【デジタル終活】デジタル資産の相続、資産情報がまったくわからないときどうする?

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父が急に亡くなりました。
遺言書やエンディングノートなど紙の資料は全く見当たりません。
スマホをよく使っていますが、パスワードが分からずアクセスできません。
スマホで株売買をよくやっていたようですが、詳しいことは全くわかりません。
資産情報が全くわかりません。どうすればいいですか?
助けて下さい。

被相続人のスマホやパソコンにアクセスできれば、資産情報が分かる可能性はかなり高くなります。
パスワードが分からないため、アクセスできなくても
被相続人の銀行通帳を確認
利用が予想される金融機関に問い合わせ
信用保証機関に情報開示
3つで多くの情報がわかると思います。
パスワードがわからないからといって、あきらめないで下さい。

なお、以下の条件で説明しますね。

・遺言書やエンディングノートなど紙の資料がない。
・パソコン、スマホのパスワードがわからない。
・ネット銀行などのサービスのパスワードがわからない。

目次

相続財産

まずは被相続人(死亡者)の資産を、はっきりしておくことが重要です。

相続の対象になる財産とはお金(円)に換算できる全ての財産です。
平たく言えば価値のあるもの全てです。

一般的には現金、預金、土地、建物、借地権、株式、債権、自動車、家具、貴金属、貸付金などです。
デジタルならではの資産として、電子マネー、暗号資産があります。

本来の相続財産ではないが相続税法上の相続財産があります。これをみなし相続財産といいます。
具体的には生命保険金、死亡退職金です。

その他相続税法上の相続財産があるのですが、本題から逸れますので詳しくは下記の記事を参考にして下さい。

デジタル資産の調査方法

まずはデジタル資産がどこの機関やサービスにあるかを把握することです。
以下のような方法があります。

  1. カード
  2. 銀行の通帳
  3. 郵便物
  4. 実施機関に問い合わせ
  5. エクセルファイル
  6. 確定申告書
  7. 履歴・ブックマーク
  8. スマホのアプリ
  9. パスワード管理アプリ
  10. メール
  11. 信用情報機関
  12. ほふり

❺ ❼ ❽ ❾ ❿ は被相続人所有のパソコンやスマホにアクセスしないと使えません。
次にアクセスする方法と手順を説明します。

デジタル機器にアクセスできるようにする

デジタル資産を確認するには、デジタル機器にアクセスする必要があります。
相続人のパソコンやスマホを見る時に必要なのがパスワードです。

パソコンやスマホは相続財産の1つになりますので、法定相続人であれば、パスワードをパソコンやスマホの中身をみることはできます。

後のトラブルを避けるために、複数の法定相続人がいる場合は他の法定相続人の承認を得てアクセスすることは必須です。

法定相続人

民法第900条に定められています。
被相続人(死亡者)の配偶者は常に相続人となります。
優先順位上位の者がいれば下位の者は法定相続人にはなれません。

  • 第1順位:子
  • 第2順位:直系尊属(父母、祖父祖母)
  • 第3順位:兄弟姉妹

例えば

配偶者だけで子、父母、兄弟姉妹がいなければ、法定相続人は配偶者だけ

配偶者と子がいれば、法定相続人は配偶者と子

配偶者と直系尊属がいて子がいなければ、法定相続人は配偶者と直系尊属

配偶者と兄弟姉妹がいて子、直系尊属がいなければ、法定相続人は配偶者と兄弟姉妹

配偶者がおらず子がいれば、法定相続人は子配偶者、子がおらず直系尊属がいれば、法定相続人は直系尊属

配偶者、子、直系尊属がおらず兄弟姉妹がいれば、法定相続人は兄弟姉妹

【パスワードの確認手順】

  1. 配偶者・親族にパスワードを知らないか確認する。
  2. パスワードを推測する。
  3. IDがわかる場合のアクセス方法
  4. 初期化してバックアップファイルをインストール方法
  5. その他

❶ ❷ は親族が集まっているところで確認して下さい。要らぬ誤解を招かないためです。

それからスマホがiPhoneの場合はパスワードを10回間違うとロックがかかりますので慎重に行って下さい。

デジタル機器に詳しい親族に任せるのもいいかもしれません。

❸ ❹ ❺ については以下の記事を参考にして下さい。

サービスごとのデジタル資産の調査方法と具体的な機関(サービス)

財産がある機関やサービスが分かって、その財産が相続できる財産であれば、機関やサービスは財産額を通知してくれます。
取りあえずは相続財産がある機関やサービスを見つけることです。

機関やサービス名だけでなく、財産額も自力で見つけたいところですが、見つからなくてもなんとかなります。
財産がある機関やサービスを見つけることに全力を尽くして下さい。

ネット銀行

【キャッシュカード】
キャッシュカードがあるネット銀行とないネット銀行があります。
キャッシュカードは、財布や別銀行の通帳と保管場所に一緒にあることが多いです。

【他行の通帳】
ネット銀行からリアル銀行へ送金していないか確認して下さい。
確認できればネット銀行の名称名がわかります。

【郵便物】
本人確認のために最初は郵便物が、登録住所に送られてくる場合があります。

【各金融機関に問い合わせ】
使っている可能性があるネット銀行に問い合わせてみるのも手です。

主なネット銀行

  • 楽天銀行
  • ソニー銀行
  • オリックス銀行
  • 東京スター銀行
  • GMOあおぞらネット銀行
  • SBJ銀行
  • 住信SBIネット銀行
  • PayPay銀行
  • イオン銀行
  • Auじぶん銀行
  • セブン銀行

【エクセルファイル】
エクセルなどの表計算アプリで財産リストを作っている場合があります。
パソコンやスマホで”財産”、”資産”、”預金”などのワードでファイルを検索してみましょう。

【確定申告書】
所得税の確定申告をしていれば、控えを保存している場合があります。
また、所得税の申告のための証拠書類として収支明細などがあるかもしれません。

【履歴・ブックマーク】
Chrome、Safari、 Edgeなどのブラウザの履歴やブックマークにネット銀行のURLが登録されている場合があります。

【スマホのアプリ】
スマホに銀行のアプリがあるか確認して下さい。
パスワード管理アプリがあると芋づる式に見つけることができます。詳しくはここを見て下さい。

【メール】
パソコンやスマホのメールアプリ、ブラウザのメールの受信ボックスを確認して下さい。
ネット銀行からメールが送信されているかもしれません。

念のためにゴミ箱や迷惑メールボックスも確認して下さい。
ただしゴミ箱は一定期間が過ぎると自動的に削除されます。

【信用保証機関】
信用情報機関にCIC、JICC、全国銀行個人信用情報センター(KSC)があります。
詳細はここを見て下さい。

ネット証券

【銀行の通帳】
株式や投資信託を購入するには資金が必要です。
また株式や投資信託を売却しているかもしれません。
そのような場合、銀行口座に入出金の形跡が残っているはずです。
調べてみて下さい。

【各証券会社に問い合わせ】
使っている可能性があるネット証券に問い合わせてみましょう。

主なネット証券

  • SBI証券
  • 楽天証券
  • LINE証券
  • マネックス証券
  • SBIネオトレード証券
  • DMM.com証券(DMM 株)
  • GMOクリック証券
  • auカブコム証券
  • PayPay証券
  • 松井証券
  • SMBC日興証券
  • 野村證券
  • 大和証券

店舗を持っている証券会社もネットでの取引ができるところがほとんどです。
見落とさないように注意しましょう。

【エクセルファイル】
【確定申告書】
【履歴・ブックマーク】
【スマホのアプリ】
【メール】
【信用保証機関】
銀行と同じです。

証券保管振替機構(ほふり)
証券会社から預託された株式や投資信託などを保管している。
名義変更、売買受渡、株主通知などの業務をおこなっている。

また、亡くなった人の株式などの口座開設情報を提供しています。
詳しくは以下を確認下さい。

ネット保険

【銀行の通帳】
保険料の支払いが通帳に記帳されているかもしれません。

【各保険会社に問い合わせ】
ネット銀行と同じで、使っている可能性があるネット保険に問い合わせてみましょう。

主なネット保険

主なネット保険

  • SBI生命
  • ライフネット生命
  • オリックス生命
  • 楽天生命
  • アクサダイレクト生命
  • チューリッヒ生命
  • メディケア生命
  • メットライフ生命
  • ソニー生命
  • SOMPOひまわり生命

【エクセルファイル】
【確定申告書】
【履歴・ブックマーク】
【スマホのアプリ】
【メール】
銀行に同じです。

電子マネー

電子マネーは電子決済サービス、QRコード決済サービス、キャッシュレス決済サービスともいわれています。

電子マネーは現金をデータ化することによって、現金を扱わなくても決済をすることができるサービスです。

【銀行の通帳、クレジットカード使用明細】
電子マネーを使用するには、電子マネーのウオレットにお金をチャージ(入金)する必要があります。
現金でもチャージできますが、銀行口座やクレジットカードからのチャージも可能です。

銀行口座やクレジットカードからのチャージであれば通帳やクレジットカード使用明細書に取引状況が残っている可能性があります。

【カード】
電子マネーではないのですが、類似のものでプリペイドカードがあります。
プリペイドカードは形としてありますので、財布やカードケースにないか確認して下さい。

【各電子マネーサービスに問い合わせ】
ネット銀行と同じで、使っている可能性がある電子マネーサービスに問い合わせてみましょう。

主なネット電子マネーサービス

  • PayPay
  • d払い
  • 楽天ペイ
  • LINE Pay
  • モバイルSuica
  • au Pay
  • WAON
  • Nanaco

【エクセルファイル】
【確定申告書】
【履歴・ブックマーク】
【スマホのアプリ】
【メール】
銀行に同じです。

暗号資産

【銀行の通帳】
暗号資産を購入するためには、指定金融機関の口座に入金する必要があります。
現金での入金ができますが、大方は自分の金融口座からの振替が考えられます。
振替する可能性のある口座を確認してみて下さい。

【暗号資産取引所に問い合わせ】
ネット銀行と同じで、使っている可能性がある暗号資産取引所に問い合わせてみましょう。

暗号資産取引所

  • コインチェック(CoinCheck)
  • ビットフライヤー(bitFlyer)
  • DMM Bitcoin(DMM ビットコイン)
  • GMOコイン
  • ビットバンク(bitbank)
  • ビットポイント(BITPoint)
  • LINE BITMAX(ライン ビットマックス)

【エクセルファイル】
【確定申告書】
【履歴・ブックマーク】
【スマホのアプリ】
【メール】
銀行に同じです。

クレジットカード

【銀行の通帳】
クレジットカードは必ず銀行口座と連携しています。
連携している銀行口座がわかればクレジット会社も必ずわかります。

【郵便物】
クレジットカードには有効期限がありますので、カードの送付用郵便物があるかもしれません。

【エクセルファイル】
【履歴・ブックマーク】
【スマホのアプリ】
【メール】
銀行に同じです。

【信用保証機関】
信用情報機関にCIC、JICC、全国銀行個人信用情報センター(KSC)があります。
詳細はここを見て下さい。

パスワード管理アプリ

パスワードを紙やエクセルに保存するのではなく、専用アプリを使って保存します。
パスワード管理アプリを使うと、ただ1つのマスターパスワードを覚えておくだけで、その他のパスワードは自動で入力されます。

またアプリではありませんが、類似の機能のあるブラウザ(Chromeなど)もあります。

主なパスワード管理アプリは「1Password」「LastPass 」「Bitwarden」「ノートン パスワード マネージャー」「トレンドマイクロ パスワードマネージャー
パスワード管理機能があるブラウザには「iCloudキーチェーン(Safari)」「Chromeパスワードマネージャー」があります。
詳細は以下の記事を参考にして下さい。

信用情報機関

各機関は部分的にしか情報がありませんので、開示を求める場合は以下の3機関すべてに請求をして下さい。
また機関間で重複もあるかもしれません。負債額を二重計上しないようにして下さい。

まとめ

【サービスごとの財産確認】

【サービスごとの財産確認】

調査方法ネット銀行ネット証券ネット保険電子マネー暗号資産クレジットカード
カード
銀行の通帳
郵便物
実施機関に問い合わせ
エクセル
ファイル
確定申告書
履歴・ブックマーク
スマホのアプリ
パスワード管理アプリ
メール
信用情報機関
ほふり
◯:ほほ確実に財産があるかどうか分かるもの
△:あれば分かる可能性があるもの
✕:分かる可能性がほぼないもの

「銀行の通帳」「実施機関に問い合わせ」「信用保証機関」の3つが有望です。
どれもパスワードがわからなくてもできることです。
パスワードがわからないからといってあきらめないで下さい。

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