【書評】『ブロックチェーンでできる30のこと』

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「ブロックチェーン」=「ビットコイン」=「仮想通貨」で、なんか怪しいと思っていませんか?
確かに「ブロックチェーン」は「ビットコイン」のための主要技術の1つですが、金融のためだけの技術ではありません。

高いセキュリティが必要なシステムには欠かせない技術の1つになってきています。

著者は「ブロックチェーン」を使った30の応用システムを示して、近い将来になくてはならない技術であると強調しています。

できるだけ専門用語を使わず平易に書かれています。「ブロックチェーン」の最初の1歩、入門書としては最適な本です。

目次

本の基本情報

書 名 『ブロックチェーンでできる30のこと』
著 者 瀧澤 龍哉
発行所 株式会社幻冬舎メディアコンサルティング
発行日 2021年9月15日

著者紹介

著 者 瀧澤 龍哉(たきざわ たつや)

1993年1月21日生まれ。
日本の実業家、投資家。
日本語と英語のバイリンガルで、海外ならびにアーティスト活動の際はTJayの名称で活動。TheotexGroupHD株式会社会長、PlatinumEgg株式会社取締役会長。

本の目次

はじめに
自己紹介
ブロックチェーンって何?
第一章:電子上取引やプラットフォーム
第二章:電子上での証明や管理
第三章:アート、商品等
あとがき
用語集

概要

ブロックチェーンって何?

ブロックチェーンとは「取引の信頼性を技術そのものに委ねることができる技術」

ブロックとブロックは、数学的な整合性をもってつなぎ合わせられているため、もし、ブロックの中身を改ざんすると、その整合性がとれなくなってしまう。

ブロックチェーンは同じデータを複数のノード(システムを構成するコンピューターのこと)で管理するようになっている。

今までのシステムと違って、中央管理者がいるわけではない。

取引の不正にはどう対処するのか、それは、みんなでブロックチェーンを管理しているから、取引の検証もみんなでやるということだ。

ブロックチェーンは改ざんすることができない。このため、ブロックチェーン上に刻まれている取引条件に従って相手と取引をすれば、結果的に相手を信頼する必要がなくなるということだ。

「ブロックチェーン」の定義と特徴について記載された箇所を多めに引用してみました。

以下、私なりにブロックチェーンについてまとめてみました。

今までのシステムでは管理者の権限で規則やルールと技術とセットで、セキュリティを確保しています。
「ブロックチェーン」ではデジタル技術と多数の人で管理することでセキュリティを確保します。
そのため中央管理者の一存で規則が変更されたり、取引済みのデータを事後に改ざんされたりすることができないことになっています。

簡単に言うと管理者やユーザがあるものをなかったことにすることやなかったことをあることにすることを技術的に防止するシステムです。

だからビットコインのような金融だけではなく、セキュリティを確保できて、信頼性が求められるシステムに向いていることになります。

気になる技術をピックアップ

30+おまけ1の技術テーマが紹介されています。その中で私が気になった4つについて簡単に紹介します。

選挙・投票

日本の選挙投票はどこでも紙で行われている。膨大な人員と経費をかけている。
つくづくなんとかならないものかと思っている。

現在、個人の認証、なりすましを人的に防止していたものを、「ブロックチェーン」を活用することによって、デジタル技術によって防止できるようになります。

選挙は被選挙人全員が対象になるため、デジタルリテラシー等解決しなければいけない問題があるため、「ブロックチェーン」技術を導入したからといって、すぐにはネット選挙ができるわけではないが、まずは一歩前進であるとして期待していきたい。

アート作品の流通・評価

美術作品が本物なのか?と、作品の所有者の履歴がはっきりしないという問題があります。

証明書により本物であることを担保する制度にはなっているが、改ざんが容易であったり、証明書そのものを改ざんされたりすることがあるそうです。

ブロックチェーン技術を使うと以下のようになるという。
作者がシステム上で証明書を発行する。
作品が売れたり所有者が変更したりすると、ブロックチェーン上に新たな所有者情報が記入される。
新たな所有者はQRコードで自分が所有者であることや作者や今までの所有者を確認することができる。

デジタルアートにも対応できるという。

著作権保護

音楽はアーティストだけでなく作曲者、作詞者など共同で作成するため権利関係が複雑で透明性に欠けていると言われています。

共同作成者の合意のもと著作権情報をブロックチェーン上に記載していきます。
これにより著作権管理が容易になり透明性が高くなります。

また音楽業界は1社で業界全体を管理することが困難です。その点ブロックチェーンを使えば分散して管理することができ、業界の体質にも合ったものになります。

音楽は不特定多数が利用しますが、ブロックチェーンを使うと信頼性を保つことができます。無断コピーができないということです。

医療製品の追跡

世界には医療機器の偽造品を作っている者がいるという。
粗悪な医療機器やまがい物は患者の命に関わることで看過できない問題である。

ブロックチェーンにより医療機器の追跡ができるようになる。
また共通のブロックチェーン上なので情報の漏れがしょうじなくなる。

患者の医療情報もブロックチェーンで扱えるようになってくる。

最後に

ブロックチェーンはバックエンドな技術のため表面上をブロックチェーン技術がつかわれているとはわかりません。

わからないから、見えないからといってブロックチェーンを甘く見てはいけません。
近い将来、信頼性の確保のために社会生活の隅々まで、縁の下の力持ちとして我々を差支えてくれるでしょう。

最後に著者の瀧澤 龍哉 様、ブロックチェーンという技術的でアプローチの仕方によって専門的になってしまって、取っ付きにくいテーマを、30の具体的な事例を使ってブロックチェーン初心者にわかりやすく説明していたただきありがとうございました。非常に参考になりました。

続編が発行されることを期待しております。ますますの活躍をご祈念申し上げます。

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