【書評】『老いてこそ人生』石原慎太郎 著 第二の人生のヒントに

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『太陽の季節』で芥川賞受賞しセンセーショナルに文壇にデビューした著者
政治家を経て、69歳のときに執筆した『老いてこそ人生

いろいろな人物の逸話の紹介を通じて、老いた者のあるべき姿とは何かを説いています。
定年退職した人、老後になにをしていいかわからない人、老後の孤独感に悩んでいる人、だんだん体が動かなく気が滅入っている人等に今後の生き方のヒントになります。

私は今年(2020年)定年退職をむかえ60歳になりました。再就職はせずコツコツとブログを書き始めています。定年後どのような生活を送ればいいか迷っているときに『老いてこそ人生』を読みました。

年とともに老いる体、自分のこととしてはにわかに信じられない死について迷い、悩みがある人等、60代の人に一読おすすめいたします。

目次

本の基本情報

書 名 『老いてこそ人生』
著 者  石原 慎太郎
出版社  幻冬舎
発行日 平成25年7月

著者の紹介

政治家でありながら、執筆活動もおこなっておられます。
芥川賞受賞作品『太陽の季節』を皮切りに、『「NO」と言える日本』『弟』そして今回紹介している『老いてこそ人生』などのベストセラー作品を残しています。

経歴

1932年 兵庫県神戸市に生まれる。
1952年 一橋大学入学
1956年 「太陽の季節」で芥川賞受賞。
1968年 参議院選に当選。
1972年 参議院議員を辞職。衆議院挙に当選。
1976年 環境庁長官に就任。
1987年 運輸大臣に就任。
1995年 議員辞職
1999年 東京都知事選挙に当選
2012年 都知事を辞職
2012年 日本維新の会代表に就任、衆議院議員に当選。
2014年 政治家を引退。

本の概要紹介

序章  老いには、目を据えて立ち向かえ
第1章 人はなぜ走るのか
第2章 肉体への郷愁
第3章 色即是空
第4章 自殺するヒーロー
第5章 耳鳴りのショック
第6章 脳幹のつくる人生の幅
第7章 脳幹の大きな意味
第8章 病気をどう克服するか
第9章 古今、二人の名医
第10章 肉体の神秘
第11章 人生でのあきらめ
第12章 怪我の効用
第13章 健康への責任
第14章 ああ、我が痛みの腰よ
第15章 酒の味
第16章 子供たちのの仲
第17章 離れいく子供たち
第18章 大物たちの晩年
第19章 去っていく友
第20章 二度とかなわぬ夢
第21章 死は忌まわしく、恐ろしい。されども
あとがき

序章では、「老いた今なにをすべきか」と読者に語りかけています。
また「人生そのものの仕上げの一番成熟充実した季節と心得て、そのために何と何をすべきかを考えたらいい」とも言っています。
これらが本書をつうじて著者からの提案です。

本章では、走っている人には気になることですが、30代以降から走るのは老いが動機であると単刀直入に言っています。
一般にはランニングの目的は健康とかダイエットです。老いとバッサリ言うのは芯を突いてますね。
スポーツ関係ではプロ野球の稲尾和久、金田正一、マラソンの円谷幸吉の話があります。

文化芸能関係では作家の三島由紀夫、歌手の淡谷のり子など
政治経済関係では政治家の賀屋興宣、渡辺美智雄、財界人の五島昇などとのつながりについて所述しています。

キーワードのひとつである「色即是空
よくでてくるフレーズとして「死は知っているが信じていない」これは著者が自分に言い聞かせているように聞こえました。
健康には人並み以上に気をつけておられるようです。

老いがあきらめの動機になるとある。これは一般的なわかりやすい例で言うと運転免許返納です。

子供との関係では最後に「4人息子のだれが面倒をみてくれるのだろうか」とつぶやいています。
これは今の世の中だれにでも当てはまる悩みですね。

色即是空・空即是色」つまり在るものは必ず変わる。無常、変わらないものはない。これを信条として死を考えてみようと提案をしています。

感想

60代後半の著者が老い、死と余生のあり方を思索
一読したあとに気になったのが「老い」、「」という言葉が頻出します。
ちなみにKindleの検索で著書のなかで「老い」、「」という言葉の数を調べてみました。
全285ページのなかに老いが198回、死が182回もでてきます。
著者の「老い」と「」に対する思い入れを、これでもかと語っているように感じます。
人はだれでも年を取ると「老い」をつうじて「」を考えざる得ません。
そんな中で著者ならではの考察がいたるところに見えてきます。
同世代の方々には非常に参考になるかと思います。
一読おすすめいたします。

まとめ

「太陽の季節」で芥川賞受賞しセンセーショナルに文壇に登場した著者
政治家を経て、69歳のときに執筆した『老いてこそ人生』

年とともに老いる体、自分のこととしてはにわかに信じられない死について迷い、悩みがある人等、60代の人に一読おすすめいたします。

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