60歳を過ぎて「死」について意識するようになってきて、死んだらどうなるのか?
この疑問に答える書物を探してきました。
いろいろな本を読んでみても、今一この疑問に答えるものには巡り合えませんでした。
その中で今回取り上げた「死んだ後には続きがあるのか-臨死体験と意識の科学最前線-」は明確な答えはないものの、大きなヒントになる1冊です。
私と同様の疑問を持っている方の参考になれば幸いです。
本の基本情報
書 名 『死んだ後には続きがあるのか』
-臨死体験と意識の科学最前線-
著 者 エリコ・ロウ
発行所 株式会社 扶桑社
発行日 2016年10月25日
著者紹介
エリコ・ロウ Eriko Rowe
ジャーナリスト、 ドキュメンタリー・プロデューサー、 バイオ・エネルギー・トレーナー
米国シアトル在住
NHKの報道番組の北米取材、東京新聞特報欄、アエラなどの取材や著作活動を通じ、欧米の最先端医療から先住民族の癒やしまで、古今の 医療の科学性 を長年にわたり追求
同時に欧米の科学者がその効果を認める世界の伝統療法や道家気功、エネルギー・ヒーリングや超能力開発法を実践で学んできた。
著書に『 アメリカ・インディアンの書物よりも賢い言葉』、『聖なる旅の教え』、( 扶桑社)、『 誰もが知りたい上手な死に方、死なせ方』( 講談社)、 太ったインディアンの警告』( NHK出版)などがある。
本の目次
プロローグ
第1章 実話が語る、世にも不思議な臨死体験
第2章 臨死体験は誰に、どう起きるのか?
第3章 臨死体験の謎に挑んできた科学者たち
第4章 臨死体験は夢や幻想の記憶ではないのか?
第5章 魂の存在は証明できるのか?
第6章 死後の世界と意識の正体、宇宙の関係
第7章 臨死体験した人はその後どうなるのか?
第8章 人の意識は肉体を超えられる
エピローグ
臨死体験とは
私は無神論者です。死んだら肉体も意識もすべてなくなると思っています。
死後の世界があるとはどうしても考えられませんでしたが、本書を読み進めていくうちに、多くの臨死体験の実話を聞いて、肉体はなくなっても、意識は死んでもなくならないかも?? ?です。
その臨死体験とは死んだとみなされた人が生きかえったときの体験です。
その体験談は共通していることが多く、現実離れしている話が多くあります。
臨死体験の共通事項
臨死体験の事例には共通事項があり、主だったものを上げると下記のとおりです。
- 苦悩や苦痛がなくなり、幸福感で充実する。
- 「体外離脱」する。
「体外離脱」とは意識が肉体を離れて、視点が上空に位置するようになること - トンネル(川)があり、そこを抜けるとクリアで光り輝くお花畑の別世界にたどり着く。
- 過去に亡くなった家族・親族・友人と再会する。(お迎え現象)
- 神々しい存在(神様)に出会う。
- 生前の人生を顧みて、生前の自分が自己中心であったことを反省する。(ライフビュー)
- 人生で最も大切なものは他人愛だと悟る。
- 生前の世界へ戻るよう強要される。
- 生前の世界へ戻ることを決意すると、一瞬で自分の肉体に意識が戻る。(生き返っている)
臨死体験の超現実的な事項
臨死体験中は現実では考えられないことができてしまう。具体的には下記のような事項が語られている。
- 肉体と意識が分離して透明人間のようになり、どこでもすり抜けることができる。
- 瞬間移動ができる。
- 話しかけても生きている人には聞こえない。
- 生きている人の心の中がわかる。
- 肉体がないためか、生前の病気、けがは全くなくなっている。
- 故人と話をすることができる。
臨死体験の2つの立場
大まかに言って臨死体験による記憶は脳内でおこっている幻想であるいう説と、脳から分離して意識が存在したのだとする説があります。
幻想説は意識が肉体から分離することを否定する立場で、意識分離説は字のごとく、分離することを肯定する立場です。
科学的なアプローチ
グレイソン指数
死後体験がどれだけ深みのある事例であるかを判断する指標としてバージニア大学のブルース・グレイソン博士によるグレイソン指数が考案された。
研究対象を特定するための手法ということです。
以下の16の質問をして、1問当たりの解答を0~2点を付け、合計点数が高いほど深みのある事例とした。
具体的には7年未満は研究対象外とした。
- 時間の経過が速くなった、または、遅くなったように感じましたか?
- あなたの思考のスピードは速まり ましたか?
- それまでの人生の断片を思い出しましたか?
- 突然すべてが理解できたように感じましたか?
- 安らかな気分、または心地よい気分でしたか?
- 喜びを感じましたか?
- 宇宙との調和や一体感を感じましたか?
- 眩しい光を見ましたか?または眩しい光に囲まれましたか?
- 感覚がいつもより研ぎすまされていましたか?
- 未来に起こる出来事の断片を見ましたか?
- 超能力で透視するように遠くの出来事が認知できましたか?
- 自分の意識が体から離れたように感じ まし た か?
- この世とは別の世界、現実の世界でないあの世に行きましたか?
- 神秘的な存在に出会ったり、誰だか分からない声を聞きましたか?
- 過去に亡くなった故人または、宗教で描かれるような存在に出会いましたか?
- その先に行ったら戻れない境に着きましたか?
インターネットサイト
ルイジアナ州の放射線ガン科医のジェフリー・ロング博士は多くの臨死体験を一般公開することで、交流と情報交換の場として臨死体験研究財団(NDERF)を設立して、体験談を投稿できるサイトを作った。
臨死体験研究財団(NDERF) のサイトには「世界中から4900以上の経験があり、多くの言語に翻訳されています。」とあります。
体外離脱現象解明のために
2002年にスイス連邦工科大学ローザンヌ校のオラフ・フランケ博士が「脳への電磁波への刺激によって、体外離脱現象が偶然に発生した」と発表した。
脳の「角回」という部位を刺激すると、患者が「天井近くまで体が浮上し、自分の姿を見た」と語った。
これをもって 体外離脱現象が解明されたとは簡単には結論づけられない。
今でも体外離脱や死後の世界の存在を、完全に肯定も否定もできないのが現状です。
客観収縮理論
オックスフォード大学名誉教授のロジャー・ペンローズ博士とアリゾナ大学教授のスチュワート・ハメロフ博士によって提唱されている意識に関する理論
意識はニューロンを単位として生じてくるのではなく、「微小管」と呼ばれる量子過程が起こりやすい構造から生じるとする理論です。
心肺が停止すると人の意識は 「微小管」 から出ようとします。
心肺が停止直後は、自我意識を残しながら少しづづ外部に拡散すると考えられる。
臨死体験は自我意識を保ちながら、意識が放出されていく(人体離脱)現象である。
外部から蘇生処理がおこなわれると、心肺機能が再稼働することにより、「微小管」も機能回復する。放出された意識も「微小管」の中に戻ってくる。
最後に
最後に著者のエリコ・ロウ様、ともすれば死後や体外離脱の話はオカルト風なってしまうところを、理論的、科学的事例を多数掲載していただき、非常に参考になりました。
まだまだ分からないことだらけです。続編が発行されることを期待しております。
ますますの活躍をご祈念申し上げます。