ファイナンシャル・プランニング(FP)技能検定1級【応用編】不動産の譲渡所得

FP

しひろです。
今回はFP1級技能検定の「不動産」から「不動産の譲渡所得」についてです。
過去12回の検定試験で毎回出題されています。

所得金額を減額する控除、税率を軽減する、後年に税金を繰延する各種の特例があります。
この特例はどれかが必ず出題されます。

表にすると下記のとおりになります。

試験実施年月
2021.1
2020.9
2020.1
2019.9
2019.5
2019.1
2018.9
2018.1
2017.9
2017.1
2016.9
2016.1

① マイホームの譲渡(居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例)
② 空き家の譲渡(被相続人の空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例)
③ 収用等による譲渡(収用等の場合の譲渡の特例)
④ 相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例
⑤ 居住用財産の軽減税率の特例
⑥ 特定の居住用財産の買換の特例
⑦ マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
⑧ 収用等で代替資産を取得した場合の特例
⑨ 固定資産の交換特例
⑩ 特定事業用資産の買換え特例

① 「マイホームの譲渡(居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例)」と⑤ 「居住用財産の軽減税率の特例」が最も多く、5回出題されています。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

所得金額の算出式

土地建物の課税譲渡所得金額
= 譲渡価額 ー 必要経費(取得費、譲渡費用) ー 特別控除額

  • 譲渡価額
    ・一般的には土地建物を売ったことによって得た金額です。
  • 取得費
    ・対象土地建物の購入当時の代金、建築費、購入手数料、修繕費などです。
    ・ただし建物の購入費や建築費は所有期間中の減価償却費相当額を除いた金額です。
    ・取得費が不明な場合は、収入金額の5%相当額を取得費とします。
    ・取得費が収入金額の5%未満の場合でも、収入金額の5%相当額を取得費にできます。
  • 譲渡費用
    ・売るために直接かかった仲介手数料、負担した印紙税、賃借人に支払った立ち退き料等
    ・直接でない修繕費や維持管理費用などは対象外
  • 特別控除額
    ・マイホームの譲渡
    ・空き家の譲渡
    ・収用等による譲渡

税額の計算

税額 = 土地建物の課税譲渡所得金額 ✕ 税率

短期譲渡所得長期譲渡所得
所得税30%15%
復興税0.63%0.315%
住民税9%5%
合 計39.63%20.315%

譲渡まで所有していた期間によって税率が変わります。
長期は譲渡年の1月1日現在で5年を超える場合です。短期は5年以下の場合です。

ちょうど5年の場合は短期譲渡所得になります。

復興税は所得税額の2.1%です。
15 ✕ 2.1% = 0.315%

特別控除

マイホームの譲渡(居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例)

項 目内    容
控除額譲渡価額から3,000万円控除(夫婦共有名義の財産であれば6,000万円控除)
所有期間制限なし(短期、長期の制限なし)
居住期間制限なし
譲渡先配偶者、直系血族、生計を一にする親族、特別の関係者(内縁者を含み、離婚者は含まない)でないこと
その他適用要件・居住用建物、土地の所有権、賃借権の売却
・非居住日から3年目の12月31日までに売却
・前年・前々年にこの特例を受けていない
・「居住用財産の軽減税率の特例」と重複可
・「特定居住用財産の買換の特例」と重複不可
・「住宅ローン控除」と重複不可

3,000万円も控除されたうえに、所有期間、居住期間に制限がありません。
以下に税制面からの住宅に対する支援が厚いかよくわかります。

空き家の譲渡(被相続人の空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例)

項 目内    容
控除額譲渡価額から3,000万円控除
所有期間制限なし(短期、長期の制限なし)
居住期間制限なし
建築時期昭和56年5月31日以前に建築されていること
譲渡先配偶者、直系血族、生計を一にする親族などでないこと
その他適用要件被相続人の居住用建物、土地の所有権、賃借権の売却
・被相続人以外住んでいなかったこと
・相続開始から3年目の12月31日までに売却
・一定の耐震基準を満たす建物を譲渡すること
・売却代金が1億円以下であること

収用等による譲渡(収用等の場合の譲渡の特例)

項 目内    容
控除額譲渡価額から5,000万円控除
所有期間制限なし(短期、長期の制限なし)
譲渡先収用事業者(国、地方公共団体など)
その他適用要件・収用事業による建物、土地の所有権、賃借権の売却
・買取の申し出があった日から6ヶ月内の譲渡であること
・同一の収用事業が複数年に実施される場合は、初年度の譲渡のみ対象

相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例

項 目内    容
対象者相続や遺贈により財産を取得して相続税が課せられている者
取得費加算額相続税額×(譲渡資産の相続税評価額/(相続税の課税価格+債務控除額))
譲渡期日相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡
その他適用要件小規模宅地の特例を適用していた場合には、特例適用後の評価額になる

税率の特例

居住用財産の軽減税率の特例

項 目内    容
税率下記のとおり
所有期間10年超の居住用財産
居住期間制限なし
譲渡先配偶者、直系血族、生計を一にする親族などないこと
その他適用要件・居住用建物、土地の所有権、賃借権の売却
・非居住日から3年目の12月31日までに売却
・前年・前々年にこの特例を受けていない
・「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と重複可
・「特定居住用財産の買換の特例」と重複不可
・「住宅ローン控除」と重複不可
課税譲渡所得金額
6,000万円以下
課税譲渡所得金額
6,000万円
所得税10%15%
復興税0.21%0.315%
住民税4%5%
合 計14.21%20.315%

買換の特例

特定の居住用財産の買換の特例

項 目内    容
買換え特例・売却資産額≦買換資産額
全額課税繰り延べ(後年に先送り)
・売却資産額>買換資産額
買換資産相当額課税繰り延べ(次年に先送り)
売却資産額ー買換資産額ー費用に課税
必要経費は(譲渡価額ー繰り延べ額)/譲渡価額で按分
所有期間10年超(譲渡または取り壊した日の属する年の1月1日現在で)
※土地、建物とも10年超であること
居住期間10年以上
譲渡先配偶者、直系血族、生計を一にする親族などでないこと
その他適用要件・居住用建物、土地の所有権、賃借権の売却
・売却額は1億円以下であること
・非居住日から3年目の12月31日までに売却
・買換用の建物は床面積50㎡以上
・買換用の土地の面積は500㎡以内
・「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と重複不可
・「特定居住用財産の買換の特定」と重複不可
・「住宅ローン控除」と重複不可

マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

マイホーム(居住用財産)を買い換えて譲渡損失が生じた場合、以下の要件を満たせば損益通算や繰越控除ができる。

条件

  • 非居住用になってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること。
  • 譲渡用の建物の床面積には制限がない
  • 譲渡用の土地の面積は500㎡以下(500㎡までは適用できる)
  • 買換用の建物は床面積50㎡以上
  • 買換用の土地の面積には制限がない
  • 住宅ローンを利用すること
  • 合計所得金額が3,000万円に以下であること

収用等で代替資産を取得した場合の特例

項 目内    容
買換え特例全額課税繰り延べ(後年に先送り)
必要経費は(譲渡価額ー繰り延べ額)/譲渡価額で按分
所有期間制限なし(短期、長期の制限なし)
譲渡先収用事業者(国、地方公共団体など)
その他適用要件・収用事業による建物、土地の所有権、賃借権の売却
・売った資産と同じ種類の資産を代替取得こと
・2年以内に代替資産を取得すること
・同一の収用事業が複数年に実施される場合は、初年度の譲渡のみ対象

固定資産の交換特例

項 目内    容
交換特例全額課税繰り延べ(後年に先送り)
必要経費は(譲渡価額ー繰り延べ額)/譲渡価額で按分
所有期間双方が1年以上所有していること
譲渡先個人間の同一用途、種類の物件交換であること
その他適用要件・交換時の価格差が20%以内であること
・売った資産と同じ種類の資産を買い換えること
・譲渡費用で譲渡と取得の費用区分が不明な場合は、2分の1ずつに按分

特定事業用資産の買換え特例

項 目内    容
対 象個人(法人は該当しません)
買換え特例譲渡価額と買換え価額の低い方の金額の70%〜80%課税繰り延べ(後年に先送り)
必要経費は(譲渡価額ー繰り延べ額)/譲渡価額で按分
所有期間10年超
その他適用要件・買換資産を取得してから1年以内に事業の用に供すること
・譲渡資産、買換資産とも事業用であること
・買換資産が土地の場合、譲渡資産の5倍以内の部分まで適用
・買換資産が土地の場合、面積は300㎡以上(建物、設備には制限なし)

まとめ

土地建物の課税譲渡所得金額
= 譲渡価額 ー 必要経費(取得費、譲渡費用) ー 特別控除額

税額 = 土地建物の課税譲渡所得金額 ✕ 税率

短期譲渡所得長期譲渡所得課税譲渡所得金額
6,000万円以下
所得税30%15%10%
復興税0.63%0.315%0.21%
住民税9%5%4%
合 計39.63%20.315%14.21%

「課税譲渡所得金額6,000万円以下」は居住用財産の軽減税率の特例の適用を受けた場合の税率です。
居住用財産の軽減税率の特例の適用を受けた「課税譲渡所得金額6,000万円超」は「長期譲渡所得」の税率になります。

コメント