ額は譲渡価額と買換え価額の低い方の金額の80%で、課税対象外のため収入から除きます。
必要経費は(譲渡価額ー繰り延べ額)/譲渡価額で按分します。


「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」の概要は以下のとおりです。

項 目内    容
対 象個人(法人は該当しません)
買換え特例譲渡価額と買換え価額の低い方の金額の70%〜80%課税繰り延べ(次年に先送り)
必要経費は(譲渡価額ー繰り延べ額)/譲渡価額で按分
所有期間10年超
その他適用要件・買換資産を取得してから1年以内に事業の用に供すること
・譲渡資産、買換資産とも事業用であること
・買換資産が土地の場合、譲渡資産の5倍以内の部分まで適用
・買換資産が土地の場合、面積は300㎡以上(建物、設備には制限なし)

問題3

問3

下記資料に基づき、自宅(建物)と土地を譲渡し、「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(相続税の取得費加算の特例)」「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」の適用を受けた。
この場合の譲渡所得の金額に係る所得税額および復興特別所得税額、住民税額の合計額はいくらか。
解答に当たっては計算過程 を示し、解答は100円未満を切り捨てて円単位とすること。

資料
  • 譲渡資産は2年前に相続により取得
  • 譲渡資産の譲渡価額 8,000万円
  • 譲渡資産の取得費  不明
  • 譲渡費用      200万円
  • 相続税評価額    4,000万円
  • 相続税の課税価格  7,800万円(債務控除200万円を控除した後の金額)
  • 納付相続税額    700万円

解答3

収入:8,000万円
費用:8,000万円 ✕ 5% + 200万円 = 600万円

取得費加算:350万円
=相続税額 ✕ (譲渡資産の相続税評価額 / (相続税の課税価格+債務控除額) )
=700万円 ✕ (4,000万円 / (7,800万円 + 200万円))
=350万円

特別控除:3,000万円

課税長期譲渡所得金額
8,000万円 ー 600万円 ー 350万円 ー 3,000万円 = 4,050万円

所得税:4,050万円 ✕ 10% = 4,050,000円
復興特別所得税額:4,050,000円 ✕ 2.1% = 85,050円
所得税、復興特別所得税額合計額 4,135,050円
4,135,000 円(100 円未満切捨て)
住民税:4,050万円 ✕ 4% = 1,620,000円

合計額:5,755,000円

解説3

土地、建物の譲渡所得の計算は下記により計算します。
今回は「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(相続税の取得費加算の特例)」を適用するので取得費加算額が入っていることに気をつけて下さい。

土地建物の課税譲渡所得金額
= 譲渡価額 ー 必要経費(取得費、譲渡費用) ー 取得費加算額 ー 特別控除額

取得費が不明の場合は、譲渡価額✕5%で計上します。
特別控除は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」の3,000万円を計上します。

「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(相続税の取得費加算の特例)」の概要は下記のとおりです。

項 目内    容
対象者相続や遺贈により財産を取得して相続税が課せられている者
取得費加算額相続税額×(譲渡資産の相続税評価額/(相続税の課税価格+債務控除額))
譲渡期日相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡
その他適用要件小規模宅地の特例を適用していた場合には、特例適用後の評価額になる

「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」により税率は下記のとおりになります。

課税譲渡所得金額
6,000万円以下
課税譲渡所得金額
6,000万円
所得税10%15%
復興税0.21%0.315%
住民税4%5%
合 計14.21%20.315%

問題4

問4

下記資料に基づき、事業用資産である土地を譲渡し新たに買換資産を取得して、「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」の適用を受けた。
この場合の譲渡所得の金額に係る所得税額および復興特別所得税額、住民税額の合計額はいくらか。
なお、課税の繰延割合は80%であるものとする。
解答に当たっては計算過程 を示し、解答は100円未満を切り捨てて円単位とすること。

資料

○ 交換譲渡資産

  • 交換譲渡資産      所有権
  • 交換譲渡資産の取得費  不明
  • 交換費用        200万円
  • 交換譲渡資産の時価   5,000万円(交換時)

○ 交換取得資産

  • 交換取得資産      所有権
  • 交換取得資産の時価   4,500万円(交換時)

○ 交換差金

  • 交換差金        500万円

解答4

収入:交換差金500万円
費用:5,000万円 ✕ 5% + 200万円 ✕50%= 350万円
   350万円 ✕ 500万円 / (4,500万円+500万円) = 35万円

課税長期譲渡所得金額
500万円 ー 35万円 =465万円

所得税:465万円 ✕ 15% = 697,500 円
復興特別所得税額:697,500 円 ✕ 2.1% = 14,647.5円
所得税、復興特別所得税額合計額 712,147.5円
712,100 円(100 円未満切捨て)
住民税:465万円 ✕ 5% = 232,500円

合計額:944,600円

解説4

土地、建物の譲渡所得の計算は下記により計算します。

土地建物の課税譲渡所得金額
= 譲渡価額 ー 必要経費(取得費、譲渡費用) ー 特別控除額

収入は交換ですから、交換譲渡資産の時価ではなく、交換差金になります。

取得費が不明の場合は、譲渡価額✕5%で計上します。
譲渡費用で譲渡と取得の費用区分が不明な場合は、2分の1ずつに按分

必要経費は交換差金/(交換取得資産の時価+交換差金)で按分します。

特別控除は該当がありません。

「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」の概要は以下のとおりです。

項 目内    容
交換特例全額課税繰り延べ(後年に先送り)
必要経費は交換差金/(交換取得資産の時価+交換差金)で按分
所有期間双方が1年以上所有していること
譲渡先個人間の同一用途、種類の物件交換であること
その他適用要件・交換時の価格差が20%以内であること
・売った資産と同じ種類の資産を買い換えること
・譲渡費用で譲渡と取得の費用区分が不明な場合は、2分の1ずつに按分

まとめ

解法手順

  1. 譲渡価額、 必要経費、取得費加算額、特別控除額を計上
  2. 繰延額、交換額等を考慮(全額繰延できない場合に注意)
  3. 交換で譲渡費用で譲渡と取得の費用区分が不明な場合は、2分の1ずつに按分
  4. 必要経費は(譲渡価額ー繰り延べ額)/譲渡価額で按分
  5. 取得費加算額=相続税額×(譲渡資産の相続税評価額/(相続税の課税価格+債務控除額))

コメント